胃経・脾経とSFL・DFL(衝陽×太白×ストラテジー) | 毎日をちょっぴり生きやすくするあべもん(安部源生)のブログ

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作業療法士という生活を支える仕事をしています。講演会を全国10ヵ所以上でやっています。内容はセラピスト向けぁと筋膜、東洋医学、心理学。一般向けだとストレスケア、コミュニケーション など

皆さん、こんにちは!

OOOなセラピスト、
(Occupational therapy(作業療法)
×Oriental medicine(東洋医学)
×Oita(大分))

Oriental Physio Academy大分県支部長の
安部源生(あべもとき)です。

自己紹介
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今回は
アナトミートレインでいうと前側のテープです。

表層のスーパーフィシャルフロントライン(SFL)
深層のディープフロントライン(DFL)
になります。

左がSFL、右がDFLです。

経絡とリンクさせると、
僕的には
前面のテープを胃経
前面内側のテープを脾経
として捉えます。


アナトミートレインのラインが経絡とまったく一緒ではなく、
重複したり、足りない部分もあるため、
ざっくりとそう捉えています。

【SFL・DFL】
SFLは、
後のテープ=SBLとの
バランスをとっています


後から引っ張るSBLを反対の前側から引っ張っているので、
ヨットに例えられます。

赤の線①がSBL、青の線②③④がSFLです。


DFLはSFLとSBLのバランスを完全かつ複雑にする役目もあります。



また、他のラインにくらべると横の幅が大きく、
特に
身体の指示に重要な役割を果たします。
アナトミートレイン著者のトーマス・マイヤーはこうまとめています。
・内側縦アーチを引き上げる。
・下肢の各区分を安定させる。
・腰椎を前方から支える。
・胸部を安定させ、呼吸のリズムを保つ。
・脆弱な頚部とその上にある重い頭部のバランスを保つ。

また、
DFLは身体筋膜構成の中心を形成するため
非常なラインのひとつと言われます。

【腎経・脾経】
それでは、次に腎・脾経の説明に移っていきます。
まずは、
胃・脾経の
原穴からです。
自分はツボを臨床に取り入れる時は
原穴から押すことが多いです。
効果的なら治療にもなりますし、
そこがダメなら別のラインの治療に移れるので、
評価と治療が一緒にできます。

胃経の原穴は
衝陽で、
第2中足骨底部と中間楔状骨の間です。
脾経の原穴は
太白で、
第1MP関節近位です。


SBLの時はアキレス腱をキーワード
にして解説しましたが、
SFLは長指伸筋DFLは長指屈筋
キーワードにしたいと思います。
※自分はOTなので、
PTの方からしたら、「そんなの違う!」
というのもあるかと思いますが、
「そんな風に考える人もいるんだなぁ」
と温かい目でお願いします笑

①衝陽
この付近は長指伸筋が通ります。


標準解剖学より抜粋

長指伸筋の筋力は
底屈筋と背屈筋のバランスを保つためにも重要
とされます。
つまり、
前後のテープの張力のバランスにも大きな影響を与えるのです。

②太白
こちらのキーワードは
長指屈筋です。



標準解剖学より抜粋

長指屈筋は足指屈曲の作用あります。
それともう一つ、
第1~5指を引手前に引くと同時に
距骨と踵骨を安定させる作用
があります。

立っているときに足指に力をいれるときに、
多くの方が指を曲げてしまいます。
実はこれ、
力は入りましたが
支持面は狭くなっています
(上図)
理想的な足指の力のいれ方は足のアーチを高くするように
指を手前に引くことです。
(下図)




むしろ、MP伸展位になるくらいがいいです。
伸展位になるとしっかりアーチを意識できます。
(ウィンドラスの巻き上げ機構と言います。)

このMPを伸展位にするときに
指の靭帯にむくみや固さがあると、
伸展が上手くできません。
これがちょうど
太白の付近です。

ちなみに、
脳血管疾患等後遺症の方の手指のリハビリ時にも
手指のMP関節付近、
靭帯の間をほぐしていました。
手指のむくみや固さが軽減され、伸展可動域の向上が見られていました。

MP関節の靭帯周囲の固さやむくみがとれることで、
足指が屈曲位とならず、
アーチを引き上げた形のMP伸展が可能
となります!

また、
長指伸筋は、背屈
長指屈筋は、底屈
の作用もあるので
前側2つのラインでもバランスを取り合っているようにも感じます。

③ストラテジー
SFLのアキレス腱、SFLの長指伸筋、DFLの長指屈筋
それぞれが効率よく働くことで、
よりパフォーマンスがよく、バランスの取れた身体となります
以前、アナトミートレインのテンセグリティーでお話しした、
しなりのある身体ですね!

ではなぜ、
しなりを作ったり、
パフォーマンスをよくしたり、バランスをとるのに
足部の話を多くするのでしょう?
そういうのと言えば
「今流行りの体幹トレーニングじゃないの?」
って話にもなりそうですが…

それには理由があります。
体幹の話はいったん次回に回すとして、
今回は
なぜ、足部か?
ということを述べたいと思います。

ストラテジーという言葉をご存じでしょうか?
戦略」を意味する言葉です。

バランスを取るときに、
「足関節、股関節のどちらかでバランスをとるか?」という
運動の戦略を立てる概念です。

一般的には
足関節でバランスが取れなくなったら、
股関節でバランスをとります。
股関節でもバランスが取れなくなると、
足を踏み直します。

足関節の運動戦略は
安定した場所・空間で使うことができ、
アンクルストラテジー
と言います。
股関節の運動戦略は
不安定な場所・空間で使われ、
ヒップストラテジー
と言います。


ちなみに、
踏み直すことはステップストラテジー
と言います。

股関節がバランスをカバーできるの(ヒップストラテジー)が全体の85%、
足関節(アンクルストラテジー)が15%と少ないですが、

安定した場所ではまず、アンクルストラテジーを使うことが重要です。

しかし、足関節が固い人は
安定した場所であってもアンクルストラテジーではなく、
ヒップストラテジーを使ってしまいます。

ヒップストラテジーは
不安定な場所で使う運動戦略です。
安定した場所でヒップストラテジーを使っていると、
不安定な場所では姿勢を制御出来なくなります。
そうなると、
ステップストラテジーを使わざるをえません。
高齢者の場合、それが転倒に繋がります。

なので、
足関節の可動域や
支持性を高めることが重要
なのです。


いかがでしたでしょうか?


自分で考えをまとめていても、
そういうことか!
とリンクする所が西洋医学と東洋医学にはあります。
勉強すればするほどおもしろいですよね。


最後まで読んで頂きありがとうございました!
これからもよろしくお願いします!