2015年5月4日満月のサビアンシンボル読みあわせ | すずきふみよしの「星の音を聴く」

すずきふみよしの「星の音を聴く」

読むこととはすなわち聴くこと。耳を傾けること。
ホロスコープから「聴いた」ものを、そして感じとったものを、日々丹念に言葉にしていきます。

[太陽]
牡牛14度「海岸で、甲殻類が水際を手探りで進む一方で子どもたちが遊んでいる」
キーノート「再び活力をとり戻すためにより単純な喜びに回帰すること」

実存の各々別個のレベルにおける存在の自給自足のシンボルであり、それゆえに下層階級のものを温存し上流のものの進歩的な発達を促進する。シンボリズムの含意は、広く進化的なスケールに到達しようとする生と、真正の個性を通じてそれ自体の即刻の成熟に向かうものとの、接続である。より大きなより優れたリアリティの基本モードとしての自己発見がここでは強調されている。

キーワード:EMERGENCE(出現、発生、脱出)
ポジ:継続してある自分のすべきことへの注意の絶対性を通じての自己自身の高潔さ
ネガ:存在の分岐する可能性への不要な懸念を経ての絶望的な自己拡散

[月]
蠍14度「新しい接続を設置する仕事中の電話の架線作業員」
キーノート「コミュニケーションの新たなチャンネルを確立する必要」

すべての他者との存在のあらゆる相をリンクさせる相互接続の、また経験の最も広く分断された際立った局面どうしのあいだの関係性を拡張する人間の特別な才能のシンボルである。シンボリズムの含意はあらゆる高等な生の側の低級な生への責任であり、また劣ったものが優れたものを要求する際の誠実さである。すべての個的な存在の根底モードとしての自己特殊化がここでは強調されている。

キーワード:ATTACHMENT(とりつけ、結合、付着、接続、連結、愛着、愛情、付属品、差し押さえ)
ポジ:日常生活にそれぞれ関連する複雑さのなかへの人間の能力の効果的な浸透
ネガ:他人の私事への不要な懸念

珍しいまでに二つのシンボルにおいて共通もしくは類似の語や言いまわしが少ないのだが、よく読めばやはり対比的な内容が描かれていることが理解できるだろう。共通点を積極的に見出しわかりやすく説明するならば、上下/高低/優劣など相反する二者間を〈つなぐ〉ことがテーマとなっている点だと言える。とは言え牡牛14度のほうでは、そうしてつながれたそれぞれが別個に自立的な生を生きていることが描かれているのに対し、蠍14度のほうでは二者の関係が責任や誠実さを伴うような密度あるものとして描かれている。

太陽のほう、牡牛14度の象意を端的に言えば、キーノートに記されているとおり、喜びや楽しみを通じた自身の活力のリクリエーション(=再創造)である。先の牡牛13度「重い荷物を運んでいるポーター」では、さらに先行する牡牛12度「ウィンドウショッピングをしている若いカップル」で示された物質文明への魅了と欲望充足の対価を支払わなければならないため、責務としての重労働が描かれていた。この14度では童心に帰って遊びに興じることで精神のバランスを図る様子が描かれている。海岸というものは砂浜と波とのせめぎ合いの場であるが、いつものようにこれを意識と無意識とのせめぎ合いと解釈することも可能であるし、社会文化的な存在としての人間とまだそれにいたらない未発達で未成熟な存在とのボーダーラインが示されているとも言える。より言うならば、この二者間を〈つなぐ〉ことこそがこの度数の真の象意であり、そしてまた遊びの本質ではあるまいか。

月のほう、蠍14度で描かれているのは、これまたキーノートがきっぱりと言い切っているとおり、対人関係において新しいコミュニケーションの道筋をつくり上げる必要性である。蠍13度「発明家が室内実験を行う」では、ものごとの根本にある関係を把握して、それらの組みあわせや応用をかんがえることがテーマとなっていた。それが社会的な責務の対向に位置づけられていたわけであるが、この蠍14度ではそこからさらに進んでより具体的なネットワークの確立が求められるようになっている。ルディアはそれを「つくられるばかりでなく、有意に、賢く使われるべきである」と述べており、実際にコミュニケーションをもつことが重要なのだとしているわけである。そしてまたジョーンズはそこに責任や誠実さが伴うのだとしているわけだ。

今回の満月。太陽が示しているもの、すなわち公的な生き方の指針は、実にゴールデンウィークにうってつけの余暇のすごし方である。リクリエーション、リフレッシュ、どう表現してもよいだろうが、遊ぶことやなんらかの楽しみをとおして存分に英気を養い、これからの活力を回復することが示されている。またそれは他人の生活を尊重し脅かさないことが前提であり、人はみなそれぞれ生かし生かされて生きているのだという共生的な視点をもつことも大切だろう。一方で月が示しているものは、生活の個人的な部分ではより深く濃密な人間関係の形成を求めていくという欲求である。まったく未知の人たちと関わりをもつのもありだろうが、おそらくはすでになんらかの関心があり、ことによると下調べや準備などもできている関係性がなにかしらあるのかもしれない。それをもとにして深い交わりをもつことに進んでみるのがよいだろう。休息をとって調子を整えたうえで、実りある人間関係の第一歩を踏み出していただきたい。