結局どの油を使ったらいいの!? | 暮らしに虹をかける会

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こんにちは、吉冨です。


食用の「油」に関するいろいろなサイトや本を見ると、これが良いとかあれは悪いとか著者によってさまざまな意見があり、結局どの油がいいのかわからないということがよくあります。




(画像はwikiより)


そこで、ここでは研究データや疫学調査をもとにニュートラルな視点から考察し、筆者なりのおすすめの油をあげていきたいと思います。あくまで参考程度にしていただければと思います。



食用油について


まず、現代は人類史の中でも極めて油を大量に摂取する時代であるということを念頭におくべきです。
そもそも油を調理や食卓で使うこと、油を摂取するということ自体、食生活における間違った視点であると考察しています。


食べ物から油分のみを搾油し摂取するという食生活は、自然界ではごく稀です。人間ぐらいでしょう。つまり、自然界のほとんどの生き物はいわゆる一物全体食の中で、結果、いち栄養分としてその食べ物の中にある油分を他の成分と同時に体に取り込んでいくことが普通であり、わざわざ搾油して油分のみを裸のまま体内に取り入れるということはめったにないです。





真の栄養バランスとは、極端な話、自然界に存在しているいち生き物を形成している栄養素の成分比率なのです。さらにいえば、その土地の気候で生きていくにはその土地の生き物と同化する必要があります。


それらを無視し、ある成分だけを体内に過剰に取り入れていくというのは、体のどこかに必ず無理がいくことでしょう。自然界を見れば、どの生き物も捕食したものをまるごと食べています。一部分だけ食べ、残りは捨てるということはほとんどありません(もちろん全てそうとも限りません)。





よって、本来ならこの油がいいとかこの油はよくないとか議論するのは愚の骨頂でしかありませんし、また、それを消費者に喧伝している業者がたくさんいますが、筆者(吉冨)からすればいたって短絡的だといえます。


しかし、そうはいっても、現代の一般家庭での食生活で、食用油脂を欠かすことは正直ありえません。また、リノール酸過剰摂取における慢性炎症を改善するのに、α-リノレン酸を意識した積極的摂取で、体調が良くなったというデータはいくつも見受けられます。


以上をふまえながら、嗜好品として考えるか、補助栄養食品として考えるかは、みなさんの判断ということを前提に、食生活における油の選び方を見ていきましょう。




現代人はリノール酸を摂取しすぎ


戦後からの日本人の食用油脂の摂取量は異常です。特に、コレステロール値を下げるということで業界に一時喧伝されたリノール酸の過剰摂取は本当に問題です。今話題のα-リノレン酸をしっかり摂取したとしても、それ以上にリノール酸系の油を摂取していれば、間違いなく身体のどこかに支障をきたすことでしょう



(画像はフリー素材より)


リノール酸は確かに哺乳動物にとっての必須脂肪酸の一つですが、その過剰摂取は確実に害になります。リノール酸を摂取すると、体内でアラキドン酸に代謝されます。このアラキドン酸から、炎症性のエイコサノイドという最終の代謝産物が合成されてしまい、この過剰のアラキドン酸(これをアラキドン酸カスケードという)の亢進により、体内で老化が進み、さまざまな病気の原因となる慢性炎症を引き起こしてしまうのです


炎症自体は、そもそも体を守る反応ですので、薬品などで完全に抑え込んでしまうのはよくありません。しかし、炎症が長引くと自分の体を傷つけてしまうのです。ちなみに、α-リノレン酸はこれとは真逆の抗炎症性のエイコサノイドを合成します。


慢性炎症は、これらの炎症性物質と抗炎症性物質のバランスが崩れることが原因で起きてしまいます。仮に、炎症性物質が病原体を撃退したとしても、炎症性物質に対して抗炎症性物質が不足していれば、慢性炎症が進行します。


