夜は犯罪も怪奇も皮肉もロマンスも鮮やかにする。
◇踊り子探偵◇ -The Best Stories of Cornel Woolrich-
コーネル・ウールリッチ 門野集 訳
ニューヨークの踊り子が連続殺人鬼に立ち向う表題作など5篇のほか、日本語初訳3篇を新訳で贈る短篇集。小池真理子の特別寄稿エッセイを収載。
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1.目覚める前に死なば
(If I Should Die Before I Wake)
……「ニューヨーク・ブルース」参照。
2.騒がしい幽霊
(Oft in the Silly Night)
……巡査のおれが村でとっ捕まえた人間の数は22人。全員不本意で逮捕されたわけだが今回、初めて例外が出来た。それも村の名士グリッグスが「留置所に入れてくれ」と懇願するのだから只事じゃ無い。聞くとフランスから運ばせた住み始めた城ーーーもちろん本物だーーーに幽霊が出たと言う。それもものすごく騒がしい。
3.ワルツ
(Waltz)
……彼女はその男と〈美しき青きドナウ〉を踊るのを待っていた。そして話をするのを……彼女の家で行われているパーティーには先天的な殺人者を捕まえるべく警察が張っているのだがその話を聞くと男の様子がおかしくなり……
4.晩餐後の物語
(After-Dinner Story)
……「晩餐後の物語」参照。
5.踊り子探偵
(Dine a Dance)
……「裏窓」参照。
6.黒い旋律
(The Case of the Killer-Diller)
……ニューヨークでバンドを組むボーカルのビリーはメンバーの1人が首を吊って死んでいるのを見つけた。しかも自殺では無く他殺でその容疑は弟のフランキーにかかってしまった! ビリーは刑事のリンゼイと事件捜査に乗り出すが動機も何も分からない。実はバンドのメンバーが死ぬのはこれが初めてでは無いのだ……
7.妻がいなくなる時
(You'll Never See Me Again)
……「私が死んだ夜」参照。
8.舞踏会の夜
(The Gaje Crasher)
……平凡な銀行員テディの趣味は招待状無しに
「本物」のパーティーに潜り込むことだ。ダンスを踊れれば誰も身元を尋ねたりしないものだ。今回も上手く行った。しかも上流階級の花形ジョイスとも出会えた。しかし……
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「踊り子探偵」です(・∀・)
今回は半数。
ウールリッチでは意外に出てこない幽霊を相手にしたり、殺人者と疑われた恋人の皮肉な結末、ジャズバンドメンバーに殺人者が! どれも夜に相応しい話です。夜は人間の感情をより鮮やかにします。
3はそう、と見せかけて実は! にウールリッチ流ブラックな結末。いや、いけないってことないけどよぉ……
6はウィリアム・アイリッシュ時代の名残なのか、「黒〈ブラック〉シリーズ」。どんなシチュエーションでも有り得るだけに現実的な怖さがあります……
8こそロマンス! 招待状無しにゲストに潜り込む青年とセレブのお嬢様の軽快な恋物語。なんかミュージカルや宝塚でやれそうな話です。
「踊り子探偵」でした(・∀・)/
宝塚って偶然出てきたけど実は次回登場するんですわ〜(*^o^*)/