皆さんは、良く見る夢ってありますか?
私はあります。
しかも舞台の本番前限定で見る夢が。
舞台前なら絶対に見るというわけではなく、不安の多い舞台の前に見ることが多い夢です。
どんな夢かというと、台本をまだ読んでもいないのに本番が始まるという夢です。
メチャクチャ怖いです。。。
毎回同じシチュエーションで、急遽の代役のような感じで稽古場のような広い場所にいて、まわりはみんな、それまでにしっかり稽古して全てを把握しているのですが、私だけ
「台本無くても行けるよね?」
と言われ、台本を渡されることもなく
「明日から本番です」
と。
私はなんとかして共演者に台本を見せてもらおうとするんですが、「もう覚えてるから持ってきていない」とか「台本無くても平気だよ」とか言われ、最後まで見ることが出来ない。
そして本番が始まるわけです。
セリフは疎か、稽古もしていないので出はけも分からない。
裏で色んな人に「私こっちからで良いんですか?」とか聞いて、舞台に出たら出たで台本通り演技する他の共演者の中、アドリブで合わせて、はけた後も「ここではけて良かったんですよね?こっちで良かったんですよね?」と聞くと「またすぐ出番だよ」とか言われる。
精神的に疲れ切って目を覚まして、実際にもうすぐ本番が来ようとしている不安の多い舞台に対して
「台本もらってて稽古してるだけマシだから、大丈夫」
と思うんです。
実は私、結構心配性で、例えば初めて行く場所なんか一時間くらい前に着くようにして、場所を確認してからお茶したり、舞台の稽古で。稽古場ジプシー(複数の稽古場を使い、稽古日によって場所が違う)の時なんか、その日の稽古場はどこか、前日に確認し、家を出る前に確認し、家を出た後電車に乗ったタイミングでも確認します。
電車に乗ってすぐのタイミングなら、万が一誤解していても修正可能なので。
稽古スケジュールも、制作から頂いたものをプリントアウトしているのに、他の予定と一緒に手帳にも書いているので、手帳を確認し、プリントアウトしたものを確認しを何度も繰り返してしまったりします。
今は自分の精神的な持って行き方が分かっているのであまりありませんが、10代の頃なんかは舞台に出る直前に、稽古で間違えたところが脳裏をよぎり
「もしかして間違うんじゃないか」
という不安にかられたりしていました。
それでも、初舞台の時から舞台に上がる時には
「考えても仕方ない。間違ったとしたってやるしかないんだ。何とかなる!」
と開き直り、舞台の上では直前までの不安はキレイに消えている。
そんなふうにやって来たので、緊張もするし不安もあるわけですが、舞台上ではそこまでではない。
でも、この夢の中では緊張しっぱなしです。
見ている間は気が気ではありません。
夢を見ている時に「これは夢」という意識はあるのですが、とはいえやはりドキドキします。
ですが、目が覚めた後
「台本もあって、稽古もしてきて、不安になることなんか何もないじゃないか」
と思えるので、疲れはするけれど、ネガティブな夢ではないのかもしれません。
元々は、不安が見せている夢なのでしょうが、その不安度合いが有り得ないレベルで夢になっているので、現実の不安の方が小さく感じられるという。
ちなみに不安の多い舞台というのは、例えばほぼ出ずっぱりで台詞も多く、稽古場でわりとギリギリまでミスがあったとか、演出家が舞台慣れしておらず演者に不安を与えているとか、演出の言うことが毎回違って混乱するとか、芝居以外の不安要素があって集中力が途切れやすいとか、イロイロと要素はあります。
でも、幕が開く日は決まっているので、そのへんの開き直りと言うか、気持ちの持って行きようは回数を重ねると自分で分かってきます。
夢で、現実より過酷な状況を夢に見るのも、不安の表れでありつつも、「これよりはマシ」と、どこかで自分の気持ちを持ち上げようとしているのかもしれません。