また、エイコサノイドであるロイコトリエンやプロスタグランジンは花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーに関係した炎症反応を強めるように働きかけてしまいます。つまり、リノール酸の過剰摂取はアレルギーの原因のひとつともいえます。






それでは慢性炎症は具体的にどのような病気を引き起こすのかみていきます。




慢性炎症が引き起こす疾患


実は、がんの30%は慢性炎症が原因であると発表されています(カリフォルニア大学ブルース・エームス教授)。炎症がおきると、好中球(白血球)やマクロファージが敵の排除のために武器として活性酸素を発射します。(近年の健康ブームにおいて、敵視されがちな活性酸素ですが、本来は外敵から身を守るという重要な役割があります。免疫の役割です。)


しかし、異物を攻撃すると同時に、自分の細胞のDNAにも損傷を与えてしまいます。この損傷によりできた良性腫瘍に、炎症によって発生したタンパク質が分泌され、悪性腫瘍であるがんができるといわれています。また、炎症性のエイコサノイドはがん細胞を転移させる能力も持っています。





心筋梗塞や脳梗塞の主な原因にも慢性炎症が挙げられます。慢性炎症が発生させる活性酸素は、血管にあるLDLコレステロールが酸化してしまい、酸化LDLを生成してしまいます。酸化LDLがマクロファージによりどんどん太っていくと、血管にプラークができ、このプラークが破裂すると、心筋梗塞が起きます。

ここで注意していただきたいのは、LDLコレステロールが心筋梗塞等の心臓病の直接的な原因ではないということです。LDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを各組織に運ぶ重要な運び屋です。さらに大事な脂溶性の抗酸化ビタミンが含まれています。冤罪によりLDLがよく悪玉と呼ばれますが、真の原因は活性酸素などを生成した慢性炎症なのです。よって、コレステロールを減らすことではなく、活性酸素を減らしていく生活環境を考える必要が先にあるわけです。


肥満の人は慢性炎症を増加させ、糖尿病になりやすいです。脂肪の蓄積により脂肪細胞の肥大化が生じると機能異常を引き起こし、炎症性のアディポサイトカインが放出されます。さらに抗炎症性であるアディポサイトカインの産生は減少します。これらが肥満やメタボリックシンドロームに合併する炎症性変化です。


放出された炎症性のアディポサイトカインのひとつであるIL-6などのホルモンは、インスリンの効果を弱めていしまいます。それに対しすい臓は過剰なまでのインスリンを大量に放出してしまい、これが長引くとすい臓の働きが弱くなりインスリンの分泌量が低下し、2型糖尿病が発生するわけです。


アルツハイマー病は、脳の慢性炎症が主な原因です。脳の神経細胞から作られるタンパク質が、アミロイドβというタンパク質に変性して、これだけなら問題ありませんが、性質上くっつきやすく変性してまい、老人班として沈着し、神経細胞が死滅します。脳のネットワークを形成している神経細胞が死滅すれば、記憶に障害がおきます。




避けたい油の種類


避けるべき油としては、まずリノール酸の含有が多い油です。紅花油、ひまわり油、ごま油、グレープシード油、大豆油、コーン油などがまず挙げられます。こめ油も比較的リノール酸が多いので注意が必要です。

トランス脂肪酸系の油も迷わず避けましょう。トランス脂肪酸は、液体の植物油から固体の油脂を製造するために「水素添加」することで副産物として生成してしまう有害物質です。





一般に、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングに含まれています。精製されたサラダ油、マヨネーズなども当然注意が必要です。トランス脂肪酸は肝臓で浄化できないどころか、肝臓にダメージを与えコレステロールの合成量を保つことができず、動脈硬化へとつながります。


また、膵臓を弱らせる事でインスリンの分泌量が正常を保てなくなり、糖尿病へとつながります。その他、発がん、腎臓の肥大化、体内酵素の阻害、老化の促進などの症状を引き起こすとされています。


