ご報告が遅くなりましたが、先日インドでのサッカー生活を終えて日本へ帰国しました。
2019年のACL出場を目指してきましたが、怪我とパフォーマンスの悪さを理由にクラブから解雇されてしまいました。
沢山の方に応援していただきながら良いご報告ができなかったことがとても残念です。
ここでインドで過ごした7ヶ月のサッカー生活を少しだけお話しさせていただきます。もしよかったらお付き合いください。
前回ブログを更新したときに「休みがない!」と言っていましたが、結局そこから完全なオフは2,3日しかありませんでした。
プレーシーズンは毎日4時起きの朝練と夕方練習の二部練。朝と夕方の練習の間には指導者講習やビデオミーティングなどを必ずはさみ、休む余裕はありませんでした。
練習をしない日があっても朝早くにヨガをやって夕方からリカバリートレーニング。
基本的に食事は朝、昼、晩の三食をクラブのアカデミーにある食堂で選手みんなで食べないといけません。もちろん毎食カレーです。
「今日はオフだ!」と言われても夕方には必ずミーティングがありました。これはオフじゃない...
外に出かけてもいつ鳴るかわからない携帯を常に見えるところに置く毎日。心が落ち着く暇もありません。
この休みのない日々に加えて、州リーグが始まりプレシーズンを過ごしました。
あ!
たまに「ムービーセッション」や「FIFAセッション」と連絡がくることがありました。
なんだと思いますか?
"セッション"という名の選手みんなで映画を見たり、プレステのサッカーゲームをする時間です。指名をうけた選手は朝7時だろうとゲームをしにアカデミーにいかなければないりません。
クラブの指示を守らないとビッグボスから連絡がくるか、もしくは罰金となり給料が減ります。
月2回以上必ずあるヨーヨーテスト。簡単に言うと走力テストです。たまに週2回のときもありました。「記録が悪いから2日後にもう一度走る」と言われても、身体を休める時間がなければ記録も伸びないと思います。でも、そんなことは関係ありません。言われたことができなければ罰金です。
試合前日は5リットルの水を飲め!と言われ、試合直前に抜き打ちで検査が始まり尿の色が濃かったときも罰金です。自分も一度、色が濃かったことでビックボスから鬼の形相で怒られました。
小さな出来事を振り返ればきりがありません。結局、この休みを与えられない毎日はリーグ戦が始まっても変わることはありませんでした。
そして、僕は長いプレシーズン最後の親善試合で膝を負傷してしまいリーグ開幕戦に出場することができませんでした。
「チームにリフレッシュするためのオフを与えて欲しい。このままだと怪我人がでる。」と、ずっと訴えていました。しかし、受け入れてくれることはなく、最悪なことに自分が怪我によってチームから離脱しました。
「左膝内側靭帯損傷、全治3ヶ月」
これがインドでの診断結果。
結局、「2ヶ月で復帰しろ」と言われ続け、右足も左足もボールが蹴れない状態で12月末にピッチに戻りました。3試合に出場するも最後はパフォーマンスの悪さを理由に契約を一方的に破棄され不当解雇となりました。
日本帰国後、改めて診察を受けた結果
「前十字靭帯断裂」「半月板損傷」
でした。
つまり、靭帯が切れたままプレーしていたことになります。
怪我直後に撮ったMRIの写真を携帯で撮影し、日本の知り合いドクターの方に診てもらったとき「実際に触ってみないとわからないところもあるけど、前十字靭帯断裂してるかも。」と伝えられていました。
けれど、インドでは6人のドクターに前十字靭帯は「切れてない」と言われました。
もう一度言います。6人のドクターです。
怪我をしてしまった遠征先はパキスタンとの国境付近で内紛の影響で銃撃戦がよく起きる街でした。そこの優良ドクターと呼ばれる人の診察は「切れてない。」
遠征先から戻った後、国立無料病院の整形外科のドクターとチームのフィジカルコーチが別室にこもり書いた診断書も「切れてない。」
裏で何か口合わせをしてるのではないか。怪しいと思いちゃんと診てくれと伝え、連れていかれたのは麻酔なしで縫合している人を隣にした血が滲むベットの上。そこに現れた病院一番の膝ドクターの診察も「切れてない。」
