集められた高校生10人。次々と死んでいく……
◇孤島の十人◇ -Ten-
グレッチェン・マクニール 河井直子 訳
休暇をすごしに孤島の別荘に集まった十人の若者たち。家族に内緒で参加したメグは、予想外の事態に直面する。親友のために恋愛を断念した憧れの相手が来ているのだ。嵐が島を襲うなか、何者かの恨みを示す謎の動画が発見され、ついに犠牲者が！ 通信が遮断され、完全に孤立した状況下で、人間関係はもつれ、十人は次々命を落としていく。いったいなぜ？そして犯人は？ 映画化・ドラマ化で人気の著者が『そして誰もいなくなった』の世界に挑んだサスペンスフルなミステリー。
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2月。カミアック高校生のメグと親友のミニーは学校の人気者ジェシカからヘンリー島にあるホワイトロック屋敷に招待された。メグは気が進まないがミニーが乗り気なので仕方がない。パニック障害を薬で抑えているミニー。自分が守らないと……
しかしメグは島に着いた瞬間、T・Jと出くわす。彼も招待を受けたのだ。メグが密かに想いを寄せている相手。しかしミニーが夢中になっている相手……だからメグはホームカミング・パーティーの相手を断ったのだ。それ以来とても気まずいけどミニーのためにも自分の想いは隠さないといけない。これで良いのだ。
別荘にはメグと同じカミアック高校生と最近身元不明の見つかったマリナー高校生、合わせて10人。アーモンドアレルギーのベンがサラダに入っていたアーモンドを食べてしまう事故もあったが、ティーンエイジャーらしい口論とどんちゃん騒ぎで時間は過ぎて行く。
だがそれもとある動画で壊れて行く。「罪」「復讐」。その動画を見た瞬間、朝一番に島を出て行くと言ったローリが翌朝首吊り死体で見つかる。警察に通報しようにも電話線は切られ、インターネット接続も遮断された。ボートにあるはずの無線機も消えた。その間にも犠牲者は1人ずつ増えて行く。メグは部屋から日記を見つけるが、それはあらゆる破壊の元凶でもあったーーー
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「孤島の十人」です(・∀・)
ズバリ、現代版「そして誰もいなくなった」
徹底的孤立空間の中、1人また1人と死んでいく……ミステリの金字塔を通り越してもはやミステリの模範書的名作「そして誰もいなくなった」が現代に蘇りました。今はインターネットもWi-Fiもあるので生半可なやり方では孤立空間は作れません。
蛇足ですが昔、「芸能人や著名人しか泊まることの出来ないスイスの山の上の超高級ホテル兼療養施設」を舞台にしたミステリーを考えたことがあります。交通網はロープウェイだけ、パパラッチやマスコミ防止のためにホテル専用のWi-Fiしか使えないのに殺人事件が起こった直後にそれが全て不能になってしまい、そこで義足の歩行練習をしていた作家の女性が宿泊客とホテル側から請われて探偵をする、という筋でした。
閑話休題。
徹底的に隔離孤立した空間を作るにはもう1つ大きな穴があります。それは「そこに居ることを知る第三者」の存在です。確かに何日も帰って来なかったら不審に思って出向く可能性があります。もしかしたら警察も一緒だったら完全犯罪はぱあです。
ですがそれは登場人物の年齢が解決します。ティーンエイジャー。それは最も親を鬱陶しく思い、親に内緒することが1つの勝利だと思い込んでいる無邪気で危ない年代。
隔離空間✖️ティーンエイジャー特有の傲慢と無知は、混ざるな危険。人間関係はもつれ、蓋にしたい過去をもこじ開けます……ティーンエイジャーにとって学校というのは全てなんです。楽しければ世界ですが、いじめにあったりすると監獄です。学校に人生の全てを賭けてしまう、異常と分かっていてもクラスメートとの関係を保とうと躍起になる危うさがサスペンスミステリーに溶け込んでいて緊張感あります。
……よって最終場よりも事件の起こり始め、その最中の方が面白い。映画化したら面白いだろうな、と思ったら本当にしていたのでどこかで観られる機会があると良いなー。
「孤島の十人」でした(･∀･)/
少数精鋭人種に支配される世界、そのディストピアを変えるのは……(*^o^*)/