フィリップ・K・ディック No.25◇ユービック◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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爆弾が爆発した瞬間、次々とものや場所が逆行し、仲間が次々と死ぬ。それに対抗する術はただ1つーーー「ユービック」






◇ユービック◇ -UBIK-

フィリップ・K・ディック 浅倉久志 訳



一九九二年、予知能力者狩りを行なうべく月に結集したジョー・チップら反予知能力者たちが、予知能力者側のテロにあった瞬間から、時間退行がはじまった。あらゆるものが一九四〇年代へと逆もどりする時間退行。だが、奇妙な現象を矯正するものがあった――それが、ユービックだ! ディックが描く白昼夢の世界。



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1992年。ランシター会社はホリス異能プロダクションお抱えの超能力者たちを追いかけていた。彼らは不活性者と呼ばれ、独自の力で超能力者に対抗する反超能力者組織なのだ。



ある時、そのランシター会社は大量の超能力者たちを見失った。太陽系から姿を消したのだ。その中に大物の超能力者メリポーニも含まれていて、ランシターは半死状態で冷凍保存されている妻エラの助言を求めるがジョニーという少年の邪魔が入る。



月世界で超能力者たちが何かを企んでいるらしいーーーランシターの指示でジョー・チップら反予知能力者11人が集まった。その中にはスカウトされた新人パットーーー時間を逆行されて予知された未来を無かったことに出来るーーーも一緒だ。しかし来て早々一行を爆弾が襲い、それをもろにくらったランシターは黒焦げになる。



慌てて帰還したジョーたちだが貨幣、コーヒー、煙草、建物に異変が起きる。何故か使えなくなったり、腐ったり、古臭くなっていくのだ。しかも貨幣やテレビに何故かランシターが。一方で次々と仲間がランシターと同じ運命を辿っていく……



一体何が起こっているのか。裏で手を引いているのは誰なのか。ランシターが残すメッセージが何を意味するのか。というか彼はどこにいるのか。そしてコマーシャルががなりたてる「ユービック」とはなんなのか? 生者が死者に、死者から生者に戻る時、驚くべき真実が!



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「ユービック」です(・∀・)



超能力者同士の争いかと思いきや実は!な話です。超能力者が出てきてもちっともスペースオペラにならないのは安定のディックなんですが←今までの現実が全て無に帰す、消滅しようとしている、という世界が崩壊しようとしている不気味さもディックあるある。食べ物が腐っている、貨幣が使えなくなる、乗り物や建物が全部旧式になる、という一部タイムトラベルと次々と不気味に死亡する仲間たち。一見真反対な出来事が却って滑稽で却って不気味。秘密多いパットの笑顔もきっとこんな感じ。不気味。



世界が変わったのはそれだけでは無かった、というのがミソですね。そう考えると爆発以後の見方は全て変わってしまいます。どっちが本物、どっちが偽物、とかじゃ無い、どちらも正しいが決定的に違う。そういう意味では両方ともあり得る世界だ。



また全ての元凶、全ての救済措置であるユービックの謎については語られていないことも多く、ある意味闘いは終わっていないことが示唆されています。一方の「正しい」世界で彼が目の当たりにする異変……闘いはきっとウロボロスのように繰り返される。



「ユービック」でした(・∀・)/ 

火事で何もかも失くして、それでも、なお(*^o^*)/