久野 淳(くのじゅん)のブログ 歯科医師 栄養指導 栄養療法 オーソモレキュラー 糖質コントロール 食育 食の安全 栄養マニア 料理教室 -2ページ目

久野 淳(くのじゅん)のブログ 歯科医師 栄養指導 栄養療法 オーソモレキュラー 糖質コントロール 食育 食の安全 栄養マニア 料理教室

街の歯医者さんをしながら複数のコメディカルの学校で講師をしたり、一般の方向けのセミナー活動をしています。栄養療法を日々の臨床に取り入れ、自身もゆるい糖質制限をしながら食育、食の安全に取り組んでいます。

いつも私のブログを読んで頂きありがとうございますラブラブ

 

ミトコンドリアの遺伝子は母性遺伝って知ってましたか❓

子どもたちにはママ👩からのミトコンドリアしか受け継がれないのです💡

 

ミトコンドリアは真核細胞内に存在し細胞呼吸を行なって、ATP(アデノシン三リン酸)という生命の根源ともいえるエネルギーを産生する細胞小器官ですが、このミトコンドリアには本来の細胞の核の中にある核ゲノムとは別に独自のDNA(ミトコンドリアゲノム)が存在しています。細胞が増殖すれば、このミトコンドリアゲノムも同じように増殖するのです。

 

ミトコンドリアの活動が停止したら、生命も活動を停止します。それほど大切な小器官であり、エネルギー産生という重要な役割を担っています。

 

さて、このミトコンドリアですが、ヒトの卵と精子が受精する(減数分裂した卵と精子が合わさって1つになるわけですが)際、それぞれ卵と精子が持っているミトコンドリア(ゲノム)のうち、精子のミトコンドリアは、卵の中で排除されて無くなってしまうのです。どうやって消失するかというメカニズムについては、諸説があるものの今ではオートファジー(自食作用)が関与する可能性があることが分かってきています。

 

どういうことかと言うと、パパ👨がいくら優秀なミトコンドリアを持っていて、パワフル&エネルギッシュに活動していても、子供たちには全く受け継がれることはなく、娘でも息子でもママ👩のミトコンドリアしか遺伝しないのです‼️パパもしくはパパになるべき男子がすべきことは、元気な精子を維持するための生活習慣の改善と、しっかり働いて彼女や奥さまをサポートすること、そして優しくしてあげることですね♡

 

ここであらためて思うこと💡生物はなぜこうまでしてミトコンドリアゲノムを母性(片親)だけに遺伝させようとするのでしょう❓そしてそもそもなぜミトコンドリアはすべてのゲノムを核に渡してしまわなかったのでしょう❓という疑問が生まれてきます。その答えは明確にはされていませんが、それはとても意味のあることだと思います。

 

このような母性遺伝は、ミトコンドリアが原始の細胞に入り込んでから共生関係を築く間の進化の過程で、避けられない仕組みとして獲得され、その後進化した生きものの間で広く受け継がれていることですが、その真意についても未だよく分かっていません❗️

 

自然分娩で産道を通って生まれてくる赤ちゃんも、つい最近までは無菌と言われていた子宮内で母親のはじめての菌をもらい、生まれる際にあえて母親の腸内細菌に暴露される。そして生まれてすぐに母親の母乳をのみ、そこからも母の菌を獲得します。残念ながらそこに父親の菌の出番はほとんどないでしょう(笑)

 

ミトコンドリアの母性遺伝も母親の腸内細菌を獲得することも全て意味のあることなんです💡

 

女性は、男性とは比べものにならないほど神秘的で偉大な存在です‼️

 

だから、だからこそ、世の女性たちには普段から自分のカラダのこと、健康のこと、食を中心とした生活習慣にもっと気を配ってもらいたいと常々思っています🙇

 

特に若い世代の女性たちへ✨✨✨
今からでも遅くありません。優れたミトコンドリアやより良い腸内細菌叢を未来の我が子に継承するために、できることからはじめていきませんか❓一番簡単に変えることができるのは明日からの食べ物だと思いますよ💡もっと自分のカラダを大切にしなきゃ❤️

 

この世を救うのは、偉大なる女性たち👩や母なる大地👵そして土着菌や腸内細菌を代表とする微生物といっても過言ではないでしょう❤️

 

完全に脇役である男子代表より

 

※ 画像はウキペディアより引用

 

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いつも私のブログを読んで頂きありがとうございますラブ

 

前回のブログ『放射性物質(セシウム)を回避するためにはどんな食材を選べば良いのか?』の続きです!!

