とっしーです。
今回は医学部再受験終了直後の記事を家庭教師や塾講師の経験を活かして改良しました。
自分一人で正しく学習できるよう勉強法を掲載したつもりです。参考にしていただけたら幸いです。学習レベルとしては、0から東大&医学部の合格点を簡単に超えるレベルまでフォロー出来ていると思います。
【目次】
0.物理が苦手な人へ
0.5.理系科目に共通する考え方
1.”受験”物理という科目の特性と目標とすべき姿勢
2.目標姿勢を実現するための対策
2-1.問題解決ノウハウ
2-2.物理公式の理解と暗記
2-3.入試問題特有の問題解法
3.物理の学習についてー実際の勉強法ー
4.微積物理について
【0章.物理が苦手な人へ】
受験物理が苦手な人に「なぜ苦手なのか」を聞くと、
何を使えば良いかわからない
使うものがわかってもどう使えばいいかわからない
いわゆる公式の当てはめなので計算をミスしたり代入する値を間違えたりする
難しい問題になるといきなり解けなくなる
といった答えが返ってきます。
そして、いい加減な友達や先生はセンスだの微積物理がどうのこうの言います。
殆どの場合、上記のようなアドバイスは間違っているし、根本の問題からずれていると言えます。
では、苦手な人は何でつまずいているのか?
実はとても単純な話で
受験物理の特性が掴めてないだけ
なのです。物理が本当に得意な人はこの特性というものをとても正確に理解しています。
【0.5章 理系科目に共通する考え方】
さて、特性が何かという本題に入っていく前に、理系科目全てに共通するもっとも大切な考え方について書いていきます。(これ専用の記事を後日掲載する予定です。)
理系科目の問題を解く時は、以前の記事でも書きましたが、問題解決能力がとても大切になってきます。つまり、自分の行動に対して目的と理由を持つということです。
この考え方を前提に考えれば、理系科目の問題は以下のような手順で解いていくのが自然ですし、もっとも合理的です。
ー理系科目の解き方ー 重要!
STEP1.
問題文を読む。出題分野や大まかな分野、キーワードを把握する。
STEP2.
問題のゴールを見る。つまり、何を求めなければいけないかを理解する。
STEP3.
求めるべきものを未知数として捉え、その未知数を解くために必要な解法を絞るために問題文中の条件を全て把握する。
STEP4.
把握した条件と自分のインプットにある解法を照合し、もっとも正答できそうと考えられる解法を選択する。
STEP5.
選択した解法を使った場合、どのようにして解いていけるかを論理構築し、解けることを確認する(最も解けそうでもよい。)。
STEP6.
実際に解答用紙に答案を書いていく。
この手順を一言ずつでまとめれば、
ゴールの把握=本当に求めたいものの把握→条件の把握→解法の選択→論理構築→答案作成
となります。
このゴールから逆算して方法や論理を考えるという考え方が身に付くと、勉強方法も各科目の学力も飛躍的に伸びて行きます。
以下の項目はこの考えをベースに読んでいってほしいです。
【1章.”受験”物理という科目の特性と目標とすべき姿勢】
では、話を本題に戻します。
受験物理の特性を簡潔に表せば、
「問題文中や図から実験の様子を正しく読み取り、
高校物理の公式、過去に解いた問題の解法を応用して、
問題となる物理量を論理的に導出していく」
といえるでしょう。ただ、これでは苦手な人と得意な人の差はわかりません。より正確に書くと、
「問題文から起きている物理現象を理解した上で、求めたいものが何かを把握し、
同時に問題文中の表現や条件から解くのに用いる解法を、
頭にインプットしている解法から絞り込み、
その解法で解けることを頭の中で論理構築し確認し、
答案に書いていく。
なお、そこで使う解法というのは定理や法則であり、これらについては自分で導出ができ、どのように問題に応用していけば良いかを正しく理解出来ていることが必要。」
と書けます。長いですね…泣
より簡単に書きましょう。受験物理の特性は、
・0.5章で示した論理的な考え方(以下では”問題解決ノウハウ”と書きます。)
・物理公式や法則の「理解」と「暗記」
・入試問題特有の問題解法とキーワード
の3点にまとめることが出来ます。
そして、上記の3つ全てが大切です。
論理的な考え方が出来なければ、論理のない応用の効かないパターン解法からは抜け出せません。公式や法則しか知らなければ、「何が起きてるかはなんとなくわかるけど、解けない」という状況に陥ります。
また問題解法だけでは、パターン問題しか解けず、応用力が欠如し、この場合も入試で得意科目にする事は難しくなります。
