ラストシーンは
外です。
雪の降る中のイルミネーション…
おしゃれ重視でバレンタインの衣装を選んだ私は薄着をしている。
このソンモくんも私が寒いのがすごく嫌なんです。
「おしゃれしてかわいい葉子ちゃんもうれしいけど、風邪引いたら元も子もないんだから気をつけないと」
なんて叱られたりして。
…かわいい雑貨店に入るとすぐにソンモくんは一旦消えた。
いつのまにか手には紙袋…で
そばに来てそろそろ出ようかって。
外に出て寒すぎて震えまくる私に
笑いながらも紙袋をゴソゴソしたソンモくんは「はい」って首にマフラーを巻いてくれた。
寒そうだったからねって言いながら。
「ソンモくん…」
そのさり気なさに
そのくしゃくしゃな笑顔に
絶対勝てないって私はすべて投げ出しちゃいたくなった…
なんてやさしいの?
手袋は買わなくてもこうすれば…
ほら、いらないでしょ。
あ~すごく冷たくなってる~って
ソンモくんは私の手を握ってそのまま自分のコートのポケットに入れた。
ここにもついに入っちゃった…
すぐ隣だとか
ポケットの中だとか
私の知らなかったソンモくんをひとつずつかみしめながら
伝わる温かさをジンワリ感じて…
ポケットの中でそっと握り返してみる。
何でもない話を続けながら歩きながら
ソンモくんはギュッと握り返してくれた。
もう一回だけ。
ちょっとドキドキしながら
私も話に相づちを打ちながら
また握り返す。
…やっぱり(*^^*)
ソンモくんはまた握り返してくれた。
こんなに小さな密やかな場所でもお互いの存在を確かめ合えるなんて…
ああホントに幸せ。
イルミネーションに照らされたキラキラの雪があまりに綺麗で、
ポケットに入ってない自由な方の手を空に向けた。
押し上げられて雪は手のひらに止まる。
視線を感じて横を見ると
やさしく微笑んだまま…
ん?って眉毛を上げたソンモくん(*^^*)
「どうしたの?」
ソンモくんに聞く。
「葉子ちゃんがすごく幸せそうだなって思って」
ポケットの中の手がまた私の手を握り返す。
「ソンモくんと一緒に見られたから幸せなんだよ」
ああ涙が出そう…。
「そんな葉子ちゃんのそばにいられて本当にうれしい」
ポケットに入れていた手が出され
そのままソンモくんは私を引っ張った。
なんの覚悟もないまま
あっという間にソンモくんの胸の中…
しっかりと抱きしめられて動けなくなる。
「今日はまだ帰りたくないな」
「え…っ?」
「もっと一緒にいたい。…ダメかな?」
胸の中であわてて首を振る…
見上げるとすぐそばに
大好きなソンモくんの笑顔があった。
END