川上弘美 No.37◇三度目の恋◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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確かに恋をした、愛した。今も愛している。時と場所を変え、人間すら変えてーーー






◇三度目の恋◇

川上弘美



結婚したのは、唯一無二のはずだったひと。高丘さんに教えてもらった「魔法」で、むかしむかしの世に旅に出るようになるまでは。あるときは江戸吉原の遊女、さらには平安の世の女房として、梨子はさまざまな愛を知り……。『伊勢物語』をモチーフに、夢とうつつ、むかしと今のあわいをたゆたい、恋愛の深淵をのぞく傑作長編。



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「三度目の恋」です(・∀・) さりげなく久しぶりです。



在原業平を現代に甦らせたようなモテ男ナーちゃん(でも本当に愛した女人とは絶対に結ばれない)と結婚した女性が、夢で時と場所を超えて愛を知る話です。

モテ男だけどある意味女に振り回されてもいる……前にもこんなキャラいたような← というか平安時代の恋愛観が新鮮だった。「光る君」を観ていると女にも自由があった、とは今のところ思えませんが←、確かにそれを地で行く人が現れますよね。…‥出るよね彼女?



女性作家の書く「恋愛」は単純に別れるか否か、新しい一歩を踏み出すか否か、に留まらない、深いものがあると思っています。主人公、梨子はナーちゃんに振り回されながらもそれを自覚することで愛の変容を受け入れ、魔法使い、というか高僧高丘さんに惹かれ愛して理解します。高等技術だ← 



恋愛すること、恋愛されることを人間の多くは理解します。しかしその恋愛の質や中身が変化したことを理解し、認めることは難しいと思います。人には人それぞれの恋愛の形があるのでそれが思い通りのもので無かったら自分、という人間が思いもよらない変わり方をした、ということですよね。しかし、それは悪いことではない。



ナーちゃんとは理想が少しずつ崩れながらも、梨子自身が様々な愛を知ったことで変わりようすら受け入れられるようになった最初の恋をし、高丘さんとは良き理解者であるが良いところしか見せ合わない、秘密めいた恋をします。

一緒に生活し、甘いも酸いも噛み締めるのも愛、理解し合いながらも添い遂げることは無いのも愛。三度目の恋愛が何であるかを、わたしたちは現世で知ることが出来るのでしょうか。出来たら良いのですが。



「三度目の恋」でした(・∀・)/ 

あらゆるものが“退化する世界。それに対抗出来るのは、”(*^o^*)/