フィリップ・K・ディック No.24◇銀河の壺なおし◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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待ちに待った待望の仕事。しかしその仕事には何かに支配されている気配が……






◇銀河の壺なおし◇ -Galactic Pot-Healer-

フィリップ・K・ディック 大森望 訳



ジョー・ファーンライトは、腕利きの“壺なおし”職人。だが、陶器はプラスチックに取って代わられ、壺なおしの仕事は開店休業状態、失業手当で食い繋ぐ毎日だった。そんなある日、待望の仕事が舞い込む。シリウス星系のグリマングから許がくのオファーが届いたのだ。海底に沈む大聖堂ヘルズカラを引き揚げるため、地球を離れグリマングの待つ惑星へと向かうジョーだったが……。ディック絶頂期の幻の長編、待望の新訳版。



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ジョーは壺なおし職人。陶器の壺を修復するのが仕事だ。しかしプラスチックがある今、陶器の壺は実用されておらずうっかり割れちゃった、な自体が起こらない現代では無用な職業になりつつある。妻とも別れたジョーの気晴らしといえば世界各国の通信仲間とのゲームぐらいだ。失業手当で食い繋いで……



そんなある日、いつもの失業手当の中に混じって壺なおしを依頼する手紙が入っているではないか! しかも報酬も確約されている。シリウス星系プラウマンズ・プラネットの貨幣になおすと物凄い額だ。今の生活から抜け出せる! しかし相手はどうやって自分を知ったのだろう?



さて、現代の地球は通信が傍受され、歩行速度が遅いだけでも、人に硬貨を渡しただけでも逮捕されてしまう、そんな世の中だ。ジョーは警察の追われ者となってしまい、逃亡最中に法外な報酬を差し出す依頼主グリマングと対面する。最初は水中世界、次はエアコンが入った木箱の中。



何が本物の姿なのか分からないがとにかくグリマングはプラウマンズ・プラネットにある『ヘルズカラ』なるものを引き揚げたいらしい。ジョーはほぼ強制的に空港に向かわれされるが乗った宇宙船でグリマングにヘッドハンティングされたのは自分だけで無いことが分かる。しかも星系も種族も問わず、半ば脅すように……



『ヘルズカラ』とは何なのか? プラウマンズ・プラネットに存在する書いたことが本当に起こり得る書、カレッド。それ通り行くとグリマングはヘルズカラを引き揚げることが出来ない。更にジョーはグリマングを殺してしまうとも……ジョーはカレッドの予言を覆すべく、ヘルズカラが沈んでいるらしい水中に潜るが……



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「銀河の壺なおし」です(・∀・)

ディック作品で1、2を争う分かりやすさ。主人公が巻き込まれタイプだからでしょうか。主人公が何も知らないので同じ気持ちを味わえます。また行く先のプラウマンズ・プラネットやヘルズカラについても同じです。ジョーの気持ちと私たち読者の気持ちは同じだ。



本書には予言書?的に近未来を執筆するカレッドという本が登場します。その予言に反発し、覆そうと努力するものの結果的には実現してしまう、人間の傲慢さ、無力さを表す一方で、「なら起こしてしまった後、どうするか?」をジョーは抗って証明します。他のヘッドハンティング仲間との対話も良い。



ハッピーエンドと見せかけて実は!なところは安定のディックですが、ジョーが受けた思わぬ提案は未来を示唆させますね。ひどい出来だった、さぁ、どうする?



「銀河の壺なおし」でした(・∀・)/ 

同じ作品でも訳が違えば違う景色が見えるよね(*^o^*)/