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2014/4/15

犬が人を噛んでもニュースにはならないが、人が犬を噛んだら
ニュースになる。
ニュースというものの本質を言い表す時に多用される例え話です。

交通事故のニュースが増えているそうです。

交通事故にニュースバリューがあるということは、それだけ交通
事故が珍しくなったということになります。

確かに、交通事故死者数は、年々減り続けていました。

警察庁のまとめによると、交通事故による死者の数は1970年
(昭和45年)が一番多くて1万6765人。
'70年を頂上としてその前後は概ね遠ざかるほど少なくなってい
ます。

戦後数年間には4000人ほどだった交通事故死者は20年余りの間に
4倍も増加しました。
その後'80年代から90年代前半にかけてはまたじりじりと増やし
たものの、以後は一貫して減らし続けています。

特に2001年からは13年連続で減少しています。昨年はついに
4373人となり、戦後間もない時代の水準にまで下がっています。
警察庁の分析によれば、飲酒運転の減少やシートベルト着用率
の向上が死者の減少につながっているとのことです。

全国の警察が2013年に認知した殺人事件(未遂含む)は939件で、
戦後初めて1000件を下回りました。

殺人事件のピークは1954年の3081件。戦後の混乱期から高度経済
成長期には頻発したものの、次第に減少傾向となりました。
警察庁の担当者は

「ボランティアによる夜間警戒の増加など、官民挙げた防犯活動
 が効果を上げた。」

と胸を張っています。

交通事故死者数と殺人件数が減少したのは、確かに警察発表の
ような理由もあるのでしょう。

しかし、もちろん、別の側面からの推測も可能です。

交通事故死者数でいえば、プリクラッシュセーフティシステム
により、自動停止まで行う衝突防止装置を搭載した市販車が増
加した、など、技術的側面からの説明もできます。

現代の若者は昔の若者に比べてあまり飲酒しなくなったし、あ
まり車を欲しがらなくなったことから、かつては多かった若年
層が引き起こす事故が減ったからだとの説明にも説得力があり
ます。

殺人件数の減少の方は、草食系男子が増加し、優しさあふれる
時代となったために凶悪事件が減少している、との解釈も可能
でしょう。

日本人全体の平均年齢が高くなったことで、より自制的な社会
へと変貌したことからは、両者の説明がつくかもしれません。

市場が縮小する中では、ビジネスに関するヒントを感知する能
力が特に問われます。

新たなビジネスを模索するためには、ニュースとして取り上げ
られる珍しい事象の反対側にある、ニュースバリューこそない
ものの、頻発している現象に注目しなければいけません。

ありふれた事象に存在するニーズを満たすサービスや商品こそ
が、大きな市場を形成するはずなのですから。