空海を知る16 唐に行く!「官僧~空海」になる | 絵本作家 ふじもとのりこの「絵本がもっと楽しめる!絵本製作裏話」

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空海を知る16 唐に行く!「官僧~空海」になる

空海は、唐で学びたいと勤操や叔父の阿刀大足らに伝え、空海をかっていた人たちは、一度捨てた官僧に戻る空海を歓迎したと思われます。

慌ただしく、遣唐使船に乗るための資金準備や正式な僧侶になる支度、私費留学生として、根回しも必要でした。
おそらく勤操や叔父の阿刀大足が身元保証をして朝廷を説得したのでしょう。

空海と話をした人は、空海の並外れた知識と経典に関する理解の深さ、霊的体験、とりわけ、語学力の高さに驚いたことと思います。
空海は東大寺で、遣唐使船が出る前に急ぐように正式な僧侶になったのでした。

20年の私費留学には莫大な資金が必要ですが、空海の親族を始め、空海に味方する人たちが助けてくれました。
実家父方佐伯氏、母方阿刀氏、藤原氏や大安寺、東大寺など奈良の寺の関係者から助成を受けたのでしょう。

 空海のような私費留学生の場合、朝廷から外交儀礼の交換品である、絹や木綿の布が下賜されますが、長期間滞在する留学生はそれ以外に相当な金品を準備しなくてはならず、空海は、大量の荷物とともに大金を持って、住吉大社に行きました。


 当時、遣唐使船に乗る人たちは、住吉大社に集合しました。
遣唐使を始め朝廷の官吏や留学生、乗組員は、かならずこの住吉大社で、航海の神、海の軍神である「住吉大神」に渡海の無事を祈願したのです。

海上安全の祭祀を司る神職が遣唐使神主として遣唐使船に乗船し、船の先に「住吉三神の護符」を立て、航海中ずっと神事を行います。

阿刀大足や勤操たち、空海を応援している人たちや、故郷佐伯氏からも見送りの人たちが来ていたと思います。
難波の港から、遣唐使船は出航したのでした。