1人の女性の失踪。それには東欧の国際的犯罪組織が絡んでいた。そしてシリアルキラーも……
◇凍てつく街角四角◇ -Afsporet-
ミケール・カッツ・クレフェルト 長谷川圭 訳
酒浸りの生活を送るコペンハーゲン警察の捜査官トマス・ラウンスホルト、通称ラウン。ある事情で休職中の彼は、友人から頼みごとを持ちかけられる。二年前から行方不明になっているリトアニア出身の女性マーシャを探してほしいというのだ。家出か、それとも事件か? 気が進まないながらも引き受けたラウンは、尋ね歩くうちに彼女の失踪に国際的な犯罪組織が絡んでいるのではないかと疑いはじめる。一方そのころ、若い女性だけを狙う猟奇殺人者が獲物を求めて街をさまよっていた…デンマークの人気サスペンス!
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2010年、コペンハーゲン。娼婦マーシャはポーカーで大負けした恋人イゴールに売られた。東欧のギャング、スラボロスに。借金を返しながら身体を売り、母を思う。一旦入った地獄からは抜け出せないのか……
2013年、ストックホルムで遺体が見つかる。それ自体はありふれている。しかしそれは「また」な上に全身真っ白に塗られた異様な遺体だ……
2013年、コペンハーゲン。警察官トマスは妻を殺したショックと未解決事件で捜査打ち切りになってしまったのをきっかけに休職中。ついでに酒浸りでもある。
ある日トマスは友人のジョンソンから手伝いに来ている掃除人ナジャの娘の行方を調べて欲しいと依頼する。トマスは気が乗らないが最終的に引き受け、娘マーシャは売春をして高価な品物を手に入れていたのでは無いか、と疑う。そして恋人に売られ、東欧の国際的犯罪組織に囚われているのではないか、と……
トマスはストックホルムに行くことにする。かつて一緒に捜査したことのあるストックホルム警察が何か掴んでいるかもしれない。しかしそれはストックホルムの「暗部」に関わるものだった。そこにシリアルキラーの影が現れた時……
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「凍てつく街角」です(・∀・)
休職中の酒浸り警官、私事捜査に乗り出す。
北欧ミステリに酒✖️独身男性はテンプレですが、今回の主人公は酒浸り警官。しかし好きでこうなったわけでは無く、妻を殺され、その事件が未解決に終わってしまった故の自棄です。北欧ミステリでは今までに無かったタイプ……辛い……
妻エヴァについては後述しますが、トマスは一応復職を望まれているし、それ以外に助けてくれる心配してくれる友人はいます。トマスは今回、その友人の依頼で独自の捜査をすることになります。
3つの視点、3つの時間軸が移民大国北欧の泥と闇が浮き彫りになっています。デンマークの大部分はユトランド半島なのでそこから欧米諸国と繋がっています。さらに隣国スウェーデンとは橋で繋がっています。良く言えば行き来しやすい、悪く言えば悪いものも入りやすい。
というかデンマークはストックホルムが嫌いなのか? トマスがストックホルムに行く、と言った時の皆の反応よ……しかし読んでいくとその反応も宜なるかな、法律があるにも関わらず、普通にそれが横行している異常さよ。よって犯人も異常ですはい。この辺はきっと超膨大なスウェーデン・ミステリを読むと分かるのでしょう。
本書はシリーズものなのでどうやら東欧の犯罪組織とは縁が切れなさそうです。『特捜部Q』と同じく事件捜査の傍ら、エヴァ殺害事件の謎も少しずつ紐解かれていくのかもしれません。続編の翻訳に期待したいと思います!
「凍てつく街角」でした(・∀・)/
亡くなった母。彼女は本当は何を思っていたのだろう……(*^o^*)/