チェルノブイリ原発事故では、汚染された牛乳を摂取した子供が甲状腺がんを患うという悲しい健康被害を出しました。その反省として、以下の対策がとられています。これらは日本の土壌汚染についてもあてはまります。長期的な視点で一番問題になるのは、農作物と特に食肉のセシウム汚染です。

 

『半減期の短い放射性ヨウ素汚染の広がりを防ぐために』 
● 牛乳の放射線検査を徹底すること。

→ 牛乳のデータは本当に牛が食べている飼料でコロコロ変わる。


● (放射線検査に不合格の)牛乳は、チーズやバターに加工する。

→ チーズやバターの方が乳清(ホエイ)が抜けて、放射性物質の影響が減る。


● 家畜は放牧せずに屋内で汚染されていない飼料を与える。
→ 本来ならストレスを軽減するために外で放牧して大地に生えている牧草を食べた方が良いに決まっているが、皮肉にも屋内飼育で、純国産より外国産の飼料の方が放射性物質による汚染のリスクは減らせる。

 

 

『半減期の長い放射性セシウム汚染の広がりを防ぐために』
● 農産物、家畜、肉、牛乳は放射線検査を徹底する。(これが一番重要)

→ 抜き打ち検査ではなくて、本州だけではなくて、特に畜産が盛んな北海道ならばなおさら検査を徹底すること(国や自治体、メーカーが積極的にやるべき)。

 

● 牧草でなくトウモロコシ等(当然Non-GMO)を飼料を与える。
→ 皮肉にも日本では国内飼育の牧草牛(グラスフェッドビーフ)の安全性が揺らいできています。国産ならばできるだけ汚染された牧草ではなく、汚染されていない穀物飼料を沢山食べたグレインフェッドビーフの方がリスクが少ないと言えます。外国産のグラスフェッドビーフは逆に安全性が高い。

 

● 汚染された家畜の糞を肥料として利用しない。
→ 生体濃縮された家畜の糞を使い「有機栽培」された野菜がどれだけ危険なことか認識すること。無農薬有機野菜に大量に含まれている可能性がある硝酸態窒素のリスクと共に認識しておくこと。 

 

● キノコは摂取しない。(キノコは放射性物質や重金属類を蓄積しやすい。)

→ キノコの原木露地栽培における放射性セシウム汚染は深刻で、福島周辺や関東周辺におけるキノコ狩りや露地栽培のキノコ相当のセシウムなどの放射性物質が含まれていると認識すること。また、大きく分けてキノコの栽培方法には、「原木栽培」「菌床栽培」の二つがあり、どちらの栽培方法にしても、その土地の土に直接実るわけではなく、土台となる原木や菌床の原材料に放射能汚染されたものが使用されていると、産地に関わらず基準値を検出限界値を超えるキノコが出来上がることになることも知っておくこと。


キノコは先日のニュースでも実際に販売されていた「サクラシメジ」から基準値を大幅に上回るセシウムが検出されています。↓↓↓↓↓↓

野生キノコ「サクラシメジ」から基準値超える放射性物質・販売施設が自主回収 山形

 

● いま流行りのジビエや川魚も要注意。

→ これも皮肉なことだが、地域によってはうなぎ、ワカサギ、アユなどの魚が非常に危険。とくに産卵を控えて積極的に食べて活動している時期はリスクが高いと言われる。最近ではジビエブームで、鹿やイノシシや熊などの肉が珍重されており私も大好きであるが、地域によってはその動物たちが食べているモノが汚染されていて生体濃縮の危険性が否定できない。  

 

<重要なのは信頼のおけるデータを参考にすること>

以前は放射線量を自主検査する動きが盛んでしたが、最近ではその勢いはなくなり、実際に信頼性の高い測定機器を用いて誤差が少ない検体試料を作成して検査をしている民間の団体はごく僅かになってきています。実際のところ中途半端な測定機器では、正確な測定は難しそうです。少なくとも放射性物質を測定する機器についてはゲルマニウム半導体検出器を用いることは不可欠で、NAIシンチレーション検出器では確かなデータは得られないと考えた方が良いです。

 

またセシウムに比べ、ストロンチウムなどは結果が出るまで時間と莫大な費用がかかるため、定期的な測定ができるのはセシウムまでということになります。

 

このように計測に必要な手間や時間を考えると、スーパーや他のお店で販売されてる生鮮品の全ての種類のベクレル量を自主検査するのは不可能です。どんな地域の、どんな食材(野菜、果物、肉類、魚介類、海藻、乳製品など)に放射性物質が残留しているのか、またどんなものに生体濃縮の危険性があるかなど、真実を知ることでこれからの若い世代を守っていく手助けになると思います。

 

私がオススメする民間の測定機関はコチラ!