WHO(世界保健機関)の勧告では全摂取量の1%未満にするべきであると発表しています。
ドイツではトランス脂肪酸を含むマーガリンの製造は禁止、デンマーク・スイス・オーストリアでは油脂中における含有量を2%以下に制限し、カナダでも同様にマーガリンにおける含有量を2%以下に制限しています。アメリカではトランス脂肪酸量の表示が義務付けられ、FDA(米食品医薬品局)はトランス脂肪酸を含む硬化油を食品添加物から外す決定をしました(2013年11月)。ニューヨークに至っては外食店に対し使用禁止を要請しています。その他、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル、韓国、香港、台湾、中国でもトランス脂肪酸量の表示が義務づけられましたが、日本ではいまだ野放しのまま、病院食、給食、レストランなど使いまくっています。


日本で常用される食用油の種類のシェアですが、ほとんどが菜種油(キャノーラ油)、パーム油、大豆油になります。

パーム油ですが、日本で使用されている植物油脂の中では2位のポジションになります。飽和脂肪酸とオレイン酸を多く含み、トランス脂肪酸を含まないことから、パンやお菓子などに多く使用されるようになっています。しかし、パーム油はラット実験で異常な発がん促進作用があり、内分泌かく乱作用が認められています




菜種油はどうなの!?


紛らわしいのが菜種油です。在来の菜種油は成分に、甲状腺肥大を起こすグルコシノレートという硫黄化合物の配糖体や、心臓障害などを引き起こすといわれるエルカ酸酸が多量にあるため、食用油としては疑問です。※しかし、これらの害を否定する意見もありますので、慎重に判断されてください。



(画像はwikiより)


近年の国産の搾油用菜種の新品種には、無エルシン酸品種やグルコシノレート含量が低い品種のようなダブルロー品種を利用するところがあります。もちろん交配品種です。

菜種はアブラナ科アブラナ属で日本の土地や気候において自生や栽培がしやすかったことから始まります。そもそも主には灯りの燃料として利用されており(もちろん食用もあった)、現在のように本格的に主流の食用油となったのは、畜産業界で家畜飼料として使用される菜種に関係しています。家畜飼料の副産物である食用油を捨てるよりは消費させた方が賢明だという考えです。つまり、家畜のえさから、人間の食生活へ浸透していったことになります。


キャノーラ種の菜種油はカナダ産遺伝子組み換え菜種がほとんどです。さらにラットの寿命を短縮させる作用、脳に影響を与える微量成分が他の食用油に比べて多いこと(脳卒中促進作用)、毒性が世代を超えて影響を与えること、環境ホルモンに酷似した有害物質が含まれ、前立腺がん、精子減少、不妊などへの影響の可能性が高いことがいわれています。

※遺伝子組換えによるラウンドアップレディー(グリホサート耐性)品種、リバティーリンク(グルホシネート耐性)品種が主力であり、大量に日本に輸出されていますが、油に遺伝子組み換え食品の表示義務がないのは周知のとおりです。




では、最後におすすめの油脂を紹介します。あくまで個人的嗜好です。




おすすめの油脂


オリーブオイル

オリーブオイルは何よりその味わいが美味しいですよね。良質なエキストラヴァージンを選びましょう。ただし市場の30%がニセモノといわれ、いわゆる欠陥品が多く出回っています。

選び方などの詳細はこちらの記事などを参考に(これも一概には言えませんけどね)。
http://ameblo.jp/kurashi-nizi/entry-11911724466.html


ただし、とりすぎると大腸前がん細胞を増やしやすいという発表があります(Onogi.N Carcinogenesis1996;17:1291)。またカナダでも日本のグループでも、脳出血促進作用あったことが確認されています。



しそ油(えごま油)

油選びはリノール酸とα-リノレン酸のバランス比率が重要になってきます。このしそ油(えごま油)はα-リノレン酸が60%も含有されています。

がんの予防において、最も有望な油と評価されています。その他、アレルギー、動脈硬化、喘息、老化、炎症を抑える効果があります。多く食べても蓄積することはなく、安全性は極めて高いです。

