短編 19.弟みたいなキミにときめくなんてありえない | 「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~

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趣味で小説を書いています。絵を描いたり写真を撮ったり、工作をしたり書道をしたり、趣味たくさんです。古典で人生変わりました。戦国時代&お城好き。百人一首とにかく好き。2016年、夢叶って小説家デビューできました。のんびり更新ですが、どうぞよろしくお願いします。



第1話はこちら↓






【セカンドステージ】


いつの間にか雨が降っていた。
怒りに任せて走った私は、ぬかるんだ地面に足を取られ、転んだ拍子にスリッパはどこかに飛んでいってしまった。
「痛いし、寒いし、もう、ほんっとムカつく!大っ嫌い」
サトシのバカ。許さない。こんなところに来てまで、あんたとケンカするとは思ってなかった。
湿った匂い。深い森。厚い雲に覆われた空。雨は私の体を冷やしていく。


もう動けなかった。私は、膝を抱えて丸くなる。そのまま目を閉じた。


どのくらい時間が経ったのだろう。現実なのか夢なのか、朦朧とする意識のなかで、足音を聞いた。それはどんどん近づいて、私の後ろで止まった。
サトシなの…?





つづく