Episode of nonet #2 "Tall Wall" | ガールフレンド(非公式) 物語

ガールフレンド(非公式) 物語

ガールフレンド(仮)の同人小説を掲載します!
全ガールを登場させる予定です!

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咲里「いち、にっ、さん、しっ」
エミ「はっ、はっ」
心実「ふっ!」
鞠香「はあっ…きゃっ!」
咲里「佐伯さん!大丈夫ですか!?」
鞠香「うん、大丈夫。体のことなら誰よりわかるから」
エミ「ちょっと休憩しようよ、疲れたし」
咲里「そうですね。じゃあ15分休憩で」
心実「それにしても課題曲なのに結構大変ですね」
咲里「僕なんか見てるだけで目が回りそうです」
鞠香「練習止めちゃってごめんね。どうしてもここがうまくいかなくて…」
心実「私もできないところはありますよ」
エミ「そうそう!」
咲里「相楽さんは休憩中も歌詞を叩き込んでください」
エミ「うっ!はい…」
鞠香「咲里くんも振り付け、考えておいてよ」
咲里「はあ…一部自由とか全く需要ないんですけど」
心実「そこで個性を出すのかと」
咲里「はい、わかってます。考えます」
練習室の扉が開いた。
真尋「あれ、練習はしてないのね」
咲里「夏目さんじゃないですか」
真尋「え?なんでいるの?」
咲里「僕も参加することにしたんですよ、このランチタイムデザートのユニットリーダーとして」
真尋「へえ。じゃあどっちがいいユニットリーダーか勝負ね」
咲里「どういうこと?」
真尋「私もユニットリーダーになったのよ。C組カンタービレのね」
エミ「C組カンタービレ?」
咲里「って…どんなユニット?」
真尋「あなたがよく知ってるユニットよ」
咲里「C組カンタービレ…あー、もしかして2年C組の?」
真尋「そう。つぐみに誘われたの。だから悪いけど咲里くんたちには負けられないから」
咲里「僕たちも負けません」
エミ「そうだそうだーっ!」
心実「お互い頑張りましょう」
真尋「ええ。それじゃ」
鞠香「…よし、練習再開!」
心実&エミ「おーっ!」
咲里「ちょっと、勝手に仕切らないでくださいよ」
鞠香「絶対に負けられないもの」
心実「です!」
咲里「まあ…そうですね、やりましょう!」

創士郎「生徒諸君!今ここに第一回聖櫻学園ダンスコンテストを開催することを宣言する!」
かなた「みんな、頑張ってね〜」

咲里「相変わらずラフですね」
鞠香「私たちは気を引き締めないとね」
心実「初めてのパフォーマンス…緊張します…」
エミ「大丈夫だよ!いっぱい練習したじゃん!」
咲里「そうですよ。みなさんの内の誰もが精一杯練習して誰もが上達しています」
鞠香「咲里くんも精一杯頑張ってくれたしね」
咲里「やめてくださいよ…」
エミ「えっ!?泣いてるの!?」
咲里「そんなこと言われたの初めてで…」
心実「ふふっ」
咲里「とにかく、あとは全力を尽くすだけです!初めてのパフォーマンスならそれこそ成功させましょう!ランチタイムデザートの凄さを見せつけてやりましょう!」
エミ「その意気だっ!」
鞠香「練習通り…いや、それ以上を見せてあげるんだから!」
心実「はい!…あっ、一組目が始まるみたいですよ」
エミ「どれどれ〜?」

クロエ「いきますヨ…レディー、ゴーッ!」


鞠香「なんか…すごかったね…」
心実「はい…」
エミ「そ、そう?私たちの方がうまいと思うけどな、あっははーっ」
咲里「確かにすごいダンスでした…」
鞠香「それだけじゃない。歌も凄く上手かった」
エミ「だからなに!練習以上を見せるんでしょ!」
咲里「相楽さんの言う通りです。相手がいくら上手くても僕たちが上回ればいいんです」
鞠香「あなたは踊らないからそんなことが言えるのよ!」
エミ「違う!咲里くんもメンバーなんだよ!四人でランチタイムデザートなんだよ!咲里くんは私たちを盛り上げるために言ってくれてるんだよ!」
咲里「相楽さん…」
エミ「想像してみてよ、最高のパフォーマンスを。私たちが踊ってる姿を。さっきのユニットに負けてる?私が見てるのは違う。他の誰よりも強く輝いてる」
心実「最高のパフォーマンス…」
鞠香「…」
エミ「それにきっと想像は越えられる。最高のその上があるはずだから!一緒に目指そうよ!」
心実「…そうですよね。もっと上に行けるはずです!」
鞠香「仕方ないわね…私が本気になったらどうなるかわからないわよ」
エミ「それは私のセリフだーっ!」
睦「ランチタイムデザートさん、スタンバイお願いします」
咲里「さあ、練習よりも、どのグループよりも高く羽ばたいてください!」
エミ「おーっ!」
鞠香「ええ」
心実「はい!」

全校生徒の視線が、スポットライトの光が、ステージに立つ三人に差している。
鞠香「…さっきはごめんね」
エミ「どうしたの、急に」
鞠香「謝っておかなきゃ最高は越えられないと思って」
エミ「そっか」
鞠香「うん」
心実「…絶対にやり遂げます!これが…ランチタイムデザートです!」

