先日、とあるお店の試作品を試食する機会がありました。
そのお店は東京の数ある人気名店のうちの1軒。
その人気店の店主が作る一杯なので、完成度の高さはもちろん、味も抜群の美味しさでした。
…と同時にこのラーメンを食べたときに色々考えさせられることがありました。
このクオリティの高いラーメン。もちろんそのまま販売しても何も問題無い商品だと思いました。
しかし、もう一方で「この人気名店が出す新商品」としてはどうなんだろう…と思わさせられたのです。
そう、人気店だからこその次の展開へのハードルの高さ。そして「東京でラーメン屋をやっていく厳しさ」も痛感してしまったのです…
この試食したラーメン。
おそらく10年以上前にこの商品をメインにして出店して、ブランディングなどを上手にやれば、絶対に人気店になったであろうと思えるハイクオリティなラーメンです。
しかし、ラーメンは凄まじい進化をしていて、今現在このラーメンをメイン商品にして、今のこの店と同じぐらいの人気店になりえるのか…?と考えたときに「厳しいのではないか」と感じてしまったのです…
おそらくこのラーメンを地方などでメイン商品として出店した場合、その地域を代表する大人気店になれるであろうクオリティでした。
しかし、今の東京や地方でも大都市の人気店となっているお店のレベルは、異常なぐらいまでに上がっています。
そういう中で「味」「商品力」という要素だけで東京でやっていく厳しさを、ハイクオリティなラーメンを食べたことで痛感してしまったというわけなんですね。
ただし、これは言い換えると「味」「商品力」という要素だけで人気店になっているお店がかなり増えているとも言えます。
以前はラーメン店に限らず、飲食店で繁盛店になるには「味」よりも他の要素の方が重要だったり、総合的に戦略を立てていくことが必須でした。
しかし、現在は「味」「商品力」「満足度」など、提供する商品そのもののクオリティの比重がかなり強くなっています。
そう、現在は商品力そのもののクオリティの高さが繁盛店になる近道にもなっているというわけです。
しかし、現在は食材費の高騰や光熱費の高騰もあり、人件費も高騰、人材不足など様々な問題がある中で、本来は原価率を抑えていく方へシフトしていかなければいかないにも関わらず、それとは逆の方向が繁盛店になるための要素になっているわけです…
また、先日友人のYoutubeでも少し話したように人気店になるためには「仕事量」も増加していて、本当に厳しい時代へ突入しています…
少し話は変わって「食べログ」には「百名店」という全国トップクラスの人気店の指標があります。
この「百名店」に選ばれている名店の数々。自分は「ラーメン」のジャンルでは全国の店舗全て合わせて8割以上のお店に訪問しています。
その訪問、実食した経験から感じることを言います。
「この百名店に選出されているお店。たいして儲かってない店も多いだろうなぁ…」
………と。
選出されているのはもちろんその店の技術力の高さや多大な努力があってこそですが、先述のような「食」へのこだわり、食材の質の向上、仕事量の増加など、原価率も人件費率も人時生産性も全てを犠牲にしてその評価になっていると感じるからです。
そう、行列の出来る人気店になって、食べログの評価も高く、SNSのフォロワーの数も多い、大人気店なのに、原価は高い、仕事量が多いから生産量も少ない(※人を使う必要がある)など
大人気店にも関わらず利益率が低い
という店が多いと感じるわけです。
そして、この傾向は大都市になればなるほど強く感じることが増えてきました。
そう、「東京」という街では本当に大変な状況であると…
ただし、もちろんほとんどの店がそういう傾向にあるというわけではなく、事業として上手くやっているお店も、そういう商品力をブランディングや経営手腕で上手くやっているお店もたくさんあります。
しかし、これだけ技術もセンスも抜けたお店が沢山ある中で、人気だけだはない勝ち組として残っていくのは本当に大変なわけです。
個人的にこのコロナ禍というのは飲食店にとって多大な影響を与えて、飲食店の事情は大きく変化したと思っています。
これは今まで通じていたマーケティングや販売戦略なども変わってきているし、SNSの普及やユーザーのニーズの変化など、様々な観点から感じることがあります。
マーケティングにおいていえば
●マーケットイン
・顧客の意見やニーズに合わせた商品開発する
・自社が作りたいものではなく、顧客が求めているものを作る
・市場調査から市場にとって必要な商品を導き出す
●プロダクトアウト
・自社の強みや技術を活かしたサービスや製品を開発する
・作り手が良いと思ったもの、作りたいものを基準に商品開発する
・商品を作ってからどのように販売していくか導き出す
このような考え方があります。
飲食店においては今までは絶対的にマーケットイン的な考えであるべきだったと思います。
しかし、前述のような「商品力」そのものの強さが人気店になっているケースはかなり増えてきました。
要はプロダクトアウト的な商品を提供している店が人気店になっている傾向になってきたというわけです。
特に人気店になる個人店の多くは「美味しいモノを作ろう!」という気概だけで出来たお店の方が多いとも感じています。
ただし、それでも「ニーズ」というものは非常に重要で、自身でも市場調査、マーケティングから必ずお店のコンセプトや商品、メニュー構成などを決めていきます。
「ニーズ」だけでなく、市場調査をすることで、数値データからその地域で勝ち残っていくためのコンセプトや商品を導き出すことも出来ます。
大手企業の多くはこのマーケットインの考え方を従業員にもしっかり浸透させていると思いますし、実践している企業も多いはず。
しかし、時代が進んだ現代、さらに東京や大阪などの大都市では「プロダクトアウト」的な商品が人気になるケースが増えています。
これは商品力の高さそのものが多くの人に受け入れられる、知ってもらえる、伝わりやすくなっているからだと思います。
そう、企業側だけでなく、ユーザー側も進化しているというわけです。
こういう時代の流れをしっかり把握していくことも、東京などの最先端の都市で事業をしていくには非常に重要なポイントです。
「商品力」そのものが高いだけでは厳しい
「商品力」の高さだけで人気店になるケースがある
ここで言ってることが矛盾してるじゃないか!
…と思う方もいると思いますが(汗)、こういう様々なケースが増えてきたことこそが、飲食事情の変化だと自分は思っています。
そして前述のように「商品力」は高く、「食」のこだわりなども伝わりやすくなり、人気店になったとしても生産性の問題などにより利益が出にくいケースもあるわけです。
要は
以前のような飲食店におけるマーケティング、販売戦略などは通用しないケースもある。
ということを認識した方がいいと自分は考えています。
特に東京などの大都市での変化や進化のスピード感も年々上がっているように思いますし、自分みたいなサポート側の立場の人間はそういう変化や進化をインプットしていくべきだと思うので、敏感に市場をチェックしています。
自身が頻繁に実施している市場調査のやり方や情報収集などもコロナ前とは大きな変化があります。
個人的な体感としてユーザー側は変化や進化しているのに、それに企業側は追いついていないような感覚も増えているように思います。
さらに様々な高騰が続く昨今、様々なケースに対応していくべく、作り手側も進化していくべきではないかと感じています。
後半は少し小難しい話になりましたが(汗)、現在の事業がどのような立場に置かれているのか見直してみることも重要だと思います。
もし今後大都市での飲食事業を考えている方はぜひご相談を…
という、営業的な〆を久しぶりにして今回のコラムは終わり!w
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