サイドストーリー第2話「あたたかいお節介」 | 看取り看護師めぐ〜死ぬとは最期まで生きること

看取り看護師めぐ〜死ぬとは最期まで生きること

どうか大切な人の最期を穏やかに看取れますように
どうかあなたが最期まで、笑って楽しく生きられますように
最期まで笑って楽しく過ごせる生き方をサポートしたいと奮闘中。

ヨミドクターで漫画を連載させていただいています。

8コマ完結の漫画です。

よかったら見てくれると嬉しいですウインク

 

ヨミドクター連載「看取りのチカラ」

第2話「心に残る最後の言葉」

 

こちらの連載は、毎回主人公が変わります。

主人公は、その回の患者さんの家族になります。

 

 

第2話は、【姑を看取る嫁】が主人公でした。

6月に掲載予定の第3話は、【母を看取る娘】が主人公になります。

 

ちなみに連載は第1週の木曜日

6月の掲載は4日(木)

 

 

アメブロでは、「看取りのチカラ」に出てくる看護師2人をメインにしたサイドストーリーを載せていきます。

 

 

 

それでは、第2話「心に残る最期の言葉」のサイドストーリーをご覧くださいキラキラ

 

 

 

 

さきに「看取りのチカラ」第2話「心に残る最期の言葉」を読んでもらえると嬉しいです。

 

 

 

 

 

サイドーストーリー 

第2話

「あたたかいお節介」

 

 

愛:あっ!今日も七恵さん来てくださってる! 毎日のように来てくれて、いい嫁だね。

 

七恵(ななえ・65歳)は、入院中の桂子(けいこ・90歳女性)の嫁だ。桂子は愛嬌があり、看護師たちには人気がある。

 

恋:あの世代の嫁姑っていろいろあるから、そうとは限らないかもよ。こないだも…

 

恋『毎日お見舞いをありがとうございます。』

 

七恵『いえ、主人が行けって言うんですよ。病院に一人じゃかわいそうだろって…。嫁いだ時から虐められてきて、憎んだ時期もありました。でも、弱ってきて、いまの状況はたしかにかわいそうって思います。だから、しかたなく来てあげてるんですよ。』

 

恋『そうですか。僕たちも一緒にお世話させていただきますので、七恵さんもお身体ご自愛くださいね』

 

七恵『ありがとうございます。』

 

恋:っていうやりとりをしたんだよね。

 

愛:わー、そとから見てるだけじゃわからないね。そういえば息子さんはあまり見たことはない。板挟みでつらいね。だけど桂子さんもだいぶ衰弱してきたし、そんなに時間は残されてないから、最期に仲直りしてくれるといいけど。

 

恋:何十年と蓄積してきた感情は、ちょっとやそっとじゃ変わらないよ。それに、数週間前に知り合ったばかりの僕らがなんとかできるかって言ったら、そりゃおこがましすぎるでしょ。

 

愛:そうなんだけどさ。どっちにも仲良くしてほしいじゃん。家族なんだから。

 

恋:僕らがなにもしなくても、仲直りする人は仲直りするし、できない人はできない。でもそれはそれで、その家族のあり方なんだよ。最期も大事だけど、それ以前の関わりは、もっと大事なんだから。

 

愛:たしかにね。でも、ちょっとだけお節介やいてこようかなぁ。

 

恋:はいはい。ほどほどにね。

 

愛は、恋の言葉に軽く答えながら、密かに意気込んで桂子の病室に向かうのだった。

 

 

サイドストーリー2話 おわり

 

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いかがでしたでしょうか?

お読みいただき感謝です。

 

 

死期を悟っている人が、最期に「ありがとう」と言うことはとても多いです。

逆に、普段そんなこと言うような人じゃない人が、急に優しくなったり、「ありがとう」と言うようになったら、周りはそろそろかもなんて勘繰ることもあります。

 

死の間際に、元気になったように見える時期があります。

これを辞書には、「中直り」と書かれています。

 

しかし、このように感謝の言葉を述べる人や、それまでのわだかまりを解消するように話をする人がいるので、「仲直りの時間」、あるいは「なかよしの時間」。

病気が治ったように見えるので「中治り現象」なんていう人もいます。

 

人が死に近づくと、体のあらゆる器官が最後の力を振り絞るようになります。

脳細胞からはドーパミンやアドレナリン、オキシトシンなどの物質が出され、それらが作用して、このような現象を起こしているとも言われています。

ドーパミンやオキシトシンは、幸福感をもたらす作用があります。

だから、あたたかい気持ちになって、感謝の言葉をのべる人も多いのかもしれません。

全ての人にあるわけではありません。

そのときには気づかず、振り返ってあのときがそうだったのかもと気づくことも多いです。

 

 

これは病気で亡くなり、死までの道のりが緩やかに下がっていく人に起こるものでもあり、突然の死に対しては起こりません。

 

 

私が初めて患者さんの死に対応した時の話です。

一年目の新人の時でした。

患者さんは34歳男性。

心肺停止状態で救急車に乗って救急外来に運ばれてきました。

なんとか蘇生させようと外来の看護師であった私は、必死に胸骨圧迫を行いました。

でも、助かりませんでした。

 

電話で呼ばれ駆けつけたお母さんが、泣き崩れます。

 

「今日出かける前に喧嘩して私「いってらっしゃい」って言わなかったの。こんなことになるなら、「いってらっしゃい」って言えばよかった…」

 

喧嘩別れになってしまったことを後悔されていました。

 

 

死は理不尽です。病気にかかわらず、人の死はいつ訪れるかわかりません。

これが最期かもしれません。

いましかないかもしれません。

伝えられずにいる思いがありませんか? 

あとでと言わずに、いまあなたから伝えたい思いを伝えてみませんか?

 

 

 

<今回のポイント>

伝えておきたいことは、いま伝えておこう

 

 

 

それではまた。

 

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後閑愛実の著書

 

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後閑愛実(ごかん めぐみ)

 

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