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【セカンドステージ】
いつの間にか雨が降っていた。
怒りに任せて走った私は、ぬかるんだ地面に足を取られ、転んだ拍子にスリッパはどこかに飛んでいってしまった。
「痛いし、寒いし、もう、ほんっとムカつく!大っ嫌い」
サトシのバカ。許さない。こんなところに来てまで、あんたとケンカするとは思ってなかった。
湿った匂い。深い森。厚い雲に覆われた空。雨は私の体を冷やしていく。
もう動けなかった。私は、膝を抱えて丸くなる。そのまま目を閉じた。
どのくらい時間が経ったのだろう。現実なのか夢なのか、朦朧とする意識のなかで、足音を聞いた。それはどんどん近づいて、私の後ろで止まった。
サトシなの…?
つづく