ダライ・ラマ法王の講演を聞いて | 創業280年★京都の石屋イシモの伝言

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昨日、ダライ・ラマ法王14世の「密教講演会」に行ってきた。

“密教と即身成仏の法”と云う難しいテーマで、京都に在る、
真言密教系の大学が開催した、特別講演会である。

ダライ・ラマ14世と云えば、チベット密教(ゲルク派)で最高位の
仏教博士号を持ち、世界的に有名な宗教家だが、私には、あまり
知識が無かった。今回、学ぶ機会を頂き、感謝しての参加である。



ダライ・ラマ14世は、1935年にチベット北東部の村に住む、農家で
生れ、2歳の時に、ダライ・ラマ13世の転生者として認定された。

6歳から僧院で学習を始め、23歳でラランパの学位(仏教哲学の
博士号)を受けている。だが1959年(24歳の時)、中国の侵略から
逃れ北インドでチベット亡命政権を樹立。元首を務めている。

法王は迫害を受けながらも、世界各国で慈悲の心と非暴力の教え
を説き続けてきた。1989年、ノーベル平和賞受賞。現在78歳

来日講演も多く、テーマは仏教だけでなく、世界平和や環境問題、
宇宙、生命、脳科学などの科学者との対話等々、幅広い分野での
講演活動が、毎年、各地で行われている。ところで‥

今回の講演は、真言密教系の大学で開催されたものだが、テーマの
「密教と即身成仏の法」は、最もダライ・ラマ法王から伺うのに、
相応しい内容(私に理解可能かは別)だった、のではと思えた。

                 

会場は大学の体育館。と云っても、さすがに真言系だけに、壇上
正面の真中に大日如来がおられ、後ろの壁面の左右には曼陀羅が
掛けられ、壁面上部には浮彫の法輪が飾られている。

その前に、花壇が造られて、後ろに、法王の席が置かれている。

朝10時に講演開始だが、それ以後は入場ができず、12時の終了
まで中座もできない。カメラ、録音機器の持込みは禁止。

受付で身分証明書を提示し、鞄の中身チェックと、空港のような
金属探知機の棒で、ボディーチェックもある。

世界のダライ・ラマ。さすがに、セキュリティーは厳重である。

客席は満席。最前列から5列目までは、寺院関係者で、150席程。

その後ろから一般席(AからU)で、約630席、両方の合計で830席。
それにスタッフ関係を入れると、約850人位の参加だろうか?

10時15分、初めの挨拶の後に、在校生(勿論、お坊さん)18人が
壇の下に並び、厳かに声明(しょうみょう)が唱えられる。

全員起立、合掌の中、ダライ・ラマ法王14世が、入場された。

10時20分、講演開始。

法王が話した後に、男女二人の日本人通訳が内容をこと細かに
伝えてくれて、テンポも良く、とても解り易い展開である。

話は、チベット密教誕生の歴史から、各派の宗教哲学の相違点、
インドの高僧シャーンタラクシタ、大行者パドマサンバヴァ、
カマラシーラ、龍樹菩薩、三つの戒律、菩提心、などについて、
細かく説明をされたが、非常に学術的かつ、哲学的な内容が多く、
どの話も、興味深く、聞いていて面白いのである。

講演後の質問時間に出された、チベット密教における成仏とは?、
空海の入定について、「空」と「無」の違いは?、観音様の慈悲
について、などの話も専門的で興味深い。

ところが、薄暗がりの中で、一生懸命にノートへ書き、その場は
何となく理解していた、つもりだったが‥

今、改めて書き撲りの字を見ると、チンプンカンプン。ワカラン

頭の中、全てが「空」と化しているようだ。ト・ホ・ホである


最もチベット密教の話を聞くのは、今日が初めて。
話は面白いが、知らん事も多いと、知っただけでも価値はある‥

改めて、もっと勉強したいな、と、いつになく前向きだ。

と云うのも、法王が最後にこんな言葉を、残してくれたお陰だ。

「皆さん、物事は何度も学び、そして様々な角度から分析をして、
 自分の中で内面化する事
が大切です。何度でも学んで下さい」

「もう一つ、私は釈尊を決して、特別な“神”とは思っていません。
 私は釈尊は、偉大な哲学者で思想家で、科学者だと思ってます」

さすが偉大な宗教家であり、科学にも精通された法王である。

学んだ傍から「空」と化す、メモリーが老朽化した凡夫にとっては、
メゲズ、学ぶ事に勇気を与えてくれた、ありがたいお言葉であった。