『ノースマン 導かれし復讐者』 2022年
シェイクスピアの『ハムレット』の元になったデンマークの王子アムレートの伝説をもとにした映画。
予告
ハムレットといえば「悩める知識人」という近代的な人物像で描かれていてそれを疑問に思ったこともありませんでしたが、言われてみればヴァイキング時代の話だった、と再認識させられる一本でした。
主人公アムレートは筋肉ムキムキだし、愛し合う相手もオフィーリアではなかったですけど、叔父が父王を殺して母を妻に娶ったことへの復讐に燃えるというあらすじは一緒。
それゆえストーリーとしては意外なことはほぼ起こりませんが、幻想に満ち溢れる北欧神話的な世界観が楽しめます。
過去を舞台にした物語のほとんどが主人公を現代的な思考や価値観をもった人物として描いて視聴者が理解・共感しやすくさせてある一方、本作は登場人物たちが我々とは異なる行動原理をもっていることを楽しむ映画なのでしょう。
私はゲームの世界によく魔法使いが出てくるのはなぜなのだろう？ と以前から疑問に思っていたのですが、魔法は、超自然の存在が信じられていた時代ではそれが思い込みであったとしても人を動かす効力は実際にあったのであろうと妙に納得してしまいました。
なんでこの映画を観ようかと思ったのかというと、塩浦さんの北欧神話に音楽をつける可能性がまだあるかもしれないと思ったからなのですが、音楽は Heilungみたいに土着的で素晴らしかったです。この作品のために当時の楽器を復元して演奏したとのことでした。
ググったら本作は興行収益は低調に終わったものの配信サービスでは成功を収めているとのことで、まさに映画館で観ようとまでは思わなかったものの期待せずに観たら意外と楽しめるという一本でした（笑）
現在、Amazonプライムで観られます。