↓↓↓↓↓↓↓↓

『べぐれでねが』

https://beguredenega.com/

代表のさいとうたくやさんは、とても気さくで優しいおじさんで(おじさんと言っても僕より断然お若いです)


【引用&参考文献、HPなど】

『べぐれでねが』https://beguredenega.com/ 
・カリウムとセシウム―放射線対策で語られない関係―有田正規(生物工学 第90巻450-451)
・http://metabolomics.jp/wiki/Doc:Radiation(有田正規先生ウェブサイト)
・特定非営利活動法人 チェルノブイリ救援・中部 理事 河田 昌東さんのお話より
・排出放射性物質影響調査について HP

※ 画像はWebより引用

 

 

 

 

 

 

 

 

いつも私のブログを読んで頂きありがとうございますkittymymelody
前回のブログ『セシウムとカリウムの関係』についてご存知ですか?の続編です!
 

では、放射性物質(セシウム)を回避するためにはどんな食材を選べば良いのでしょうか?

 

以下に列記したカリウムを多く含む食材(セシウム汚染の可能性が低いものを選択)を積極的に摂ることで、日頃からカリウム不足を解消し、セシウムが入り込む隙を与えないようにしましょうpochakkoosarupompom

セシウムと同族元素である

【カリウムを多く含む食材について】

(以下食品100g当たりのカリウムの含有量)
(一日の成人女子推奨量:1600mg、成人男子推奨量:2000mg)

 

カリウムは、細胞内の浸透圧を一定に保って高血圧を予防したり、女性に多い浮腫(むくみ)を改善する働きがあり、生命維持には欠かせない栄養素です。またカリウムは同じく同族元素のナトリウムと違い、大量に摂取した場合でも腎機能が正常な場合には体内の調節機能が働くので、通常カリウム過剰になることは稀であると言われています。

 

パセリ(1,000mg)
豆味噌(930mg)

よもぎ(890mg)
昆布佃煮(770mg)
アボカド(720mg)
ひきわり納豆(700mg)
ホウレン草(690mg)
ゆりね(690mg)
ザーサイ(680mg)

アマランサス(600mg)
やまといも(590mg)
ぎんなん(580mg)
大豆(ゆで)(570mg)

里芋(560mg)
アシタバ(540mg)

焼き芋(540mg)
にんにく(530mg)

モロヘイヤ(530mg)
おかひじき(510mg)
天然あゆ(焼)(510mg)
ニラ(510mg)
鯛(焼)(500mg)
しそ(500mg)

鯵(焼)(490mg)

生ハム(470mg)

鶏ササミ(420mg)

豚ヒレ肉(410mg)

バナナ(360mg)

メロン(350mg)

 

以下は水分が少ない乾物系
昆布(乾燥)(5,300mg)
わかめ(乾燥素干し)(5,200mg)
とろろ昆布(乾燥)(4,800mg)

ひじき(乾燥)(4,400mg)
ベーキングパウダー(3,900mg)
インスタント珈琲(3,600mg)
あおさのり(乾燥)(3,200mg)
切干だいこん(乾燥)(3,200mg)
ココナッツシュガー(822mg)

 

【栽培の際のポイントや農作物の選択】

 施設栽培ハウス栽培の場合は、セシウム汚染されにくいので気にする必要はありません。(ただしハウス屋根等からのセシウム混入に十分注意しましょう。また雨水排水口付近は特に注意。井戸水や水道水は使用しても大丈夫です。)

 

◉ 穀物では、麦類を避けたほうがよいでしょう。よりも移行係数が一桁大きいのです。
 

 からし菜は避けましょう。(農水省データでは根拠の論文数が少なく、土壌より多い量を蓄積する可能性があります。) 

 

アカザ科ヒユ科(ホウレン草ビート甜菜など)は避けましょう。(最新の植物分類 APG IIにおいてアカザ科とヒユ科は同じです。)
 

