『修験道の真実と未来』 | ドット模様のくつ底

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福祉的な目線から心の問題を考えています。



修験道の真実と未来―神と仏と日本のこころ (あをによし文庫)/京阪奈情報教育出版
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奈良県の各宗教者が一堂に会し、
宗教宗派の垣根を超えて
ともに研鑽し合うための勉強会として
平成16年からはじまった
奈良県宗教者フォーラム。

3年ごとにテーマが設けられ年に1回、
基調講演、パネルディスカッションなどを行っています。

平成23年から25年は「修験道」がテーマでした。

平成25年にフォーラム開催10周年を迎えた記念として、
3年間の「修験道」がテーマの内容を
1冊にまとめられました。

編集委員には
春日大社 権宮司 岡本彰夫氏
金峯山寺 宗務総長 田中利典氏
がいらっしゃいます。

テーマが「修験道」なので、
修験道の根本道場である金峯山寺の
田中利典さまのお話が初心者向けの話になっていて、
社寺の宗教者や宗教学者などの方々が各お立場から
ディスカッションしていたり、
あるいはご自身の所属されている社寺の歴史から
修験道について深く掘り下げて語られていたりと、
かなりのコアな内容になっていました。

本の構成としては、
まずはじめに利典さまの「修験道入門」のような話で
修験道とは何かを学び、
本書を読みすすめていく感じになります。

第一章・第二部パネルディスカッション「歴史にみる修験」
や、
第三章・シンポジウム「修験道の諸相」は
個人的に興味深い話が多くて
かなり読み応えがありました。

たとえば第一章のパネルディスカッションでは
役行者の出生の地と伝わる葛城の高鴨神社の
鈴鹿義胤宮司による話があり、

金剛・葛城山地の地理的な重要性や
霊験あらたかな土地であったこと
及びその歴史の話や、
「狼男は本当にいるのか」という見出しでは、
脳神経と月の関係が語られています。


東大寺狭川普文さまからは
平安時代には法華堂で修験の行が盛んであったとする記録があり、
法華堂、天地院、閼伽井社を回峰し行する
「千日不断花」と呼ばれる千日回峰行の話などがありました。


相当コアではあるのですが、物事の真理に迫るような
深遠な話が多くみられました。


第二章「修験道の歴史と展開」という
公開講座をまとめた章は、
内容が相当難しいです。

なので、吉野や熊野だけでなく
東大寺や興福寺の大峰修行のことなど
奈良の歴史を事前に勉強しておかないと
読むのはしんどい感じでしたが、
重要な修験の歴史が語られていました。

修験道の本は多くありますが、
宗教者の勉強会として開かれてきたフォーラムでは、
多くの知識が参集しているので、

多角的に修験の歴史を知るには
この1冊といえるほど、
貴重な1冊であると思いました。



それでは、
今日も皆様が健康で幸せに過ごせますように。