全てが大事なわけです。
【2章.目標姿勢を実現するための対策】
さて上章で
・0.5章で示した論理的な考え方(以下では”問題解決ノウハウ”と書きます。)
・物理公式や法則の「理解」と「暗記」
・入試問題特有の問題解法とキーワード
の3点が物理を出来るようになるために必要と書きましたが、以下ではこれらについての学習方法を書いていきます。
2-1.問題解決ノウハウ
ここでは書ききれないですし、物理だけにいえる話ではないので別記事にて。
とりあえず、日頃からノウハウで示したSTEPでものを考えてみることが大切です。一ヶ月もすると定着します。
2-2.物理公式の理解と暗記
2-2-1.概要
公式の理解と暗記は、
・問題特有の方法がないような基礎問題を解く力
・問題特有の解法があり、公式だけでは解けない問題を解くのに必要な”思考力”
の土台となります。つまり全てに通ずるということです。絶対に避けては通れません。
2-2-2.学習方法
肝心の学習法ですが、公式の理解には
a.なるべく丁寧な解説
b.全体をまとめてある解説
の二点を満たす参考書が必要です。
そして、公式の暗記には
c.基本的な問題の演習&復習による定着
が大事です。
したがって、この条件を満たす参考書を揃えて勉強すると良いと思います。
記事改定前はいろんな本を書きましたが、最近は最もいいと思う本が見つかったので、以下に書いた本だけ買えば充分です。
ーa.&b.丁寧かつ全体をまとめている本ー
・宇宙一わかりやすい高校物理(力学・波動) 鯉沼 拓 (著) gakken
・宇宙一わかりやすい高校物理(電磁気、熱、原子) 鯉沼 拓 (著) gakken
ーc.問題演習にオススメの本ー
・宇宙一わかりやすい高校物理シリーズ(上述のものと同じ)
・物理のエッセンスシリーズ(河合出版)
というわけで上記の2シリーズを準備しましょう。
これらの本を準備しておけば、理解と暗記に困るということはあまりないと思います。
なお、これらの本を使った勉強の段取りの一例は、また後ほど詳述しますので、ここでは省略します。
2-3.入試問題特有の問題解法
公式の理解と暗記が大方済んだら、今度は入試問題特有の解法について学習していく必要があります。というのも、難関大学に出題されるような問題は、それ特有
のテクニック、作業、論理が必要になるためです。また、パターン化をしないと解くのに莫大な時間がかかってしまうということもあります。
とはいっても、こんな漠然とした表現じゃ、あまり伝わらないかもしれないので、入試問題特有の解法を用いるときの思考の一例を紹介します。
…鉛直面の円運動問題…
Q.円形のレール模型を鉛直に置き固定する。
ここで小球を最下点で速さvで発射したとき、最上点での小球の速さを求めよ。
(なお小球は途中でレールから離れない条件で実験している)
「うーん、なるほど。鉛直面内における円運動だから、途中の運動の様子は運動方程式作ってもわからないな。
そしたら、この場合は運動方程式を作るのではなくて、エネルギー保存則を用いるといいな。
今、最下点の玉の速さはわかってるから最上点と最下点でエネルギー保存を立てれば解けそうだな。
よし、解こう!」
こんな感じです。(笑)
この例で言えば、この主人公Aは
・鉛直面の途中点の運動は運動方程式を書いても求められない
・鉛直面内のある点での物理量はエネルギー保存則を用いて解く
という2つの事柄を体得しています。
これは、このタイプの問題演習をしていない初学者はパッと思いつかないポイントかなとか思います。
逆に、解いたことある人は「当たり前すぎるだろ」って思うようなポイントだとも思います。
つまり、こういう思考は問題演習による経験によって養われるわけです。
この養われた力こそ、入試問題特有の解法なわけです。
そして、この力は反復を重ねれば重ねるだけ身に付くと、俺は思います。
そんなわけで、この学力を伸ばすのには以下の参考書が便利です。
詳しい勉強の仕方は後に詳述します。
参考書
ー東京阪工、医学部、難関大志望ー
・名問の森(河合出版)
・物理のエッセンス(河合出版)
・宇宙一わかりやすい高校物理シリーズ
・難系物理
ー中堅大、中堅私立医大などー
・良問の風
・物理のエッセンス
・宇宙一わかりやすい高校物理シリーズ
【3章.物理の学習についてー実際の勉強法ー】
前章で、
・公式の理解と暗記
・問題解法の体得
が大事になってくる、ということを書きました。
ここでは上記の事をふまえて、詳しく勉強のスタイルを書いてく事にします。
さて、物理の勉強法ですが、
1期.
