孤独を恐れない心「PERFECT DAYS」2024(2) | Mの映画カフェ♪

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映画の感想など


2023年 日本

監督 ヴィム・ヴェンダース
主演 役所広司、柄本時生、アオイヤマダ、中野有紗、石川さゆり、田中泯、麻生祐未、三浦友和 他

これって…
西川美和監督「すばらしき世界」と対ですか!?
と思うほど、役所広司さんの「平山」が「三上」でした。
辛い育ち方をした三上
育ちの良さそうな平山
しかし質素な暮らしぶりが重なります。

平山の仕事は都内の公衆トイレの清掃
畳敷きのアパートの部屋に今どきラジカセとカセットテープ、
古本屋で買った文庫本

古いものに囲まれているようで、平山のこだわりが垣間見える

銭湯、ピンク色の公衆電話、浅草の地下の居酒屋、歌のうまいママのいるスナック

昭和の世界が現存します。
そして、波風の立たない毎日にも、ちょっとしたトラブルや人とのかかわりが起きる

平山の過去については描かれていませんが
何かがあって色々なものを捨ててきた人だということはわかる

寝起きする部屋はきちんと片付いているが
たくさんの段ボールの積まれた小さな荷物部屋がひとつあり、事情があって引っ越してきたものの、使わない、捨てきれないものたちがある。必要があれば家族に連絡も取る。
スナックのママが他の男と抱きあっているのを見てがっかりしたりもする。

平山はすべてを断捨離したわけでもないし、まったく煩悩がないわけでもない。

それでも自分の収入の範囲内で過不足なく生活し、他人に迷惑をかけないし(できれば)かけられたくもない

孤独を選択する勇気と
結局そんなに格好よくは生きられない人間の姿が描かれていました。

「枯れ葉」ともオフビート感が重なりますが
「枯れ葉」は物はあっさり捨てるけど人間関係は捨てない 
「PERFECT DAYS」は物は捨てないけど過去はバッサリ捨てる

断捨離のしかたも人それぞれですか…

こういう、比較的なにも起こらない映画が評価されるのはうれしい。
ジム・ジャームッシュの作品と言われたら、そう思うかも

・・・・・・・
追記
平山が毎日かかさず水をやる植物
観葉植物でも盆栽でもないし何だろう?と思っていたら
なんと、抜いて捨てられる運命の雑草を丁寧に持ち帰って世話をしている!!
野良猫ならぬ野良草!

誰も目を向けない生命を大切にし、木漏れ日の写真を撮る平山は
やっぱり素敵な人です
・・・・・・・

2024年2月12日 T・ジョイPRINCE品川