英国に向かう途中の船で消えた2人の少女。彼女たちは連続殺人犯の毒牙にかかったのかーーー?
◇北海に消えた少女◇ -Pigerne Fra Englandsb åden-
ローネ・タイムス 一花洋介 訳
イギリスに向かう船から、2人のデンマーク人少女が消えた。その生死は不明、事件は迷宮入りとなった。30年後、ジャーナリストのノラは、少女たちが消える直前に撮られた写真を偶然手に入れる。警察も知らなかったその写真から、未解決事件が再び動き出す。ノラが少女の過去を掘りおこすと、きな臭い話ばかり。そして失踪の裏にある、残虐な犯罪に気づくが――。
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ノラ・サンドは英国を拠点に活躍するデンマーク人特派員。デンマークの雑誌『グローバル』に、世界各国を飛び回り善悪を問わず、様々な人たちをインタビューしては記事を書く、タフなジャーナリストだ。
そんなノラの趣味はスーツケースの蒐集だ。一仕事終えたノラはブラインという海の近くの町でコレクションにピッタリな革のスーツケースを見つけて買い求めるがその中には写真が入っていた。どの写真も80年代〜90年代のティーンエイジャーの少女が写っていて撮ったのはアマチュアのカメラマン。中でも気になるのはデンマークからの船に乗った2人の少女の写真。どこかで見たことがあるような……まさか「イギリス航路の少女」?
今から30年前、デンマークから英国に向かう船の中で未成年更生保護施設で暮らす少女2人が消えた。今なお消息不明で当時はかなりセンセーショナルな事件だった。……恐らくこの写真はまさに消える直前に撮られたものだ。だが一体誰が撮ったのか? ノラは空港の本屋でその手がかりを見つける。連続殺人犯ビル・ヒックス。彼が殺した犠牲者がスーツケースの写真の中に居た気がしたのだ。…‥確かめてみるとスーツケースそのものが教えてくれた。「B・Hix」とイニシャルがある!
消えた少女、リスベットとルルはヒックスの犠牲者の1人なのか? ノラは英国出張中の警察官にして友達のアンドレアスやスコットランドヤードのスペンサーらと共に消えかける手がかりを追うが、それは眠れる獣を起こすことでもあった……
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「北海に消えた少女」です(・∀・)
先日、Xで「(本ブログは)ミステリ界隈では結構有名なんじゃないか」という嬉しい言葉を賜りました。読みたいものだけを読んでいる、時々漫画と宝塚が出てくる雑多でマニアック、2013年からやっているので長生きだけが取り柄のブログですが、「いいね!」が1桁の割にはそこそこ読まれているのかな、と嬉しくなりました。ベストセラー、ほとんど読まないしな……とっつきにくいことは自覚しております。
さて、本題。
これまたnot 警察官主人公ものです。おもったいことは変わらないですが、警察官以外が主人公の北欧ミステリーも最近翻訳されています。ただシリーズものなのに1作しか翻訳されないと没入出来ないので続刊を希望したいでーす←
今回の主人公は世界をまたにかけて取材する特派員。1ページ目からメチャクチャ重い。空いている時間をキックボクシングに費やしているノラだからなんとか正気を保てる訳で、普通の人だったらまず無理です。
そんな彼女の友情と恋愛がこの話の横軸になっています。どーしてどいつもこいつも焦ったい恋愛やってるんだ。家族関係も複雑だし、北欧ミステリーはそうで無いと面白く無いって法則でもあるんだろうか。デンマーク・ミステリー、どれ読んでも恋愛関係は拗れてる!
さて、縦軸の事件。デンマーク人少女失踪事件と英国で起こった猟奇的連続殺人犯。1か10まで悪意の塊です。30年前の失踪事件なんだから生死は言わずもがな、でしょう? と簡単に思ってはいけないところがなんとも……!! しかしノラの職業的にここに国際スパイとか政治問題とかが絡んだらスケールが異次元レベルに違くなってしまうのでそうはならなくて良かったな、と思ったり。だからこそ100%悪意に閉口するわけですが!
本書は一応シリーズものなので続刊を待機しなければなりません。アンドレアスとは一体どうなるんだ!?
「北海に消えた少女」でした(・∀・)/
読破達成まであと少し! ウールリッチ短編制覇ももう少し!(*^o^*)/