9.逃げたペット(アライグマ) | 手稲山・発寒川からの手紙

手稲山・発寒川からの手紙

北海道の野生動物や自然の状況についてなど手書きの絵などによって詳しくお伝えします。

 アライグマは、飼いネコほどの大きさの哺乳動物です。体は灰褐色の毛で覆われ、眼のまわりに黒いマスクをかけたような模様があり、大きな尻尾に横縞の入った、子供の頃はとても可愛い動物です。アライグマは、カナダや北アメリカにたくさん生息していますが、アジアには、これと少し形態のちがうレッサーパンダとジャイアンツパンダがすんでいます。これらのパンダはアライグマの仲間です。“洗い熊”と呼ばれるのは、この動物が食物を摂るときに「洗って食べる」ような仕草をみせるからです。

 本州では30年ほど前から、北海道では20年ほど前から、野外でアライグマの姿を見かけるようになりました。これは、日本に輸入されてペットとして家庭で飼育されていたアライグマが、育つにつれて狂暴化、手に噛み付いたりするので、飼い主がもてあまして野外に捨て、それが繁殖したのです。

 アライグマは、近年、急激に増えて全道に住み場を拡げ、トウモロコシ・スイカ・メロン・マメなどに被害を与えています。これは、原産地カナダや北米の寒冷な気候と日本列島、とりわけ北海道の気候が似ており生存に適していたことと、この動物の採餌や営巣習性がイタチやタヌキやキツネのそれと競合しなかったためです。

 近年、アライグマによる農作物被害が増大したため「鳥獣の保護および狩猟に関する法律」により、アライグマの捕獲が可能になりました。しかしこれには届出が必要です。



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