まぼろし
ケータイで
これとは違った 第5篇を書いていた
仕上げの操作を誤ってしまい
消えてしまった
記憶を頼りに 迎えにいっても
帰ってこない 言葉たち
嗚呼...
まぼろしに なっちゃった
何千何万時間 何千何万回と
繰り返し 繰り返し つま弾いた
ボロボロの アコースティックギター
病を患い
薬の副作用で 指の動作は鈍くなり
これ以上 ぼくのギターは
ぼくの手で 汚れないだろう
費やした時間
その結果獲られた 技能
それは無駄になったか
なぜか 悔しいほど
そうは思えず
むしろ 清々しい
だのに
今回の第5篇の消失は
口惜しい
その詩は
あなたへの感謝
ただその一点を
綴っていた