注意する点は、しそ油(えごま油)は酸化が早いということになります。

ヨウ素価度を見ると、えごま油・亜麻仁油が175-195、大豆油が110-142、コーン油が100-131、ゴマ油が103-116、菜種油が100-127、こめ油が92-115、オリーブ油が75-88、ラード57-60、牛脂40-50、パーム油が31-56、ココナッツオイルが7-11というような圧倒的にしそ油が酸化する速度が高いデータがあります。
よって、開栓後早目に使い切るか、冷蔵庫保存または、酸化防止のビタミン添加されたものを選ぶのがよいでしょう。



亜麻仁油(フラックス油)

この亜麻仁油(フラックス油)はα-リノレン酸が60%近く含有されています。しそ油までには至りませんが、ほぼ同様の健康効果が見受けられます。やはり酸化が早いことに注意する必要があります。



魚油

魚油は鯨の赤肉や皮、マグロ、サバ、ブリ、サンマに多く含まれますので、サプリなどからではなく、これらの身を生のまま食べることで摂取するのがよいでしょう。


※海洋汚染や水銀蓄積が気になりますが除染してしっかり栄養をとりましょう。




しそ油(えごま油)や亜麻仁油(フラックス油)のα-リノレン酸からでは、体内でEPAやDHAに変換される割合が10-15%程度しかないということを考えると、魚油はダイレクトにEPAやDHAを摂取できる比率が高く即効性があります。特に慢性炎症の予防には有効です。


オキアミもおすすめです。他の魚の脂肪酸は一般のトリグリセライド結合型のオメガ3ですが、オキアミはこれに加えてリン脂質結合型で、このリン脂質により体内への吸収率を高めます。ぜひお試しください。

※オキアミのオメガ3は、クリルオイルという名前でサプリで販売されていますが、やはりできるだけオキアミそのものを味わいましょう。



インカインチオイル

インカインチオイルは、インカグリーンナッツを搾油したもので、α-リノレン酸が50%含有されています。リノール酸が30%も含まれますが、比率からすればセーフといったところでしょう。
脂肪酸はα-リノレン酸が主成分ですので、当然酸化しやすいので、開栓後、早めの摂取が必要でしょう。



バター(できれば発酵もの)

動物性油脂は何かと敬遠されがちですが、全くそんなことはありません。むしろ、バターは一般の植物油に比べ安全性が極めて高く、脳卒中予防の効果があります。なによりリノール酸含有量が少ないです。さらにいえば、穀物飼料ではなく牧草を主体とした飼料を食べている動物からできたバターがいいでしょう。
注意する点は、成長ホルモンや抗生物質の投与による乳への残留などがいえるでしょう。



ラード・牛脂

バター同様に動物性油脂として敬遠されがちなラードや牛脂ですが、人間は動物ですので、同化(食べること)にはやはり脂肪酸組成が似ている動物性脂肪が適しているといえます。脳卒中予防の効果があります
注意する点は、やはり成長ホルモンや抗生物質の投与による脂溶性毒などの残留ですね。



ココナッツオイル

今話題のココナッツオイルは、白いココヤシの果肉から搾油したオイルで、とにかく酸化しにくいことが特徴です。もちろんエキストラヴァージンを選ぶべきです。
中鎖脂肪酸ということで消化が早く、門脈から肝臓へ直接運ばれますので、吸収は早いです。アトピー性皮膚炎に効果的であるというデータもあるようです。
しかし、ココナッツオイルの過剰摂取はステロイドホルモン代謝に影響を与えるという文献がありますので、注意が必要です(奥山治美著より)。



◎終わりに


脂質は重要な栄養成分のひとつです。日常的に使用する場合は、しっかり吟味して良いものを選びたいですね。


以上、簡単にまとめましたが、皆さんは一体どの油を使用しているでしょうか。