見捨てない気持ち「枯れ葉」2024(1) | Mの映画カフェ♪

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映画の感想など



kuolleet lehdet
2023年フィンランド・ドイツ

監督 アキ・カウリスマキ
主演 アルマ・ポウスティ、ユッシ・バタネン他

最近のカウリスマキには正直、あまり期待していなかったんですが

…面白かった、いや素晴らしい


ロシアのウクライナ侵攻がラジオのニュースから流れる2023年


北欧も日本と同じく

派遣や契約で労働者は使い捨て。お互いを思いやるにも勇気のいる世の中で


生きることはなかなか厳しい。

少しのユーモアと優しさのおかげで、なんとか日々を過ごしている、


スーパーをクビになったアンサと工事現場を転々とするホラッパ

私にはこの二人、ジェルソミーナとザンパノに見えました

ザンパノはまた永遠にジェルソミーナを失ってしまうのか


登場人物の名前、なかなか明かされません

元野良犬の名前も最後にチャップリンと明かされて

名前がなくても誰にでも起こりうる物語

淡々としているようで、実は良く練られた完成度の高い脚本です


口数が少なく無愛想なアンサですが

その行動から寂しさ、優しさ、悲しみも伝わってきます

お皿を捨てるシーンが切なかった…


私は途中から涙が止まりませんでした


戦争を憂うけれど、まずは自分の生活を立て直すことが先決で

身近な問題から解決するしかない

カウリスマキ監督に強く共感します


見捨てない、切り捨てない、近くにいる誰かに手を差し伸べる人は


地球を救うヒーローより尊いと私は思う。

誰かの優しさが誰かを救う

それは自分の身に起きることかも知れません。

カウリスマキはついに、国も時代も超える映画を作りましたね


素晴らしいです!



2024年2月10日 角川シネマ有楽町