◉ サツマイモジャガイモは蓄積が大きい可能性があるので、できるだけ避けましょう。レンコンも土壌の水分量から蓄積が比較的大きいというデータがあるので避けたほうが良いです。 
 

◉ 葉菜は比較的、移行係数が高いと思われるので、できるだけ避けた方がよいと思われます。(農水省のデータを見る限りは問題なさそうに見えますが…。)
 

◉ 葉菜でないもの(里イモタマネギキュウリトマトナスピーマンニンジンダイコンウリ等)は、どのデータを見ても問題ありません。 
 

◉ イチゴ🍓メロン🍈りんご🍎などの果実は、どのデータを見ても問題ありません。もちろん海外での栽培のバナナ🍌も安全と言えますね。

 

以上、参考にしてみてくださいねkeroppikeroppikeroppi

 

【引用&参考文献、HPなど】 
・カリウムとセシウム―放射線対策で語られない関係―有田正規(生物工学 第90巻450-451)
・http://metabolomics.jp/wiki/Doc:Radiation(有田正規先生ウェブサイト)
・特定非営利活動法人 チェルノブイリ救援・中部 理事 河田 昌東さんのお話より
・排出放射性物質影響調査について HP
・簡単!栄養andカロリー計算 HP
※ 画像はWebより引用

 

いつもくのじゅんのブログを読んで頂きありがとうございます(*^▽^*)

 

2011年3月の福島第一原子力発電所事故から7年以上が経過し、その事故で、大量の放射性物質が大気中や海洋中に放出され、今現在もの汚染水の漏出、処理しきれない汚染物質をどのように廃棄するのかなど問題は山積みです。しかしながら時の流れとともに(まあ国の偽装だらけの報道の影響もありますが…)何となく皆さん事の重大さを忘れかけていませんか?日本人特有の平和ボケというものでしょうか?

福島第一原発事故由来の放射性物質といっても、ヨウ素131セシウム134セシウム137ストロンチウム90プルトニウム239、最近ニュースになっているトリチウムなど様々な種類があり、それ以外にも古くから自然界に存在しているカリウム40などもあります。それぞれ特徴も違いますが、今回は一般の方にはあまり知られていない『セシウムとカリウムの関係』について書きたいと思います。

放射性物質として問題となっているセシウム134セシウム137は、セシウムの代表的な放射性同位体であり、β(ベータ)線を出してバリウムとなり、これが更にγ(ガンマ)線を出して崩壊します。

セシウム134物理的半減期約2.1年、さらに実効半減期約64日セシウム137物理学的半減期約30.1年、さらに実効半減期約70日と言われています。そして汚染された食物を食べたり呼吸によって人体に入ったセシウムは、特に筋肉に蓄積しやすく、その他全身の臓器にも蓄積して内部被曝を起こします。
実効半減期とは、人の体内に取り込まれた放射性物質の量が、生物学的排泄作用(生物学的半減期)および放射性物質の物理的壊変(物理学的半減期)の両者によって半分になるまでの期間のこと。

セシウムとカリウムとの関係は、一般の方にはあまり知られていませんが、両者はどちらも周期表の1族元素で似た者同士なのです。


 

セシウムの化学的な性質は、動植物の細胞の中の液(細胞内液)に多く含まれているカリウムと非常によく似ています。従ってセシウムを人間が摂取した場合に はカリウムと同じように体内で動き、分布することになります。過去に大気中核実験などにより環境中に放出されたセシウム137が現在でも存在しているので、飲料水や農畜産物などを通して人間が摂取し、それらから放出される放射線により全世界の人々がわずかな量ですが被爆しています。それに加えて日本では、福島原発事故により大量にセシウム(セシウム134とセシウム137の両方)が放出されました。これらは長半減期であるため、環境中(つまりは人体内中ということも言える)で長い間放射線を放出し続けてしまうという厄介なものです。そして今もなお汚染水の漏出などの問題により、状況は決して安定しているものではなく、深刻化しているものと思われます。このように環境中への放出があると長期間にわたって移動(土壌だけでなく食品や体内も)しながら残存するセシウムですから、原子力施設等では監視すべき危険な元素として位置づけられています。

 

