ここ最近
間借り営業
をしている飲食店が増えたと思います。
これはコロナ禍も理由の一つかもしれないですし、色々と理由があると思います。
自身も5,6年程前にラーメン店の定休日で間借り営業をしていた身として、飲食店をサポートする側として、今後の「間借り営業」というスタイルについて検証してみたいと思います。
まず、自分自身がやっていた間借り営業「創麺業 磯部水産」ですが、これは今の間借り営業が増えている状況とは毛色が違いました。
当時、体調もまだ回復していない状態で、それでも自分のラーメンを作る機会を持ちたい…という思いはあり、そんなときに「くじら食堂@東小金井」の店主さんのご厚意でやらせてもらっていた感じで、特にこれで儲けよう!名前を売ろう!みたいな感じではありませんでした。
自分のお店に来ていただいてたお客様に少しでも楽しんでもらえる機会があれば…みたいな感じで必死にやっていましたね。
その店名も自身が以前にやっていたセカンドブランド営業の店名とコンセプトをそのままやっていただけで、その営業を別のところでリアル店舗として復活させよう!という感じでもありませんでしたし。
それでも間借り営業をしていた経験と、現在の飲食事情などから、間借り営業をする側、間借り営業をさせている側の立場になって、メリット&デメリットなどを検証してみましょう
①間借り営業させてもらう側(借り手)のメリット
飲食店を始めるのは実は簡単です。
ざっくり言うと「食品衛生責任者」の資格を1日の講習で取れば飲食店をやることは可能です。要は素人でもすぐに出来てしまう事業の一つなんですね。
しかし、店を作り、味を作り、人を雇って経営をしていくには知識、経験も必要ですし、店の規模にもよりますが、数百万~数千万のお金がかかります。
そして、店を作ることは出来ても、その店を繁盛店として経営し続けていくことは本当に大変です。
そんな中、この「間借り営業」というスタイルは「飲食店をやってみたいけど経験が少ない、不安がある」という人にはメリットが多いです。
既にある飲食店を「間借り」するわけですから、その契約の内容にもよりますが、使わせてもらう期間の家賃&使用料、光熱費などを支払う形で使わせてもらうパターンがほとんどだと思います。
莫大な投資をする前に、飲食の経営的なこと、味づくり的なこと、オペレーション、接客などを自分のお店という空間で体験できるわけです。
飲食店で10年以上修行した経験豊富な人でも、自分で店を造って、味を作って、人を雇って経営するのは本当に大変です。
もちろん、その飲食店勤務での仕事内容やポジションでも変わりますが、やはり実際に自身の経営という形で「体験」することは非常にプラスになると思います。
また、その間借り営業の期間で「認知」してもらい、「ファン」を獲得することも出来ます。
その間借り営業の間に自身の調理技術の向上にもなると思います。
あの大人気店「トイ・ボックス」さんも今のお店をオープンする前から間借り営業を不定期でやったりしていて、オープン時には既にファンが多くいたお店だったと記憶してます。
調理学校などで調理技術を学んだり、修行して調理を覚えても、実際に自分で仕入れをして、自分が全ての責任を持って調理して、お客様に提供する。そして、そのお客様の反応を直で感じる。
いくら調理技術が高かろうが、経験豊富であろうが、これに勝るものなんてありません。その実際に食べてもらう経験こそが自分の大きな糧になると思います。
・少ない投資で飲食店経営を体験出来る
・実店舗をオープンする前に名前を売ることが出来る
・実際にお客様の反応を肌で感じることが出来る
このメリットだけでも、将来的に飲食店をやりたい方にとって、間借り営業をさせてもらうことは非常に大きなメリットがあると思います。
一方、デメリット的なことは
・設備が決まっていて、提供出来る商品、食数などの制限がある
・営業時間が短く、売上拡大は見込めない
・固有の住所が無いため、飲食店として認められるケースが少ない
このあたりは誰でもわかることでしょうか。
自分は「間借り営業=飲食店経営」ではなく、あくまでも飲食店経営をする前の経験の場だと思っているので、いくら間借り営業が人気になっても、飲食店という形では認められない場合がほとんどだと思います。
食べログやGoogleマップ上で店舗として登録されたり、評価されたりすることはありますが、これはユーザー側の投稿の一部であり、間借り営業は飲食店経営とイコールではないことを認識しましょう。
②間借り営業させる側(オーナー)のメリット
既に営業中の店舗を貸す場合、+αの家賃収入、使用料などのメリットはありますが、デメリットも多くあるので注意は必要です。
