QUEEN⑯ | QUEEN考察

QUEEN考察

QUEEN好きの好き勝手です

 





QUEENネタもすでに第16弾となりました。


カテゴリーを「ペット」にしていたのに気付き、先日慌てて「アイドル・アーティスト・音楽ネタ」に変えたところ、思わぬアクセスの伸びを見て、少し驚いているところです。

とはいえ、所詮はマニアなオジサンの独り言のようなブログです。拙い記憶と、インターネットによる史実との擦り合わせのような記事ですので、気負わず楽しんでいただければ、と思っています。


さて、前回はQUEENとして初のテレビ出演を果たした。というところまでお話ししました。


映画での次のシーンは、フレディーがメアリーにプロポーズするシーンになります。

メアリー自身が語った史実によれば、1973年にフレディーはメアリーにプロポーズしています。




正式な結婚という形には至らなかったようですが、フレディーはそう望んでいたことは確かなようです。

盛り上がりを見せるフレディーとメアリーの元に、バンドのメンバーたちがドヤドヤとフレディの家に乱入し、アメリカ・ツアーが決まったと告げます。

映画の構成上、仕方のない場面なのかもしれませんが、QUEENというバンドにおいて、たとえフレディーが電話に出られなかったとしても、メンバーの誰かが知らないうちにフレディー抜きでツアーを決定することがあったでしょうか?

3人のメンバーが部屋に乱入するような事もあり得ない気がするのですが、アメリカのコメディ映画などではよく使われる場面でもありますね。

実際のQUEENは1974年4月から5月にかけて初のアメリカ・ツアーを行っています。

とはいってもそれは単独ではなく、モット・ザ・フープルのオープニング・アクトとしてのものでした。日本風にいえば前座ですね。




モット・ザ・フープルはイギリスのバンドで、1972年にデビット・ボウイが作曲した『All The Young Dudes』(すべての若き野郎ども)をヒットさせたバンドになります。




以前のブログにも触れていますが、フレディーの学生時代、カレッジにライブに来たデビッド・ボウイのステージ設営のアルバイトでデビッド・ボウイとフレディーは接触しています。

その後 、フレディーがデビッド・ボウイにステージ用のブーツをプレゼントしたという逸話もあります。


            ~ Fat Bottomed Girls ~


さて、初のアメリカ・ツアーとされているシーンでは「Fat Bottomed Girls」が流れていますね。

この曲はアルバム単位では1978年発売の「Jazz」に収録されている曲で、QUEENが実際にこの曲をアメリカではじめて演奏したのは1978年の10月28日のダラス公演になります。

映画では1974年ごろの事を描いているので、史実でいえば、4年ほど時系列に開きがある事になるのですが、歌詞の内容がツアー・ソングであることから選ばれた、と取るのが無難なところのでしょう。


QUEEN4枚目のアルバム制作に入るシーン。



QUEENマニアの方ならお気づきでしょうが、映画に登場するEMIの担当者であるレイ・フォスターは架空の人物です。


カネを出すのはオレだ!と言い切る辺り、オーナーという設定なのでしょうか?

同席しているのは、マネージャーのジョン・リード、グループの世話係のポール・プレンター、そして弁護士のジム・ビーチ。史実でも実際にジムは”マイアミ”と呼ばれていたそうです。

ジム・ビーチは1975年1月にクイーンと出会っています。QUEENとは、トライデントとの契約に関して相談を受けたとされています。

1975年といえば、QUEENは4月に初来日を果たし、その歓迎ぶりに、メンバーは強い印象を残したと言われています。
初来日に空港に出迎えたファンの数は2000人とも3000人ともいわれています。

これは当時の日本の音楽雑誌「ミュージック・ライフ」が仕掛けたものでもあったのですが、1975年5月1日の武道館が初来日の最終公演で、ビデオ撮影が行われています。

トライデントとの関係を断ち切り、ジョン・リードがクイーンのマネージャーになるのは1975年9月でした。

ただしトライデントとはすっきりと切れたわけではなく、以降の印税の1%を支払い続けるという条件が課せられたそうです。

1977年までこの条件は継続されました。

この影響を受けて「A Night At The Opera」(オペラ座の夜)のアナログ盤LPの中ジャケットには、「Management - John Reid」と記されているものの、その下に大きくトライデントのロゴが記されていました。

また、ポール・プレンターがマネージャーを務めるのは1977年からです。


『A Night At The Opera』(オペラ座の夜)のレコーディング準備は、日本公演の直後の5月から始まり10月までレコーディングが続いています。

つまり、映画で4枚目のアルバムについてミーティングをしている時点では、実際にはジョン・リードも、ジム・ビーチもポール・プレンターも同席している、ということはあり得ないシチュエーション・・・という事になりますね。



シーンは田園風景が広がる牧場へと移ります。




事実としてもこのころのリハーサルの画像が多く残っており、大半はRidge Farmという農場の中の施設のもので、ここではリハーサルはしていますが、レコーディングは何ヵ所にも分けてスタジオで行われたそうです。



              ~ Love Of My Life ~


フレディが当時ステディな関係にあったメアリー・オースティンとの別れをテーマに創った曲であると伝えられています。






Love of my life you've hurt me
運命の恋人、君が僕を傷つける

You've broken my heart and now you leave me
君は僕の心をずたずたにして、今僕から去って行く

Love of my life can't you see
運命の恋人、判らないの?

