WONDERFUL ROCK -2ページ目

ふたつの〈My Back Pages〉

text by kazgadd


さて、前回の続き。「とっておきの話」なんて、不用意にハードルを上げてしまったことを後悔しているのだが(笑)、まずはこの映像をご覧いただきたい。ディランの30周年記念ライブから〈My Back Pages〉である。





初めてご覧になる方は、特に違和感を感じることはないかもしれない。
ロジャー・マッギンが歌い出しをリードし、トム・ペティとニール・ヤングがそれに続く。クラプトンがギター・ソロに続いて、ボーカルもとる。そして、ディランの登場。さらには、なんとジョージがそれに続き、最後はニールのギター・ソロで終わる。実に豪華!


しかし、実はこの映像のディランは、後で「歌い直して」いるのだ。それから、トム・ペティの歌い出しのところが上手に切って「繋がれて」いる。

その晩の実際のパフォーマンスは、こちらの映像である。
トム・ペティの歌い出し(入るのが遅れたので、GE Smithが他のメンバーに合図しているのがわかる)と、ディランのパートを注意してお聴きください。


 


このコンサートの模様は、後年、ビデオで発売されたのだが、さすがのディランも、その晩の自分のボーカルは気に入らなかったのだろう(笑)。力強いボーカルに、見事に吹きかえられている。

クラプトンがギター・ソロのあと、ディランに「あなたが歌う番ですよ」とサインを出すのだが、オッサン(失礼!)はどうもわかってないみたいなので、自らセンターに早足で出て行ってボーカルをとるあたりも、「通」の方は見逃さないでほしい(笑)。

クラプトンのソロも良いけれど、ニールのソロも一曲入魂。〈Words〉のソロを彷彿とさせて良いですよね。
その晩は、この曲のあと全員がステージ上に登場し、〈Knockin' On Heaven's Door〉で感動的なフィナーレを迎える。