【 わっこの詩篇 第6篇 】 ぼくの、あの日 | わっこ オフィシャルブログ wacco official blog

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シンガーソングライター / 詩作 / 男 / 広島県広島市出身 お問い合わせ wacco1004@gmail.com

ぼくの、あの日



「登戸の駅は こっちの方向でしょうか」


この道をまっすぐ 世田谷通りに出て


右折 橋を渡れば わかると思います


上京して1年と約半年


あの日


京王線  運行中止 電光掲示板


聖蹟桜ヶ丘から狛江まで


仕方なし 徒歩


見知らぬ者同士


街並、道幅にそぐわぬ


不気味な列をなす


皆が 同じ歩幅で 各々の帰路へ


国領から 狛江通り


物凄い勢いの自転車の


荒い息遣いが


こちらへ近付く


女性が 登戸駅の方角を尋ねる


自転車は 再び 凄い勢いで 離れていく
 

帰宅


ビートルズのCDが ひとつだけ


転がっている


他は 今朝と 変わらず


翌日 


小田急線 相模大野駅 降車


全ての運行は ここで見合せ


結局 バイト先へ たどり着けず


相模大野から 狛江まで 


仕方なし 徒歩


多摩水道橋の上


原発から煙 とのニュースを知る


刻々と


虚無が 虚無を 上塗り


闇が 闇を 覆う


そんな最中でも


いやしく うごめく


人間の利己心や 競争本能


それらを 恐る恐る 


つまみ上げ


自分も さして変わらぬ


人間であることを


恥じる


こんな日が 続く


あの人は


目的地へ


たどり着けただろうか