体幹(アナトミートレイン×体軸×双葉山) | 毎日をちょっぴり生きやすくするあべもん(安部源生)のブログ

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作業療法士という生活を支える仕事をしています。講演会を全国10ヵ所以上でやっています。内容はセラピスト向けぁと筋膜、東洋医学、心理学。一般向けだとストレスケア、コミュニケーション など

皆さん、こんばんは!
OOOなセラピスト、
(Occupational therapy(作業療法)
×Oriental medicine(東洋医学)
×Oita(大分))

Oriental Physio Academy大分県支部長の
安部源生(あべもとき)です。

自己紹介

今回、
アウトプットしたいのは、
SFL・DFLの時に少しだけふれた
体幹についてです。

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体幹に対する研究は色々な方がされていて、
考え方も変わります。
人によっては180°違う何てこともあったりします。
どの分野でもそうかもしれませんが…
正直、僕も良くわかんない所もあります笑

「体幹筋を固めて使えばいい!」
「…っていうのはどうなの?」
というのが最近の流れだと思います。

また、
「腹直筋などのアウターではなく、
腹横筋などのインナーを使っていきましょう!」
というのも良く聞く話だと思います。

そこからさらに、
「ほんとに腹横筋だけ固めてりゃあいいの?」
という話す方もいます。
お腹を凹ませる=ドローインして、
腹横筋を固めて使うメリット、デメリットが
色んな所で議論されています。


今回はアナトミートレインの補足編。
アナトミートレインからみた体幹、腹横筋の話をしたいと思います。


SFL・DFLの時で触れた様に、
SBL(後のライン)とSFL(前のライン)が
前後のバランスを取っています。
そのバランスをDFL(深層の前のライン)が完全、かつ複雑に
しています。

SFLの姿勢機能は、
重力線より前で伸展する部分を張力で支えること
です。
「重力線より前で伸展する部分」とは
恥骨、胸郭、顔
です。
これらを上から張力でささえる筋・筋膜が、
胸鎖乳突筋、胸骨筋膜、腹直筋、大腿直筋/四頭筋
です。
身体前面の腹腔内臓器を保護し、膝の姿勢的伸展も維持します。

また、
DFLの横隔膜・腸腰筋
SFLのハムストリングスは
体軸理論では
「センター」という意識を形成することに重要
と言われています。
ちなみに、僕自身は体軸について深く学んだ訳ではありません。
僕の解釈をかなり含みますのであしからず。



「センター」という意識は
直立した時に背骨の前
つまり
身体の重心線とほぼ一致したところを
通っています



「ほぼ一致」なので、
若干ちがう所もあります。
その一つが
膝関節の後面を通り、
脛骨直下で体重を支えている所
です。


腸腰筋・横隔膜、ハムストリングスの
2方向があることでその中心、
「センター」を
意識できます。
これは脳の感覚処理とある意味同じです。
「感覚野がAというものが認識できる。」
これだけでは相対的な関係性が解りません。
Bというものが認知できて初めて
その距離や速さなど関係性が解ります。


暗闇の中で自分の位置が解らなくいときに
周囲の音がなければまったくどこに進んでいいか解りません。
出口から音がすればそこまでの方向が解りますし、
音の大きさや聞こえ具合から距離も予想がつくでしょう。

一般的な重心線は、
アライメントに基づいた中心線です。

しかし、
体軸理論でいうセンターの意識は
前側(腸腰筋・横隔膜)と後側(ハムストリングス)
2方向の張力からのセンターなので、
アライメント=姿勢によって中心が左右されることはありません。

腹横筋-骨盤底筋-多裂筋のコアユニットは身体の中心は意識できますが、
下肢との相関性が捉えづらいです。
(上の図のAだけが解る状態に近い)
そのためか、
腹横筋に力を入れようとしても下肢ばかりに力がはいってしまうということも
多く感じます。