一つ一つの公式を、詳しく無駄のない解説を通じて理解し、簡単な問題集を解くことによって暗記する。
↓
2期.
暗記した公式の正しい使い方を問題集を通じて学ぶと共に、徐々に入試問題特有の問題解法も並行して体得していく
↓
3期.
入試問題特有の問題解法を一通り経験した後は、とにかく反復。
最終的には難しいとされる問題集一冊をやり尽くす感じで、反復。
↓
4期.
実際に受ける大学の問題をやって傾向分析。同時にやり尽くしている問題集も余裕あれば反復。
のような段取りでやっていくのが、一番かなと思います。
1,2の部分をしっかりやりきれれば、3は追い込み期、4は直前でも対応出来ます。
とにかく1,2の部分が要です。
有名進学校向けの塾に通っていて現役で超難関校に受かる学生は1,2を高3開始時、遅くとも高3夏までに終えています。
高3から受験勉強始めるぞという方。難関校受けるとなるとシャレにならないので、急いでやりましょう。夏までに1、2を完成させる必要があります。
というわけで、大まかな時期の目安が分かったと思うので、以下で1~4のフェーズを細かく説明していきます。
1期.基礎力と思考力の積み上げ期
一番大事です。ここの出来不出来で2以降にかかる時間が変わってきます。
ここでは、
暗記、演習用に
・宇宙一わかりやすい高校物理シリーズ(gakken)←メイン教材
・物理のエッセンス(河合出版)←補助教材
理解、参考用に
・宇宙一わかりやすい高校物理シリーズ
を用います。
(各々の参考書の目的は2章を読み直して下さい。)
使い方は、
宇宙一わかりやすい高校物理をしっかり読み込みながら問題も解いて行く。ある分野が終わったら、時間のある人は物理のエッセンスで対応する分野の問題を解いて、知識の定着をはかる。
というような感じです。
宇宙シリーズは、法則の解説の後に問題を解くためのテクニックと例題を掲載しているため読み込んで行けば力がつくようになっています。そして、物理のエッセンスもサラッと読んで問題を解いて行けば、力は定着する、というわけです。
とはいえ、一周じゃ身につきませんし、結構つまづきますし、一通り習得するとなると時間もかかります。
なので焦らずじっくりやっていきましょう。最終的に全ての問題が瞬殺できるレベルを目指してやってください。よく何周やれば良いか?みたいな質問きますが、瞬殺できるレベルになるまでです。2周でもしっかりやれば瞬殺できますし、テキトーにやると何周しても無駄です。
また、質問できる環境のある方は、積極的に活用しましょう。
正直、物理は個別に1から教えてもらうのが一番手っ取り早いです。
家庭教師とか個別指導でも良いです!
俺に依頼していただければ成績めっちゃ伸ばします。←(依頼希望の方は、募集記事かTwitterアカウントまで。2015年度は短期長期、遠征も考えています。)
さて、話がそれましたが、とにかく、この時期のうちに分からない所をなくしていくと、後々とても楽になります。
2期.問題解法の学習と公式応用期
「本もやり尽くして、公式を完璧に理解し暗記したぜ」
となったら、次は入試問題特有の解法を習得するステップに入ります。
ここでは、一つ一つを完璧にこなすよりも、理解しながら全範囲を知ることの方が大切です。
とにかく物理の入試問題の全容を把握することが大切です。
どちらにせよ反復しなければ身に付かないですし。
さて、この時期は1期の時に解いて反復していた問題集はおいといて、入試レベルの問題集を解いていきましょう。参考書は
ー難関大学志望ー
名門の森(河合出版)
ー中堅志望ー
良問の風(河合出版)
が良いです。
とにかくひたすら解いていきましょう。
最初は大問1つに1時間かかったり、全然わからなかったりしますが、1期の宇宙シリーズやエッセンスを参照したり、分からないところを”問題解決ノウハウ”を用いてじっくり考えるうちに、理解できるようになります。
なお、いちばんしてはいけないのは、途中でほかの参考書に手を出すことです。
この時期は入試問題の全容を知ることが一番大事なので、挫けず選んだ問題集を一通り終えましょう。
この時期も分からないところを質問できる環境があると良いです。
全容を知るのにサポートしてくれる先生がいると早く終わります!