身近なもので特に注意が必要なのは、植物(野菜など)セシウム汚染です。本来セシウムを積極的に取り込む植物はありませんが、しかしながら前にも述べたようにカリウムセシウムは同じ一族の「同属元素」ですから、カリウムと誤ってセシウムが吸収されてしまうことが問題視されています。特に吸収量が多いことが知られるものにアカザ科ヒユ科イネ科キノコ類があります。今までに放射線基準値を超えて出荷制限がかかった野菜類にもキノコホウレン草(アカザ科)が多くみられるのはそのためです。

セシウムを高蓄積する植物のもう一つの特徴は成長が速いことです。タケノコアシタバが2012年に入っても基準値(※1kgあたり100ベクレル)を超える事例があったのは、多くのカリウムを必要とするためにセシウムを誤って取り込んでしまうのが原因です。またホウレン草アシタバが、もともとカリウム量が多い葉野菜であることもセシウム量が多くなってしまうことに関係するでしょう。土壌中にカリウムを多く施肥するとセシウムの吸収量が下がることがチェルノブイリ事故後の研究で知られています。このことは農家の方たちはよく勉強されていて、実際にセシウム汚染から野菜を守るために、カリウムを多く施肥して野菜を育てているそうです!

また金属がイオン化しやすい酸性土壌ではセシウムの吸収量が上がることも知られています。ここから、お茶にセシウムが混入しやすい理由も理解できます。お茶はツバキ科ですが、茶葉にはカリウムが多く含まれており酸性土壌を好みます。またお茶の栽培においては、土壌からセシウムの溶出を促す効果のあるアンモニウム塩(アンモニウムイオンがセシウムイオンを追い出すため、より多くのセシウムが作物に吸収されてしまう)を肥料として多く施します。静岡県や神奈川県などの遠隔地において,福島原発事故後の春に出た新芽を乾燥させて作った一番茶が基準値(※当時は今の基準値の5倍の1kgあたり500ベクレル)を超えたのはそのためだそうです。

 

また家畜の糞尿などを堆肥にする場合にも、発酵していない若い堆肥を使用すると、土壌からセシウムが溶け出してしまうことが分かっているので、家畜の糞尿はしっかりと発酵させてから用いることが大切です(あくまで汚染されていない飼料で育てた家畜ということが大前提です)。

※2012年4月1日より施行された食品に含まれる放射性セシウムの新しい基準は、食品からの被ばくを最大でも1ミリシーベルトに抑えることを前提に作られました。野菜・米などの一般食品は1kgあたり100ベクレル(それまでは500ベクレル)、乳児用食品・牛乳などは1kgあたり50ベクレル、飲料水においては1kgあたり10ベクレルという新たな基準値が設定されました。ベクレル(bq)というのは「すでにそこに蓄積・沈着している放射能の量」を表す単位です!しかしながら厳しくなったこの値が安全なものかというと、そうではなく、海外の基準からしたら相当ルーズなものであるということは調べればすぐに分かることです。

 

話を元に戻しますが、カリウムと誤ってセシウムを取り込んでしまう仕組みは、植物だけでなく動物にも共通しています。人体へのセシウム取り込みも、カリウムを基準に考えることができます。すなわち、カリウムが豊富な食事と一緒に摂れば、植物同様にセシウムの取り込み率は下がるでしょうし、食べ過ぎの場合も吸収されずにそのまま通り抜ける部分が多いはずです。また同じ2族元素である、マグネシウムやカルシウムとストロンチウムの関係についても同じことが言えるのではないかと考察します。

 

福島県に近い地域の野菜などは、汚染が怖くて野菜を茹でこぼしたり肉を水に浸したり人がいるかもしれませんが、基本的に除去しているのはセシウムでもあり、カリウムでもあると言えます。汚染が怖くて外出を避けている人がいるかもしれませんが、しっかり運動をしないと発汗によるカリウムの循環を遅らせます。どのような摂取形態が総被曝量を下げるのかは個々の生活習慣にもよりますが、もともとセシウムは吸収されにくい元素ですから、むやみに食事からカリウムを取り除いたり、循環を遅らせないように体を動かし、できるだけ体内でカリウム不足にならないような生活習慣を心がけるようにしましょう!(ただし、腎疾患や人工透析患者などカリウムの摂取制限のある疾患の方は、必ず主治医の指示に従ってください。

【参考】 
・カリウムとセシウム―放射線対策で語られない関係―有田正規(生物工学 第90巻450-451)
・http://metabolomics.jp/wiki/Doc:Radiation(有田正規先生ウェブサイト)
・特定非営利活動法人 チェルノブイリ救援・中部 理事 河田 昌東さんのお話より