センターの意識から捉えられれば、
軸はは脛骨直下となります。

多くの人は
脛骨が外旋していることも多く、
腓骨側で荷重してしまいます。
腓骨は脛骨よりも細いため、
脛骨で体重を支えるよりも、
余分な筋力を使ってしまいます

腸腰筋・ハムストリングスが協調的に働くことで
より機能的に重心線を意識でき、
しなりのある身体をつくれるのです



腹横筋に話を戻します。
腹横筋とアナトミートレインの関連ついて考えてみましょう。


実は、
SFL・DFLラインの筋には腹横筋の名前はありません。
SFLや横のラインである、ラテラル・ラインにもです。

ここからは
僕の考えですが、
腹横筋はフロントラインの真ん中を
直角に横切ります。


オレンジの線が腹横筋です。

前後のラインは身体を上下に走っています。
その上下の張力で身体を支えるのが
今まで説明してきた
アナトミートレイン
の捉え方でした。

そう考えると腹横筋の走行は
強く働くと、
かえってSFL・DFLの働きを
邪魔してしまうのでは?
と考えてしまいます。
腹横筋はウエストを絞ります。
直角に横切る力が働く分、
前後のバランスの微調整が上手くいかないのでは?
と考えます。

また、
腹横筋を固めてしまうと、
横隔膜が抑制されます。
そうなると、
前のラインは上手く働くことができません。


そのため、腹横筋は
姿勢制御に関っている筋連鎖のどれともリンクしていない
とも言われています。


研究によると、上下肢を動かす直前には腹横筋が先に収縮するため、
脳血管疾患後遺症後などの上肢のリハビリには
腹横筋を入れる事も必要でしょう。
(ボバースなんかでは先行随伴性姿勢調節=APAsといわれますね。)

ただ、
高度なパフォーマンスを要求される、
例えばスポーツの場面などでは
ドローインなどで腹横筋を固めて使ってしまう事は
デメリットも多いのです。
スポーツでなくても、
腹横筋をずっと固めて使っていては
かえって腰を痛める原因ともなりえます。

固めて使う剛性の身体ではなく、
必要な時には力が入ってない、
しなりのある身体
の方が理想的ですよね?

腹横筋や骨盤底筋に力を入れっぱなしで
遠心性収縮が出来ない人が
多いこと多いこと…

収縮力だけでなく、
弛緩力にも目を向けて
使える幅を増やすことが大事ですね。


ある意味それを極めたのが
我が町宇佐市出身の昭和の大横綱
双葉山(1912~1968)
です。


Wikipediaより

「不世出の横綱」「相撲の神様」
「昭和の角聖」とも呼ばれ、
日本一の相撲取り
と言っても過言ではないでしょう。


ちなみに、宇佐市内には「双葉の里」という双葉山の記念館があります。
双葉山の生家も復元されています(画像下)。


宇佐市ホームページより

この双葉山は
取り組み中、
ひっきりなしに足を動かしていました。

普通の力士は組み合った時には足を動かさず、踏ん張っています。
ある意味、剛性の身体と言うべきでしょうか。
しかし、
双葉山は上肢は不変に保っていますが、
腰から下を多彩にまめまめしく使い続けています。
こちらの方がしなりのある身体と言えるでしょう。
腹横筋をがっしり常に固めていては
この様な動きはできません。

また、ひっきりなしに足を動かしていても横隔膜・腸腰筋とハムストリングスが協調的に働いていれば、
「センター」を意識でき、
しっかりと立つことができます。

そこが
69連勝という
未だに破られていない記録の理由なんですね。



いかがでしたでしょうか?
体幹や腹横筋の分野は研究がさかんな分、
色んな考え方があります。
早期離床がかつては大バッシングされていた様に
どれが正解かは後の世にしか解らない部分もあります。
取り残されないように
色んな所から情報を得たいですね。

また、双葉山は体幹や体軸の話では
ピックアップされる人です。
興味ある方は「双葉の里」で
その強さが生まれた土地を見て、
感じてみてはいかがでしょうか?

以上、
体幹の話&大分の宣伝でした笑

最後まで読んで頂きありがとうございました!
引き続きよろしくお願いいたします!