Bring it back bring it back
戻して、愛を戻して

Don't take it away from me
それを僕から取り上げないで

Because you don't know
だって君は知らない

What it means to me
それが僕にとって何を意味するのか



この歌詞が、昔からクイーンファンを悩ませました。

これではまるでメアリーの方がフレディを捨てたように聞こえます。でも現実は逆ですよね。

メアリーと付き合い、同棲までしていたフレディーはやがて別の人に恋をします。別の「男性」を。

フレディー自身、自分の事はほとんど語ろうとしない人だったので、真実は誰にも判らないまま、この愛の曲は伝説と化してしまいました。

6年続いた交際以降も、メアリーは相談役兼個人秘書としてフレディーをそばで支え続けていました。

「Love of My Life」、つまり“生涯の愛”という曲が誕生するきっかけになったのも、彼を支え続けたのも彼女でした。

フレディー自身、ことあるごとに元婚約者への賛辞を口にし、彼女に30万ポンド(現在のレートで約4300万円)のアパートをプレゼントしてもいるのです。

「メアリーは僕の唯一の女友達だ。他に女友達はいらない」と彼は「ニューヨーク・ポスト」紙に告白しています。
「僕にとって彼女は内縁の妻なんだ。結婚しているのと変わらない。僕たちはお互いを信じているし、それで十分だ。メアリーに惚れたように、男に惚れることはできないと思う」と語っています。


~けれど、僕の愛が僕を裏切る。~

こう解釈できないでしょうか?

つまり「Love Of My Life」の「Love」は、アルバムの歌詞カードの和訳にあるような「恋人」という意味ではなく、まさに「愛」フレディの中にあってメアリーと、そして彼自身とを今まさに裏切ろうとしている彼の愛情そのものを指しているのではないかと私には思えます。

そう考えれば、「Love Of My Life」の歌詞は非常に現実味を帯びます。

 

僕の愛情、それが僕を傷つける

愛が僕をずたずたにして、僕から去って行こうとしている

僕の愛情、どうか判って

戻って来て、戻って来て

メアリーへの愛を僕から奪って行かないで

それがどんなに大事なものか、お前は知らない


歌詞についての分析は多くなされていますが、この映画でも語られている通り「歌詞はリスナーの解釈」であり、実際にフレディー自身から詳細な解説をされたことはありません。
つまり、得られる情報は誰かの解釈でしかないのです。
これはQUEENメンバー全員の一致した見解でした。

解釈は様々存在するでしょう。
ただ、私にはこう解釈するのがスッキリと来るのです。



楽曲「ボヘミアン・ラプソディ」のレコーディング・シーン。

ロジャーは小さい頃、聖歌隊に入っていて、フレディよりも若干音域が高いのです。
ライブでも高音パートは殆んど担当していました。
ブライアンはさほどコーラスに熱心ではない感がありますが、ロジャーは一時期「コンサートの役割の半分は歌うことだ」と発言していました。

ギター・ソロのレコーディングのシーンでブライアンが時折ギターに向かって話しかけていますね。エレキ・ギターのピックアップ(マイク)部分は、通常のボーカルマイクのようにコツコツと叩けばその音が増幅され、話しかければ(音量はどうあれ)ミキシング・ブースへアンプを通じて話ができる構造になっていました。


再びEMIのレイ・フォスターに会うシーン。

「Bohemian Rhapsody」を否定し、シングル・カットをロジャーの「I'm In Love With My Car」を推すレイ

レイは「Bohemian Rhapsody」では車の中で頭を振って聞けない」と言いますが、1992年の映画『ウェインズ・ワールド』でレイ役のマイク・マイヤーズは「Bohemian Rhapsody」に合わせて車の中で首をガンガン振っています。
これは思うに、一種のパロディなのでしょうね。
悪戯心が詰まっています。


      (ウェインズ・ワールドのワンシーン)



ロジャーの「I'm In Love With My Car」についてはQUEEN⑪でも触れています。YouTubeも張り付けていますので、是非ご覧下さい。


楽曲「Bohemian Rhapsody」をラジオに売り込みに来たフレディーのシーン



ケニー・エヴェレットはキャピタル・ラジオのDJ。コメディアンとしても活躍していました。出来上がったシングルをフレディが持ち込んで、というエピソードは史実に基づくものです。

QUEEN②でも触れましたが、ケニー・エヴェレットはフレディーの友人です。
ダイアナ妃を気晴らしにゲイ・バーへと連れ出した共犯者でもあります。

映画ではメアリーが疑いの眼差しで見つめるシーンもありますが、ヤキモチを妬くくらいケニーと仲良しだったことは事実のようです。