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人には優しくされた記憶が必要だ
(「活版印刷三日月堂 届かない手紙」 ほしおさなえ)
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「おまえは弓子(孫娘)に甘いからなぁ。」
と夫に言われた女性が
「でも、、」と話しかけると
夫は、それを遮って言います。
「いや、いいんだよ。人には優しくされた記憶が必要だ。」
夫は妻に常日頃から
「おまえは弓子に甘い」と言っているのだけれど
孫に優しくすることは妻に任せていたのだろうなぁと
じんわりと温かい気持ちになりました。
そして、そんなおじいちゃんの優しさを
きっと弓子ちゃんも知っているのではないか
とも思いました。
人には優しくされた記憶が必要というのは
本当にその通り。
以前学童の指導員をしていた友人が言っていました。
家庭で愛情をかけてもらえていない子どももいて
家庭の問題をどうこうできる立場にはいないけれど
「ここ(学童)にいる間は全力で愛するんだ」と。
それは短い間の関わりかもしれないけれど
とても大切なことだと、わたしは思いました。
確かに愛してもらった体験、優しくしてもらった記憶が
あるのとないのとでは、きっと違う。
ほんのひとときの、たとえ偶然の関わりでも
優しくありたいと思ったのでした。