オオガキの大冒険 stage1-7 | マビノギっぽい小説置き場

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マビノギ的な内容の小説を書いてるかもよ。
マビノギ知らない人も楽しめるように書きたいのかもよ。

「これか」
ダレンに背を向け歩き出して数分後、草葉の陰に隠された小瓶を発見したオオガキは、すぐさま開けて飲み下した。
「まっじぃ」
小瓶に入った液体の色がピンクだったので、なんとなく甘い印象で飲んだせいか、その苦味の強さにびっくりする。

さて、と。
「どこから探したもんかな」
目の前には、曲がりくねって先が見通せない道に、三叉路、所によっては十字路の分岐点がいくつもある。
「骨が折れるなあ」
そう言いつつも内心では、ウェリアムを探すついでに、お宝でも見つかれば頂いてやろう、なんて不埒なことを思ってたりする。
そんなことを考えながら、オオガキから見て最初の十字路に差し掛かった時。

『ピューーー』と、掠れた笛の音が洞窟内に響いた。
音はオオガキの歩いて来た方角から、つまり、
「あのクソ野郎、まだ何か隠してんのか……?」
それとも最後の悪あがきに、こちらをビビらせようとしているだけなのか。
そうだとしたら、オオガキは警戒心を煽られて立ち止まったのだし、その悪あがきは成功したと言っていいだろう。
どちらにしても、戦闘中にウェリアムを人質として利用しなかったことから、仲間がもういないことは割れている。
笛の音で動作する仕掛けなんてものも聞いたことがない。
何の意味もない無意味な行動、と、オオガキは笛の音のことをそう結論づけて、再び歩き出そうとする。

しかし今度は、笛の音とは反対方向から聞こえてくる、ズン、ズン、という響きを耳が捉え、またしても足を止める。
足音は、おそらく一人のもの。
何故さっきの戦闘中に出てこなかったのかはわからないが、仲間がいたと、そういうことだろう。
音の響きからして、かなりの巨体。
右腕の麻痺は解毒薬の効能に含まれないのか、未だ取れておらず、闘いには不利だ。
「さっきの野郎みてーに慢心してくれりゃいいけどな…」
そして構える中、通路の向こうから出てきた影は、
「う
おおおお!?なんでトロール!?」緑がかった身体の巨体、巨人族モンスターの、トロールだった。
片手で大型モンスターの相手は分が悪い、そう判断したオオガキは、洞窟の奥、ダレンのいる方へ向かって地を蹴った。
とりあえず、関係者であろうダレンをシメた方が早い。という判断だ。
後ろからはトロールが追ってきているが、奴に気付かれる前に駆け出したので、足を止めても、追いつかれるまで数十秒はあるはずだ。

ひたすら駆け、開けた空間で横たわるダレンの腹に飛び乗り、
「オイ起きろおおおお!アイツはなんだ!!」往復ビンタの連撃をかます。
ダレンは一瞬呻いた後、
「うるせえぞ、死人を起こすな」
言って、また目を閉じる。
「おい!」
オオガキが叫んで、今度は頭突きを叩き込む。
「ぐえ!」
流石にこれは聞いたようだ。ならもう一発、
と構えるオオガキを見て、ダレンが口を開いた。
「最初に…名乗っただろうが…。俺は、『カリスマテイマー』のダレンだ……モンスターくらい仲間にできるさ……」
「ちっ、完全に失念してたぜ!おいこの野郎、アイツ止めなきゃぶっ殺すぞ!」
ダレンは自嘲気味に笑い、
「誰がとめてやるかよ…!どうせ俺は毒で死ぬ、お前も叩き潰されて死にやがれ!」
言い争っていると、トロールが空間の入口に到着する。
「どうあっても止める気はねーか…」
「フン、死を覚悟した奴が一番恐ろしいんだよ、馬鹿が」
「……なら仕方ない、昔とあるジジイに教わった奥義を使うぜ……!!」
ダレンは、せいぜい足掻いてみろ、と言って、再び気を失った。
トロールが、棍棒を構えて向かってくる。
「奥義……」
対するオオガキは身体を反転させて、
「逃げるッ!」
洞窟の奥、行き止まり方面へ猛ダッシュした。