ちなみに、問題集ですが、ほかに
・難問題系統とその解法(ニュートンプレス)
とかも代用できますが、解説や問題の並び方などの点で名問には劣ります。
まずは、名問の森をやってから、余裕のある人は難系をやる程度で良いでしょう。
俺はどちらもやりましたが、名問の森で充分だと思います。
3期.解法体得反復期
ここでは、2期で使った問題集をひたすら反復しましょう。
とにかく反復です。
やっては忘れやっては忘れの繰り返しのはずなので、
とにかく反復しましょう。
3周くらいやってくとかなり力が付いているのが実感できるはずです。(俺は仮面時期だけで4周くらいはやりました)
たぶん、どんな問題も時間さえあれば殆ど解けるようになってると思います。
逆に3,4周やってもまだ解けないとなると、1~2期が不完全だった可能性があります。
その場合は、何が出来ていないかを分析し、出来てない分野に戻って習得し直しましょう。
あと、
「3,4周やったし、完ぺきになったから名問はもうやりたくねぇー!」
って人は、ほかの問題集やってみてもいいです。
・難問題系統とその解法(ニュートンプレス)
・各大学の25カ年シリーズ(教学社)
はオススメです。
ただ反復しきれてない人は他の問題集やるべきではないでしょう。
消化不良とアンバランスな学力で後々後悔します。
4期.志望校対策と最終調整
要するに直前対策です。
この時期は学力を伸ばすよりは、本番で点を取りなおかつ失敗しない事に気をつける時期になってきます。
この時期は過去問と3期の問題集の最終反復をしていきましょう。
前者は本番で点をとるために、後者は本番で失敗しないためにやっていきます。
1~3期をこなした人にとってはほんとに最後の調整って感じで焦りもないと思うので、そんなに重くないはずです。
【4章.微積物理について】
微積分を用いて高校物理を紐解く、いわゆる微積物理と言われた解法についてです。
今から物理の勉強をする方はなんのこっちゃと思う人も多いと思いますが、
物理を勉強している人にとっては微積物理という言葉はなじみあると思います。
さて、結論から言ってしまうと、個人的には微積物理は
「高校物理公式を理解する補助具」
みたいな認識であるべきだと思います。
微積で問題を解こうとするのはナンセンスだと思います。
これは浪人,大学で教養の物理学を学んだ自分自身の経験から言います。
明らかにコストパフォーマンスが悪いです。
さらに、入試問題で差がつく物理センスを問うような問題にも弱くなります。
こういうと、微積物理を勧める先生は
「それは君の理解が足りない。こんな問題、正確に理解すればおのずとわかるもんだ」
と言いますが(実際言われたww)、
高校物理の問題なんて所詮高校生の解ける問題ですし、
素直に問題集をマスターしきれば入試問題のほとんどで合格点取れます。
実際俺も高校物理使って、昭和医で2問ミス,慈恵で時間切れ3ミスでともに85%は取れてました。
なので全国模試で名前掲載常連みたいな余裕のある人じゃない限り、微積は勧めません。
まぁ、理解の助けになる部分もわずかあるので、完ぺきに止めはしませんが、やっぱ勧めません。
公式の理解も、通常の参考書で事足りますし。
微積じゃなきゃ東大には受からないとか断言する人がいたら離れましょう。←
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以上です!
この勉強法で成績は間違いなく伸びるので、ぜひ参考にしてください。
あ、質問あるかたはtwitterアカウントまでお願いします。記事だとあまりチェックできないのでお願いします。
@igakubu_teacher
ただ、一応先にちゃんと読んでからにしてください。
あと参考書紹介は別記事に詳しく書いていきます!
では!頑張ってください!
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