『越境』の難しさ〜『アイドルとロックの蜜月』感想戦〜 | まっつのブログって名前、氾濫しすぎだろ‼

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中身の無いブログにはしたくない、というか言いたい事無きゃ文章なんて書かないですよねー。音楽の話が中心ですが、後々仮面ライダーの話もするかも。

まっつ「3日前、下北沢の本屋B&Bで行われたトークイベント、『アイドルとロックの蜜月』に行ってきました」

司会者「AKB48のチャートハック現象やTOKYO IDOL FESTIVALについて、さらにPerfumeAKBももクロの各論など、どちらかというとアイドルの話題に比重が置かれていましたね」

まっつ「アイドル界隈は全くと言って良い程門外漢なので、個人的にはもう途中から勉強会の様なスタンスで臨んでました」

司会者「クロッキー帳にメモしてましたね」

まっつ「いやでも後からこのメモ見てるけどあんまり意味を成さなそうだなこれ。だからまあ今回はトークイベントで勉強になった点やお三方の気になった発言だったり、僕が最後にした質問についてつらつら喋っていくだけになりそう」

司会者「分かりました。まずはAKBのチャートハックの話になりましたね」

まっつ「去年のシングルチャートはJAPAN COUNTDOWNで見ていたからAKBグループとジャニーズが席巻しているのは分かってたんだけど、驚いたのはiTunesチャートでもAKBの曲が一位になっていたりする事。これは知らなかった」

司会者「こちらのサイトでも、AKB48の『さよならクロール』がiTunesでの配信初日から3日連続で一位をキープしている事が書いてありますね」

まっつ「複数買い出来ない状況でこのチャートアクションはちょっと感動しました。曲の力と言うか、『楽曲派』と呼ばれる人達の影響力も無きにしも非ずなのかな。でも今回の新曲どうなんだろうか」



司会者「『恋するフォーチュンクッキー』ですか。先程言った『楽曲派』の人達はこの曲絶賛してる風ですけどね」

まっつ「まあなんだかんだ言ってオリコンでもiTunesでも一位取るでしょうけど。でもやっぱりファンからしたらノレなきゃ評価はしないわな」

司会者「柴さんがAKBの人気曲100曲聴いたら全曲PPPH(パンパパンヒューの略。ヲタ芸)打てるって言ってましたね」

まっつ「そうそう。なんかこの状況見て、漫画における『編集部受け』と『読者受け』は違うって話を思い出した」

司会者「全然その例えが分からないんですけど」

まっつ「新人がマンガを編集部に見てもらう時にさ、編集部側は例えば画力の高さであったり書き込みの多さであったり、どこか一点の突出した才能を見込んで読切デビューさせたりするんだけど、実際読者からは『話がつまらない』で一蹴されてあんまり人気を得られない、ってケースがあるみたいなんだよね」

司会者「マンガって芸術と言うよりはエンターテインメントですものね」

まっつ「うん。それと同じで、楽曲そのものと言うよりはライヴを想定した時のノリ、もしくはエンターテインメント性を重視する人からは、この曲煙たがられるんだろうなぁと感じました」

司会者「なるほど。あちらを立てればこちらが立たずな状況や越えられない壁はどこに行っても見受けられるものなんでしょうかね」

まっつ「そんな気がしましたね。で、このトークイベント、『アイドルとロックの蜜月』とはあるけど、最終的には『アイドルとロックの壁』について論ずる運びになったんだよね」

司会者「その壁が低くなったきっかけが2011年のももクロ×神聖かまってちゃんだった、という話がありましたね」





まっつ「あそこで一つ、アイドルとしては異端なパフォーマンスを見せることでロックファンからも受容されたって話ね。そもそもこの頃からももクロってこういうバズマーケティング的な手法を使って支持層を拡大していってたんだよね。柴さんなんかはそのお陰もあってかアイドルとロックの壁は徐々に壊れつつあるという主張でした。さやわかさんとレジーさんは比較的その論点には悲観してましたけど」

司会者「最近ではロックミュージシャン側がアイドルへ曲を提供する事も珍しくなくなりましたし、柴さんの主張も100%間違いと言う訳ではないでしょうけどね」

まっつ「うん。その効果もあって、普段ロックを聴く人もアイドルに興味を持ち始めたりしているよね。ただ、それだってポジティブな効果を生むばかりか、と言われたらそうでも無いんだよね。例えばPASSPO☆の新曲」



司会者「ああ」

まっつ「ロックバンドがアイドルに楽曲提供をする事は珍しくなくなったけど、こういうパンク/メロコアシーンからの楽曲提供はまだそこまで前例ないでしょう。タイムラインでも、紛糾するとまではいかないまでも、HAWAIIAN6のファンの中には悶々とした気持ちをつぶやいている方も少なくなかった様に記憶しています」

司会者「なるほど。しかし最近ではこういったロックバンド側からの楽曲提供は比較的受容されつつあるような気がしますが」

まっつ「まあ所謂『邦ロックファン』の一部には『現象そのものを見なかったフリをする』層も一定数いる様に思いますが、特に物議を醸す事なく受け入れられている感じはあります。ただ逆に言えば、楽曲提供等のファクターなしにはロック好きがアイドルに触れる機会って全くないんだろうなぁ、ってのもまた同時に感じた」