猛ダッシュの末オオガキは、一番狭い道に飛び込む。
トロールも追って小道へと入るが、
「ここなら上手く暴れられねーだろっ」
オオガキの狙いはこれだ。
トロールの長い腕、そして巨大な棍棒は、狭い道では振り回せないはず。
だが、その思考は次の瞬間否定された。
「ーーーーーーー!!」
叫びとともに、トロールが周りの岩盤にぶつかるのにも構わず、棍棒を振り回し始めたのだ。
棍棒の衝撃を受けた部分が、ボロボロと崩れていく。
「ばっかやろう!崩れる崩れる!」
このまま暴れ続けられたら、こんな洞窟の小道、数十秒と持たずに崩落するだろう。あるいは、それが目的なのか。
更に、通路の横幅はトロールの射程圏内だ、引き返すには奴をどうにかしなければならない。
考えている暇はない、オオガキは生きるために行動を開始する。

まず、オオガキは左に飛んだ。
トロールの右手にある棍棒の直線上、ギリギリ射程範囲内へ。
それを見たトロールが、足を開き、身を乗り出して、オオガキへと棍棒を振り下ろす。
オオガキはそれを前方のトロールへ向かってダッシュし躱すも、
ズドン!
爆発の様な破壊音と共に飛んできた、砕かれた床の破片がいくつか背中を直撃する。
「あだだだだだ」
悲鳴をあげながらも速度を緩めず、トロールの開いた足の隙間をスライディングで潜り抜け、体制を立て直しまたしてもダッシュ。
「よく走る日だなーちくしょう」
言いながらオオガキは、洞窟の出口方面へ駆け出した。
といっても、出口への正確な道はわからないし、トロールを
倒す方法も思いついていないのだが。



ウェリアムは、まだ洞窟の中にいた。
いや、正確に言えば、一度出て戻ってきた。
「そろそろ兄貴がトロール倒してくれたよね、あとは迷わないように出口まで案内しよう!」
と、そういうわけだ。最も、ウェリアムが洞窟から出られたのは優れた直感のおかげだったのだが。
オオガキを探して洞窟内を歩いていると、走ってくる影が向こうに見えた。
「あ、お~い兄…貴!?」
確かにその影はオオガキだったが、更にその後ろには、トロールのオマケがついていた。
怒涛の猛ダッシュでウェリアムのところまで来たオオガキが、スピードを緩めることなくその手を取る。
「な、なんで倒してないのさ!?兄貴ならトロールくらい倒せるよね!?」
ウェリアムが叫ぶ。
「う、うるせー今作戦思案中なんだよ!」
言われたウェリアムは、オオガキの身体が傷だらけなのに気付き、一戦終えたばかりで、状態が悪いであろうことを悟る。
「どうする…どうすれば…」
オオガキが呟くのに対してウェリアムが、
「出口までの道ならわかるけど…」
と自信なさげに言う。
「いや、それだと外に人がいた場合危険だ、巻き込むわけにもいかない…」
ウェリアムの予想通りの返答だった。こうくるのがわかっていたから自信なさげに言ったのだ。
ウェリアムもオオガキと並んで走りながら、打開策を模索する。
「あ」
思いついた。
オオガキが声に反応して聞いてくる。
「なんか方法あったか!?」
「うん、次の曲がり角の先に……」
二人は早口で話しながら走る。
「でも、それだとウェリが危険だ」
話しを聞き終わったオオガキが言うが、ウェリアムは大丈夫、と。今度は自信満々に、無い胸を張る。
それを見たオオガキは、
「危なくなったら俺が飛び出す、無理するなよ!」
そう言って、作戦通り岩陰へと飛び込んだ。

続く!
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こいつらはいつまでこの洞窟にいるんだろうか。
進行の遅いジャンプ漫画みたいでごめんね!
あと、今回から投稿前の見直しが面倒になってやめました。
誤字脱字あれば報告お願いします。