飲食店の中で、定休日を設けている、営業していない時間帯がある飲食店は多くあると思います。
特にアルコール提供の業態の場合、夜からの営業がメインで、ランチタイムは営業していないテナントも多くあるのではないでしょうか。
間借り営業はそういった居酒屋、BARなどの業態のテナントのランチタイムを貸す形も多いですね。
このように営業していない時間帯に営業をしてもらうことで、そのテナント使用料が入ってくるのは貸す側の最大のメリットではないでしょうか。
他にも営業許可は取ってあり、いつでも営業出来る状態ではあるものの、諸事情でお店がオープン出来ないテナントなどが期間限定でテナントを貸せれば無駄な出費も抑えることが出来ます。
ではデメリットについて
ほとんどの場合、その店舗の営業許可の範囲内で間借りをさせることになると思いますが、その場合に間借りした店舗が起こしたトラブルは貸す側の飲食店にあります。
食中毒、近隣とのトラブル、経営店舗と間借り店舗との混合、家主との契約内容など、間借りさせる人や業態にもしっかり気をつけなければなりません。
水光熱費なども貸す側の負担になりますし、備品類、消耗品など共有で使うモノも多くなります。
このあたりはしっかりと契約内容をまとめて、契約書を作成して貸す側の負担にならないように注意しましょう。
ちなみに自分が間借り営業を終えたきっかけは、トラブルなどはなかったのですが、間借り営業の知名度が高くなり、行列も増えて、本店に間借り営業の問い合わせが来るようになったり、本店に迷惑がかかる可能性が増えてきたことだったりします。
自分の場合は友人の好意で間借りさせていただいただけだったので、何のトラブルも無く間借り営業を終えることが出来ましたが、基本的に間借りは貸す側の好意で出来ている場合がほとんどです。
間借り営業をする側は「やらせてもらっている」という気持ちで営業していただきたいですね。
③間借り営業の今後について
コロナ禍になり、観光、アルコール業態の飲食店は大打撃を受けて、飲食事情も大幅に変化があり、この2年で間借り営業、シェアレストランなど、一つのテナントに複数の業態が入るという形はかなり増えました。
この「間借り」という形はその打撃を受けたテナントを使用料などで助けることも出来て、借りる側は少ない投資で店舗運営が出来たりなど、お互いにとってのメリットの方が大きいと思います。
しかし、前述のようなデメリット、トラブル対応もしっかりしていかないとなので、必ず共通のルールを作成して、賃料、使用料などを決めて、お互いが納得出来る形を作ることが重要です。
現在では間借りのマッチングサイト、シェアレストランなどもありますし、借りる側も様々な形で検討出来るケースも増えてきています。
ただ、マッチングサイトなどを安易に利用して間借り営業を始めるのはオススメしていませんが…
しっかり形を作ればメリットの方が大きいと思うので、今後も間借り営業という形は増えてくると思います。
また、これは自身のコロナ禍での支援の一環で行った
夜業態メインの店舗のランチ業態開発
この記事で募集をしたのですが、要はラーメン以外の業態の事業者の方で、お困りの事業者の方へランチタイムやテイクアウト商品などの商品開発を無償で引き受けるサポートをしました。
業態自体を変更したい事業者もいましたし、相談内容は様々なケースがあったのですが、相当数の相談や依頼があり、全てお受けすることは出来なかったぐらいで、やはり営業していない時間帯の有効活用というのは多くの事業者の方がしたいのだと実感しました。
その有効活用の一つが「間借り営業」でもあると思いますし、自社でその間借りさせる時間帯のためだけの業態開発、商品開発をして営業するというのも一つの形です。
ラーメンという業態はその「間借り」や自社での業態開発がやりやすい業態なので、多くのケースに対応することが出来ました。
このような新業態に対応していくというのも、このコロナで影響を受けて変化のあった飲食業界のケースの一つだと思います。
このような自社での業態開発はもちろん、間借り営業のマッチングなどもしたことありますし、間借り営業自体の経験もしているので、もし間借りを検討している事業者、テナントを間借りしてもらいたい、営業時間外の有効活用などに興味のある方いればいつでもご相談ください。
その場所、そのテナント、その業態、借りる側、貸す側の全てをしっかりと判断して進める必要があります。
どちらもWin-Winのメリットのある形になるように、自分はサポート
していきたいと思います。
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