「愛し合う前に」 | 雪うさぎ

雪うさぎ

 子供のときから、作文とか読書感想文は苦手で^^。
 つたないながらも、少女漫画と少女小説の紹介をして
いきます。

著:風立真弓    小説「月光」


 小説「月光」という雑誌は、知らない人が多い

かと思います。今でもあるのかわかりませんが、

「アラン」からの、後継書みたいです。


 かの有名な「JUNE」を、より社会派(?)にし、

「”BL”が好き」とか「”GL”が好き」とか、軽い感じ

ではなく、少し真面目に同性愛を語る者のための

読み物といえるものでしょうか。

 というても、「ロリ」(少女愛)も、その範疇に収め

てたり、「帝銀事件の謎」やら・・・・うーん、雑多や

ね・・・なんですが・・・・・・・・・・・・・、この雑誌のメ

インは、”同性愛”をモチーフにした投稿小説であ

り、この作品も、その中の1つです。


 この作品は、「女同士」のほうなので、今でいう

「百合小説」になるのでしょうか?。

 また、男同士なら、現代風にいえば「受け」とか

そーなるのでしょうが、「タチ」と「ネコ」を明確に

区別し表現している作品であります。


 今日は、(新宿に4軒しかない。当時w。確か、そ

んくらいしかなかった)レズ・バーの男子禁制の

レズ・パーティの日(要は、お相手をみつける合コ

ンみたいなやつw)。

 織田村留(主人公)は、そのメンバーの中に、高

校時代の級友・梅川純子をみつける。


 純子は、高校時代、淡い恋心を抱いたた女性であ

ったが、”同性”であるがゆえに、その思いを断ち

切り、友達として終えようとし、それでも、その感情

が抑えきれず交友を断ち切ってしまった女性であ

った。


 純子(主人公・Wキャストな感じで)は縁談が決ま

っていたが、最も仲の良かった留のことが忘れられ

ず、気まぐれで、このレズ・パーティに参加していた。

 思いがけず、その中に留の姿をみてしまう。

 留は、この中では、洗練されていて人気ものらしい。

 同性愛とは、別の意味で「だから、やぼったい私は

交友を断ち切られたのか?」と思う純子。

 思わず誘いにのってしまった”ぼうい”も、「留さんは

僕の憧れなんだ」という。

 関係を結ぶ前に断りをいれてしまう、苦笑しながら

”ぼうい”は「これを許してしまうから、僕は”ぼうい”じゃ

なく”ぼうや”っていわれるんだけどね。」と。


 そのほかにも、レズ・バーの経営の難しさや、現在、

留とつきあっている朋子が女優で、マスコミの追求を

のがれるために、ゲイの男性と偽装結婚する話や、

CO(カミング・アウト)といえば、単純ですが、それを

できない立場にある人たちのことも、少しふれてます。


 物語のほうは、少女小説というかハーレクインみたい

な少女小説というか恋愛してます^^。


 「ほら、高三のとき、こんな風に朝まで話してたとき、

 何もいわず、部屋をでていったじゃない?」

 「君をほしくて・・・」

 「今は?」

 「ほしくない」


 「合宿のとき、一緒の布団で寝たときは?」

 「お風呂で私の裸をみたときは?」

 「二人でロッカーに隠れたときは?」

 「プールの掃除のあと二人でシャワーをあびたときは?」


 「恐いな・・・・みんな、憶えてる」


 一月後、朋子は、留と表面上つきあっていた、ゲイの吉川

と結婚(偽装結婚)をマスコミに発表する。


 純子は・・・・・・縁談を断り、留のもとへ^^。


 ま、この社会的には、異端児であったとしても、”論をたてて

も仕方ない”と留は思う。

 いつか何かが、溶けていくのを待つしかない。

 

 たとえ、それが夢であったとしても・・・・。



小説「月光」第4号に掲載。

  昭和61年4月30日発行。