Larz ~バーバラビット初ドイツ、FUSION夜の景色、素晴らしきフェスごはん | ツアーレポート

ツアーレポート

過去の旅レポート

__.JPG


フェス前日は寒さに凍えて上着を購入したが、始まってみると連日酷暑。
毎日水着で歩く人の数が増えていく。
私は黄色いTシャツを着ていたらたかってきた小虫が勝手に背中に張り付いては死んでいくという現象に見舞われて気が狂いそうになったので、変なTシャツを購入。



「バーバラビットのキャバレーショウ」の舞台となる劇場。
この作品をドイツで上演するのは初めてのこと。
表の巨大スクリーンには、暗くなると映像作品が映し出される。



雰囲気のある楽屋。

「かたわれ」の会場カスバとは違って、劇場での公演は何の問題もなく快調に進む。
同じフェスとは到底信じがたいほどのオーガナイズのギャップ。



客入れ前の劇場。



ここに、ぎっしり詰めかけるお客さん。
全三公演は、ほぼ満席となった。

最終日の写真たち。













音楽フェスの中での劇場プログラムと聞いた時、真っ先に「どのくらいお客さんが来るのだろう?」と思った。
通りがかりにパフォーマンスが目に入るような野外ステージならばまだしも、わざわざ劇場まで足を運ぶ人が、果たしてそんなにいるものか。
四方八方から音楽が聞こえてくるこの状態の中、何が起こるかは全く見えない劇場の中に足を踏み入れる人が、一体どれほどいるのだろう。
日本的な常識からして、音楽フェスの客層と劇場の客層があまり結び付かなかったということもある。
しかし、幕を開ければどのプログラムも常に満員。
目当てがあるわけではなく、ただ「劇場で何かやってるらしいよ」といった感じに入ってくる人々もたくさんいる。
私は劇場が大好きなので、この浸透率、ある意味では敷居の低さを、とても羨ましく感じた。

「バーバラビットのキャバレーショウ」は、子どもたちのように素直なお客さんの反応に温かく支えられて、連日のダブルカーテンコールとなる。


この前日、私たちはパリ在住のサーカスアーティストであるYukkiYOYOが滞在先のドイツで亡くなったという報せを受けていた。
この2年間のヨーロッパツアーでは、いつもどこかで会っては一緒に飲んで、今年も全ての行程が終了した8月末にパリで会えると思っていたのに。
全く信じられないけれど、とりあえずフェスティバル後にユッキーに会いに行くことだけを決める。
終演後の挨拶、村田さんが何度も何度も空に大きくキスを贈っていたのが印象的だった。




ドイツの夜はなかなかやって来ない。
日が沈み始めるのが遅く、夕暮れの時間が長い。
ようやく暗くなるのは夜10時を過ぎたころ。



自分で演奏しながら、歌いながら、ピアノを運転して移動していくおじさん。
ピアノ自体が車のようになっている仕掛けらしい。






夜のFUSIONは色々な明かりで溢れる。
それでも暗いところはとても暗く、私たちにはよく見えなくて若干危ないくらい。
西洋の人の目は闇に強いのだなと実感。



暗闇の中で見たジプシーロックバンド。
ただのバカ騒ぎはさせないぜといった感じの、ひねくれた演奏が格好良い。

暗がりを歩いていると、村田さんが若い女の子に声をかけられる。
大変怖そうな見た目だったので例によって警戒してしまうが、どうやらバーバラビットのショウを観てくれたとのこと。
「もうすっごく素晴らしかったから、それを伝えたかったの!」と言ってくれた彼女の後ろには、さらに怖そうな見た目の男女たちが手を頭の上に乗せてウサギの真似をしながら、こちらに向かってぴょこぴょことお辞儀をしていた。
か、かわいすぎる。




さて、フェス中私たちが毎日とても楽しみにしていたもの、それはフェスティバルごはん。
クマの絵が食堂の目印。

__.JPG

マッシュポテトに大豆肉のスモーク、タブレ、ほうれん草とポレンタ、トマト味のザワークラフト。

__.JPG

豆腐ソーセージ、豆の煮込み、野菜のクリームカレー、アジア風のスパゲッティ。

__.JPG

野菜と豆のサワークリーム煮、いろんなキノコのワイン蒸し、生野菜のサラダ豆乳ドレッシング。

__.JPG

豆乳クリームとマカロニのラザニア風、ルッコラとごろごろドライトマトのサラダ。

__.JPG

レンズ豆のボロネーゼ風パスタ、胡麻ドレッシングのサラダ。

__.JPG

豆乳と野菜のキッシュ、マカロニと豆のチーズ焼き、フムス、サラダいろいろ。

他にも美味しいものが次々と。
6日間の間、まったく飽きることなくむしろ毎日バリエーションの豊富さに感動しながら、もりもりと食べさせてもらった。
大変良い勉強をさせて頂きました。



この想いを伝えるべく、最終日にキッチンクルーにお手紙を。
シャトルのドライバーさん並に悪そうな見た目を誇るクルーの皆さん。
渡した後に離れたところから様子を伺っていたら、 皆で寄り集まってじっと手紙を読み、「いやっほーう!」と弾けるように喜んで小躍りしていた。
か、かわいい。




大変刺激的だったFUSION FESTIVALはこれにて終了。
システムとカオスの双方を見事に融合させたオーガナイズ。
ここでのオーガナイズは「意図」に似た意味合いだが、このフェスのそれは生き生きとして且つとても太く、力強い。
そして創り上げられた景色はまるで、世界の果ての希望のよう。
本当に、素晴らしかった。