留学生活もあっという間に1ヶ月半が経ってしまってびっくり!
デンマーク語は相変わらずチンプンカンプンだけど、英語と想像力を駆使して何とかキャッチアップしている。ここでの授業は、どこまでも実践的だ。Learning by Doing.
生徒のクリエイティビティを引き出す場の設計について1ヶ月半で感じたことをメモ的にまとめてみると、以下のような感じ。
1. レクチャーは最小限、とりあえずやってみる!
授業はたいてい2~3人のグループで、プロジェクト形式で進み、1週間で1つの課題を終わらすという感じだ。まず月曜に、課題についての指示が与えられるのだが、特に背景知識ついてのレクチャーはないし、何をつくることが求められているのかについての長い説明はない。
私はグラフィックデザインのコースにいるのだけど、例えばファッションブランドのロゴをデザインするという課題では、「良いロゴとは何か?」「良いロゴはどうやったら作れるのか?」「どんな色が目立つ色かとか?」という説明は一切ない。
このときは、誕生の経緯や名前、イメージまで自分たちの架空のブランドを考えるところからロゴのデザイン、そしてプロダクトの製作までやったのだけど、やひたすら自分たちの感覚を信じて、自分が面白いと思うもの、美しいと思うもの、想像力を駆使しながらをとりあえず作ってみる。そして、数値化できない対象物を、「いい感じ」かどうか?を自分の心に聞いて、選んで行く。
ほぼ初学者ばかりのクラスなのに、ロゴがプリントされたプロダクトを作るところまでやるなんて、しょっぱなから本格的だな~と思ったけど、このちょっと背伸び感のある課題が生徒のワクワクを引き出していていい気がする。
2. 遊びと実験が大事!
私のいる学校はデザイン教育に特化していることで有名なホイスコーレ。だから、Learning by Doingのプロセスにも、さらにこの学校独特の工夫が加えられている。その一つが、課題の全工程を最初の段階では敢えて説明せず、少しずつ明らかにしていくというものだ。
例えば、ロゴを作ったとき、最初の段階では、最終的にロゴをデザインするということは伝えらなかった。
先生の最初の指示は、「今週の課題は、ファッションブランドに関することをやるから、今から部屋に戻って、ブランドのイメージに使えそうなアイテムを何でもいいから取ってきて」というものだった。 そして、それが終わると、「取ってきたものから、連想する言葉をグループでたくさん書き出してみて!」と次の指示がまた小出しに出されるという具合だ。
今やっていることが、最終ゴールにどうつながるかを敢えて知らせない。残りの作業時間がどのくらいあるかも、あまり知らせない。
何でも前もって予定を細かく把握したがる日本人にとって、このやり方は慣れない。先生に「どうしてこういうやり方するの??」と聞いたところ、
"最初から最終ゴールを伝えてしまうと、人は何となく落としどころを見据えて、色んな冒険をしなくなる。残り時間を伝えると、すぐにまとめようとする。でも、みんなには色んな可能性を探ってほしいんだ。対象物と遊んで、色んな方法を試してほしいんだ。 だから、ゴールはシークレットのままでプロジェクトを進めるやり方を、これからもするからね(ウィンク)"
なるほど。最初から落としどころを考えて無難な作品をまとめようとしちゃうのを防いでくれているってことね。敢えてゴールまで直進するのではなく、回り道をさせて遊ばせる場の設計。
確かに自分の力を出し切るのにはいい方法だ。 1ステップごとに右往左往、気がついたら毎回全力疾走している感じがする。。
出来上がったロゴ入りトートバッグ。
3. 成績はなし、競走はしない。
さらに1と2に加えて、競走を嫌う北欧の文化と成績がないという点が、クリエイティビティを引き出してくれていると思うのだけど、これについては改めて別の機会に書こうかと^^
写真は学校の図書室。暖かい光の色がとても居心地がよい空間をつくり出していて、お気に入りの場所。