短編 20.弟みたいなキミにときめくなんてありえない | 「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~

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趣味で小説を書いています。絵を描いたり写真を撮ったり、工作をしたり書道をしたり、趣味たくさんです。古典で人生変わりました。戦国時代&お城好き。百人一首とにかく好き。2016年、夢叶って小説家デビューできました。のんびり更新ですが、どうぞよろしくお願いします。



第1話はこちら↓








水色の幼稚園服を着たサトシが、雨の中で泣いている。私は、駆け寄って抱きしめた。
「こうすれば、あったかいでしょ」

…あったかい…背中が…あったかい…背中?

パチンと目を開けた。ふーっと息を吐いて、瞳だけを動かす。
ああ、夢か。
薄暗がりの中、焚き火がパチパチと音を立てている。


火の向こうに、私の部屋着が広げてあるのが見えた。意識がはっきりしてくると、私は下着姿で横を向き、背後から誰かに抱かれるようにして寝ていることに震え上がった。顔は見えないけれど、枕にしているこの腕は、明らかに男性の腕。

これは誰?どういうこと?

私は、体に掛けられた着物を掴んで胸の前で握りしめると、恐る恐る振り向いた。





つづく