モノアミン仮説は、否定されている | お子様の不登校、ひきこもりの解決策提案サロン

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世界的にはモノアミン仮説はとっくに否定されているというのに、日本ではいまだに信じている専門家と呼ばれる人達がいることに驚きを隠せない。

実際にこのようなサイトが堂々とアップされている。
がっかりもいいところなのだが、これが今の日本の現実であると言わざるを得ない。

統合失調症ナビ


さて、そもそもモノアミン仮説とは
1960年代にジョゼフ・シルクラウドが提唱


「うつ病はセロトニンの不足で起きる」
「統合失調症はドーパミンの過剰で起きる」
「ADHDはドーパミンの不足で起きる」

などという仮説です。
その仮説はこれらの薬を見てもわかるように、ホルモンの中で「ある一定の知識」が得られた時点で、まるですべてが証明できるといったような誤解から生み出されたものでしかない。



製薬会社や一部の精神科医が広めた仮説なのです。

NIMH(米国立精神センター)の正式見解として、薬物治療を推進するための仮説が否定されました。




アメリカの精神医学雑誌「the American journal of Psychiatry」に、うつ病の化学的不均衡理論を再検討した医師たちによる以下のようなレビュー記事が掲載されています。

「10年以上にわたるPET studey、モノアミン枯渇に関する研究、およびモノアミン関連遺伝子の多型性を調べる遺伝子関連解析の結果、うつ病の病態生理において、セロトニン系、ノルアドレナリン性、またはドーパミン作動性神経伝達に実際の欠陥に関すると思われるエビデンスはほとんど存在しなかった」




【モノアミン仮説の真実】

「うつ病は、脳内のセロトニン不足で起きる。」または「統合失調症は、脳内のドーパミン過剰で起きる。」は、精神科薬物治療の科学的根拠として、いまだに見かけることがある。これは科学的事実ではなく、製薬会社が薬の販売プロモーションの中で使ったまさしく仮説である。

その説明をしているネット上のサイトには、大抵このような表現がされている。それは、「~とされています」「~という研究がある」といった曖昧な表現である。こうした表現にならざるを得ない理由は、これらの事実は、実際には証明されていないからで、むしろ否定されているということだ。 

留意頂きたいのは、脳内の様々なモノアミンが、人間の様々な生体活動や感情に関わっていると言う生化学的な研究におけるモノアミン研究が否定されているという事でないということだ。否定されているのは、うつ病と脳内セロトニン濃度との関連性、統合失調症と脳内ドーパミン濃度との関係である。ADHDに至ってはその仮説さえ存在しない。

(参考資料:ロバート・ウィテカー ANATOMY OF AN EPIDEMIC)



【セロトニン仮説の変遷】

1960年代うつ病がシナプス間のセロトニン減少の結果であるセロトニン仮説が提唱される。

1969年パワーズがうつ病患者の脳脊髄液中セロトニン代謝物の濃度を測定したが、セロトニン濃度と鬱病重症度の間には相関関係は見られなかった。

1975年アスベルグらによる68人のうつ病患者に対する研究。その内20人のセロトニン代謝物濃度は低く、自殺傾向が強いと発表した。*実際には、正常人でも同程度のセロトニン濃度の低い人は見られるというデータは発表されなかった。またうつ病患者群の24%はセロトニン濃度は高かった。

1985年NIMHは、セロトニン濃度の低い患者が、抗うつ薬に良く反応するかの研究を行った。その結果、NIMHは、「セロトニン作動性システムの機能の亢進や低下そのものが、うつ病に関係するとは考えられない」と結論付けた。

1988年イーライリリー社がプロザック(SSRI)の商業的成功を収めると同時に、うつはセロトニンの減少で起きると言う説明を流布。その後も多くの研究者がその検証を行ったが結局その証拠は得られていない。 


次の表は、ドーパミン仮説に対する研究の変遷である。この歴史は、「統合失調症はドーパミンの過剰である」という仮説を否定していると同時に、抗精神病薬そのものが統合失調症の原因となっていることを示している。


【ドーパミン仮説の変遷】

1960年代統合失調症が脳内ドーパミンの過剰であるという仮説を唱えた。

1975年シーマンがドーパミン受容体D1とD2を発見し、抗精神病薬がD2受容体の70~90%を阻害することを発見した。また、バワーズが薬物治療を受けていない統合失調症患者のドーパミン濃度を計測したが、ドーパミン濃度の異常は見られなかった。ドーパミン濃度の異常が否定されると、シナプス前部のニューロンが過敏ではないかとの仮説が打ち出された。20人の統合失調症患者の脳のD2受容体が70%多いことが判った。しかし、此の患者たちは全て抗精神病薬を長期に渡って服用していた。

1982年マッケーらは、死亡した統合失調症患者の脳組織を調べたがD2受容体の増加が見られたのは、死亡時まで抗精神病薬を服薬し続けた患者のみであった。

2002年元NIMH所長ハイマンは、「ドーパミン系の障害が統合失調症の主な原因であるという証拠は無い」と訴えた。 

このドーパミンの仮説は、ADHD治療に対する薬物治療においても大きく関係している。そもそもADHDと診断された子供の親は、子供は低ドーパミ状態だと説明を受け、リタリン(コンサータ)の投薬をうけたからである。しかし、その仮説を裏付ける証拠は未だに発見されていない。