5年前にも同じ怪我をしているからスポーツ専門の病院に連れて行ってくれとお願いし、やっと連れていかれた街の一番のアスリート系ドクターも「切れてない。」
結局、それだけのドクターに同じことを言われたことによりチームは早期復帰に向けて僕の話を聞いてくれなくなりました。もちろん日本に帰国してちゃんとした診察を受けることも許されませんでした。
「インド初のオリンピック金メダリストが建てた治療センターでリハビリさせてやるぞ!」と連れていかれた施設のドクターも「切れてない。」
2度目に撮ったMRIのデータをチームがクリケット業界一番のドクターに見せても「切れてない。」
(よく見たら軸足の左膝が少し内側に曲がってます。靭帯切れていたらこうなるし、復帰戦となったこの試合のロスタイムもPKを止められてしまいました。)
そして、帰国後、日本のドクターが最初に発した言葉は
「(靭帯が) 微塵もないね...」
その言葉を聞いたとき、全てを悟り、全てを覚悟しました。
来月、手術となります。これにより今年は日本に滞在することになりました。しばらくピッチの上に立つことができません。
全治8ヶ月
サッカー選手にとって選手生命を左右する大怪我です。
僕は5年前に同じ膝の怪我をしています。そのときも復帰まで1年の時間をかけました。
今回の怪我を嘆くことは簡単です。誰かのせいにして現実から目を背けることもできます。けれど、自分から前に進んでいかないと成長できないことを知っています。
引退はしません。
12月の復帰を目指し時間をかけてリハビリ、トレーニングをしていきます。そして、2020年に海外でサッカー選手として再びピッチに戻れるように毎日をすごしていきます。
前回、この怪我から復帰したシーズンに得点王とベストイレブンを獲得することができました。
その経験があるからこそ今を前向きに考えることができます。そして、たくさんの応援と支えがあるから心が折れずにいられます。本当にありがとうございます。
今、自分に何ができるか。
今、この怪我をした意味は。
そしてなぜ今なのか。
サッカーができない分、時間はたくさんあります。この日本にいる与えられた時間をどうするかは自分次第だと思います。
※ 講演会資料
※ プライベートレッスン「コソ練」
復帰に向けたリハビリとトレーニングはもちろん全力で取り組みます。
その一方で、海外でサッカーを仕事にして7年が経ち、現役選手だからこそできることがあるのではないか。そういった想いから講演会や「コソ練」をやらせていただこうと思っています!
ありがたいことにすでに数件のご依頼も受けています。そして嬉しい感想もいただきました。
もしこれらの活動に興味を持っていただけましたらお気軽にご連絡ください!退院後に松葉杖だとしても全国どこにでもかけつけます!(コソ練は厳しいですが。笑)
他にも話を進めているセミナー、慈善活動、サッカーイベント、フットサルイベントなどがいくつかあります。随時、企画がまとまり次第お伝えさせていただきます。
今年は沢山の人に会って、沢山のことにチャレンジして、沢山の失敗をして、もっと成長したいと思います!
人間万事塞翁が馬
こういうときだから明るく楽しむ気持ちでいます😊
(インドの思い出写真!)
最後に...
復帰してからチャレンジしていきたい国は...
アゼルバイジャン🇦🇿オマーン🇴🇲キプロス🇨🇾!!
サッカーに限らず、何か「良い繋がりあるよ!」ってある方がいましたら是非連絡してください!話を聞かせてほしいです✨
最後まで読んでいただき
ありがとうございました!
久保木優
公式HP: YUKUBOKI.net
《過去のブログ一覧》
→前十字靭帯断裂から復帰した試合とそこにいたるまでの紆余曲折した4年間のお話。
→ 大学卒業してから5年。得点とベストイレブンを獲得したときの想い。
『人間万事塞翁が馬』
→ステップアップしてから開幕戦前日に不当解雇されたときの想い。そして、好きな人に告白した話。
→自分の可能性を限定せず環境を変えるためにオーストリアへ渡ることを決めたときのブログ。
『前十字靭帯話』
→新シーズン開幕戦、開始1分で大怪我をしてからのリハビリブログ。誰かの些細な助けになればと思い書きました。