短編 27.弟みたいなキミにときめくなんてありえない | 「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~

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趣味で小説を書いています。絵を描いたり写真を撮ったり、工作をしたり書道をしたり、趣味たくさんです。古典で人生変わりました。戦国時代&お城好き。百人一首とにかく好き。2016年、夢叶って小説家デビューできました。のんびり更新ですが、どうぞよろしくお願いします。




第1話はこちら↓




それにしても、私を助けてくれたこの男は、なんなんだろう。銀の髪に白い肌、細いけど筋肉質の体は、まるで朝霧の中を疾走する白馬のようだ。

この男に背中から抱かれながら一晩⁈

意識してしまって、なんだか目のやり場に困ってしまう。

「ふ、服、着ないの?」

「服?今、お前が着てる」

褐色のこの着物のこと?

これは最初に起きた時、私の体に掛かっていた着物だ。あの時、下着の上から羽織ったまま、今に至る。

「い、1枚しか持ってないってわけじゃないでしょう?」

「1枚しか持ってない」

「い、1枚しかないの?汚れたり破れたりしたら」

「そうなったら考える」

「そうなったらって…」

ああ、この人は服に無頓着なんだ。いつも同じ服ばかり着ていたサトシに似ている。思い出したら、可笑しくて吹き出してしまった。

「お前だって、あのネズミだらけの変な服しか持ってないじゃないか」

男は、部屋の隅に置かれた私の部屋着を指差して言った。



「ネズミかわいいじゃない。というか私、服は50枚、いや100枚ぐらいはありますから」

「はっ?100枚?アホか」

「いや、ステテコ1枚で何日も過ごす方が…って、ふふふ」

くだらないことで言い合っているのがさらに可笑しくて、私はケタケタ笑い転げた。

「そんなに可笑しいか?」

「なんか久しぶりに楽しくて。笑ったらスッキリした。ありがとう…えっと、あなたの名前…なんて呼べばいい?」





つづく