エミ「くるくるっと楽しきトキメキ 未来の自分に 手を伸ばし続けてれば キセキさえ 起こるかな」
心実&鞠香「ぱぱぱん らぱぱん ぱっぱっばっぱっ らたたたたん」
エミ「授業終了のチャイムがきんコン 回答の空らんは『えっと どうしよ』」
鞠香「大好きなキャラクター アップリケ使い 可愛くカラフルに飾り付けちゃお」
心実「ホントの自分をさがす道は」
エミ&鞠香「さがす道は」
心実「どこにあるのでしょう?」
エミ&鞠香「検索 添削 まさか天才?」
心実「いつも通り」
エミ&鞠香「通り」
心実「鼻歌ふんふんふん」
エミ&鞠香「ふんふん」
心実&エミ&鞠香「夢にむかってるるらら いちについてよーいっどん」
エミ&鞠香「くるくるっと楽しきトキメキ」
エミ「未来はキラりん☆」
心実「キラりん」
鞠香「ラッキーつかまえちゃって」
心実&エミ「「ガンバレ」」
鞠香「声届けたい」
エミ&鞠香「どきどきっと楽しくかがやけ 未来の自分に」
心実「「やっと出会えたね」ってさ ハイタッチが出来るかな…」
心実&エミ&鞠香「ふわふわぁ〜ん」

大きな拍手が、盛大なる歓声が、ステージに立つ三人に降り注いだ。

咲里「お疲れ様です」
エミ「本当にお疲れだよ〜」
鞠香「でもこれだけ疲れたってことはいいパフォーマンスができたってことじゃないかな」
咲里「とりあえずそういうことにしましょう」
心実「でも他のユニットもとても上手ですよね…」
鞠香「順位も大切だけどさ、やっぱり楽しくできるのが一番だよ」
咲里「佐伯さん…」
鞠香「今回踊ってわかったの」
エミ「心実ちゃんも楽しかったでしょ?」
心実「…はい!」

りさ「集計が終わりました。これから結果発表をしたいと思います!」
心実「いよいよですね…」
エミ「トップ3、来い!」
鞠香「緊張する…」
咲里「…」
りさ「第三位!コスモス!」
野々花「やった!」
創士郎「動きにキレがあり一体感のある素晴らしいダンスだった!おめでとう!」
エミ「三位ではないと…」
鞠香「まだあるから」
りさ「第二位!かぶきガールズ!」
クロエ「オーッ、これは喜ぶべきでしょうカ?」
創士郎「それぞれの個性がとてもよく出ていて見ごたえのあるパフォーマンスであった。おめでとう!」
咲里「あとは…」
心実「一位だけ…」
りさ「そして第一位は!」
鞠香「お願いします!」
エミ「カモン!」
心実「どうか…!」
咲里「…ん?」
りさ「フローラ・フローレです!」
由佳「やった!やったよ!」
未涼「本当に?」
「…」
創士郎「一糸乱れぬダンスに素晴らしい歌唱力、見事だった!優勝は君たちだ!」
エミ「だめかーっ!」
心実「残念でしたね」
鞠香「そうね。でも次は絶対入賞するんだから!」
エミ「もちろん!ね、咲里くん!…ってあれ?」
鞠香「いないの?」
エミ「なんでこんなときにいなくなるかな〜」
心実「どうしたんでしょう…」

咲里「引っ張らないでくださいよ!なんなんですか!」
睦「黙ってついてきてください」
咲里「はあ…」
睦はそのまま咲里を教員室まで連れてきた。
睦「失礼します。白木さんを連れてきました」
静子「ありがとうございます。鴫野さんは戻ってください」
睦「わかりました。失礼しました」
咲里「教頭先生…」
静子「無理やり連れてきてしまいごめんなさい」
咲里「いえ。教頭先生が僕なんかになんのご用ですか?」
静子「あなたに頼みがあるのです」
咲里「頼み?」

心実「ダメでしたね」
鞠香「そうだね」
エミ「あんまり落ち込んでないじゃん」
鞠香「だって次があるから。二人も続けるんでしょ?」
心実「はい」
エミ「もちろん」
鞠香「あっ、咲里くん」
エミ「探したんだよ〜。どこ行ってたの」
咲里「…」
心実「どうかしたんですか?」
咲里「…解散します」
鞠香「いま…なんて…」
咲里「ランチタイムデザートは解散します」
心実「そんな…」
エミ「冗談でしょ…冗談って言ってよ!」
咲里「僕は冗談でこんなこと言いませんよ」
鞠香「なんで?なんで解散するの?」
咲里「みなさんには関係ありません」
心実「関係あります!四人で今までやってきたじゃないですか!」
咲里「…わかりました」
鞠香「そうだよ。どんな事情があってももう少し」
咲里「でも僕は辞めます」
エミ「なに言ってるの!今回はダメだったけどまだいけるよ!」
咲里「残念ながらランチタイムデザートに未来はありません。僕はそう思います」
心実「っ!」
鞠香「心実ちゃんっ!」
冷たく乾いた音が周囲に響き渡った。
咲里「いった…なにするんですか、椎名さん」
心実「白木さんでも!言っていいことと悪いことがあります!」
咲里「じゃあ今のはやっていいことなんですね」
心実「それは…」
咲里「いいんですよ、それで椎名さんの気が晴れるなら」
鞠香「いったい何があったの?悩みがあるなら教えてよ」
咲里「言ったでしょう、みなさんには関係ないと」
エミ「おかしいよ…こんなのおかしいよ!」
咲里「…僕も…そう思います」
エミ「えっ?」

エミが見た咲里は今まで見たことのないほど暗く澱んだ目をしていた。

エミ「咲里…くん?」
咲里「では僕はやらなければいけないことがあるので」
エミ「待っ…て…」
エミは咲里の後ろ姿を見送ることしかできなかった。
心実「…はぁっ、はぁっ」
鞠香「心実ちゃん!大丈夫!?」
エミ「…」


こうしてランチタイムデザートは解散を迎えることになる…。