司会者「全くかどうかは分かりませんが、ロック好きはロック好きの、アイドル好きはアイドル好きの集団でエコーチェンバーを形成してしまっている感はありますね」

まっつ「本当それ。まあこれ言うと柴さんの言う通り『○○はロックだ、○○はロックじゃないっていう風に、何でも○○の中に代入出来る』って話になるんだけど」

司会者「ご自身ではどう思いますか、アイドルとロックの壁は低くなっていると思いますか」

まっつ「以前よりは良くなっているとは思うけど、まだまだ壁は高いんじゃないかなぁ。で、そんな壁を壊す為の試みがももクロ×かまってちゃんであり、今年のロックインジャパンフェスだったと感じるね。アイドルファン、ロックファン、それぞれのエコーチェンバーに揺さぶりをかけようとする試みというかさ」

司会者「どんな対バンでもフェスでも、個々人の価値観に揺さぶりをかけて人気を得ていくというスタンスは一緒ですよね」

まっつ「そうですな。今年のロックインジャパンフェスは様々なジャンルの音楽が意識的にクロスオーバーされる事でそれがより明確に可視化された年だと思います。ロックもアイドルもボカロPもヒップホップも全部、音楽の名の下に統合しようとしたのが今年のロックインジャパンフェスだと思うんだよね。でも、そうでもしないとそれぞれの音楽に触れる機会すら無い訳で。溝はまだまだ深いなぁと」

司会者「なるほど。そうした疑問もあって、最後の質疑応答の際にお三方に質問されてましたね」

まっつ「ええ。『アイドルとロックの壁は低くなりつつあるとの事ですが、それは①ロックミュージシャン側がアイドルにアプローチする②ももクロの様に積極的にアウェーな状況で活動する、等のバズマーケティング的な手法を取り入れた成果である場合が殆どだと思います。そういったファクター抜きで、例えばロキノンに象徴される「邦ロック」好きがアイドルをも好きになる時代は来ると思いますか』という趣旨の質問をさせて頂きました。めっちゃ緊張するのねあれ」

司会者「この質問には皆さん悲観的でしたね」

まっつ「柴さんは『まだその状況になるかどうかは分からない』と、レジーさんは『アイドルって様々なジャンルの音楽が揃っているから、そこで充足しちゃってる感はある』と、さやわかさんは『ロックもアイドルも並列に取り上げるメディアが登場して、さらにそれが売れないとそうした状況を作るのは難しい』との見解を示していました」

司会者「確かに今ってwebでも紙媒体でも、ロックとアイドルをクロスオーバーさせた媒体はいくつかありますがあまり世間に認知されているものは無い様に感じますね。せいぜいナタリー位か」

まっつ「ナタリーは専門誌ではなくあくまで『ニュースサイト』という形態だからとてもフラットな記事が多いよね。ただ、ミュージシャン別に記事検索出来る様になっていたりするからそれぞれのジャンルを越境するまでには至ってないのも現状だよなぁ」

司会者「そうですね。そろそろまとめに入っていきたいのですが何か言い残した事等あれば」

まっつ「うーん、まあ言いたい事は『もっと音楽聴こうぜ‼』っていう身も蓋もないものだし、ジャンルっていう曖昧なもので聴く/聴かないを定めている人に対しては『違うんだよなぁ』とは思うけど、それ以上に気になるのが『音楽の趣味は雑食です♡』みたいなことTwitterで書いておいて、いざツイプロに書いてあるその人の好きなバンドの音源聴いたらみんな一様にスリーピース又はフォーピースで英詞でライヴの映像使ったPVでダイブモッシュ多発、みたいなバンドばっかりな事が割とある」

司会者「偏見も甚だしいな」

まっつ「まあ今は特定のジャンルが好きな人を指してやいのやいのするつもりは無いけど、あなたが『雑食』って語る音楽の領域ってそんなものなんだぁって感じる事があってね。今はまだロックとアイドルの壁って全然壊れてないなぁと僕も感じている次第だけど、もっと対流させていきたいよね。で、音楽をもっとフラットに聴いている人達、割といるよー、アニヲタは割と色々な音楽に寛容だよー、フラットな『音楽好き』のロールモデルになり得るよーっていうのをこのエントリーで言っていたりする」

司会者「あの記事不評なのにちょいちょい推しますね」

まっつ「改めて書き直したら中々良い記事になるんじゃないかなあのエントリー。アニメタイアップのお陰でナッシングスにハマり、MAD動画の影響でスクリレックスを聴きつつでもメインで好きなのは声優ユニット、っていう僕の友達の話をそのエントリーではしました。最近はSoundcloudにも興味を持ってくれたんだよね。嬉しい限り」

司会者「常日頃から色々な音楽に触れているぶん、『良いものは良い』という判断基準を持っているのではないか、という見解ですよね」

まっつ「勿論、メインで好きなジャンルがある事には全く異論は無いけど、
リスナー間の音楽観にもっと有機的なカオスが起こったり、個々人の好きな音楽の幅が広がれば良いなぁ、というのはずっと前から考えていた事なんだよね。まとめとしてはまあ、まだまだ溝は深いと思います、で良いんじゃないですか」

司会者「わかりました。しかしさやわかさんが言っていた様に、対流を起こす為にはまずジャンルを横断するメディアの用意、及びそのメディアが支持を得る事が不可欠になりそうですね」

まっつ「うん。紙媒体でもwebでも良いけど、そういったメディアを作りたいっていうのも前から思ってる。それこそさっきのエントリーでもちょろっと触れてるしね。このブログもその一翼を担えれば、と超微力ながら感じている次第です」

司会者「決意表明みたいになりましたね。では次回はどうしますか」

まっつ「まだどういう語り口で行くかは決めてないけど、せっかく『対流させたい』って言ったからにはバンド以外も取り上げないとなあ、と思ったので、ちょっと東方神起について喋れればいいなと思います」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」