Zu々「Yé -夜-」@東京芸術劇場シアターウエスト | このために生きてる。

このために生きてる。

ライブや音楽、その他好きなものごと

初めてのシアターウエスト。

いい感じに小さくて、雰囲気のある素敵な劇場ですね。

 

「Yé -夜-」は中国の映画が元になっている舞台。

 

あらすじ(公式サイトより)

中国の地方都市。その寂れた裏路地に毎夜のように一人立ち、出会う客に身体を与える事で日々の糧を得ている水仙(スイシェン)。いつものように過ごす《夜》だったはずが、一人の青年と一人の少女との出会いが、その《夜》を変えていく。ゲイの自分に後ろめたさを感じながら水仙と《夜》の深い世界に溺れていく青年・夜来香(イエライシャン)。娼婦として水仙と同じショバに立つことに決めた薔薇(チアンウェイ)。

その出会いから紡がれる“自分を否定し、誰ともつながれない若者たちが、それでも、つながりを求めて生きようとする中で自分を見つめ直していく”物語。自分の気持ちに素直になれない、恋に臆病な若者たちに訪れる結末は・・・

 

 

舞台は階段状の淫猥な雰囲気溢れる裏路地って感じで、真ん中に少し高い台が一つ。

最初はそこに白いシーツがかぶせられてました。

会場が暗くなると横の扉から北村諒さん演じる「水仙」と松本龍之介さん演じる「夜来香」が現れて、通路を通って舞台に向かうんですが。

2メートルくらい先の北村さん、顔めっちゃ小さい!!!!白い!!!!よくある表現だけどお顔握りこぶしくらいしかなかったです…

の感覚に既視感を感じたら、舞台「ホイッスル」のときも同じこと思ってた笑

ペダステの東堂や笛ステの翼とは全く違い、気だるげに歩く姿からは色気が溢れていて、役者さんすごい…とまず1回打ちのめされました。

夜来香の松本龍之介さんも、ペダステで石垣をやってる方だったんですね。少し背を丸めた立ち姿だけで、この人はゲイであることに負い目を抱いているんだなと分かる演技でした。

 

R15の舞台を見るのは初めてだったので、どんなもんなのかな~と思っていたんですが、開始3分でいきなり濡れ場。がっつり。会場の温度がちょっと上がった。

何度か暗転する度に二人の服が脱げて行って、暗い中で漏れる喘ぎ声…最後には下半身をシーツで隠していたんですが、まあズボンかパンツはいてるだろうなと思ったら事後に下着を履いていてこれは…???とドキドキ。

 

それからも買春した客にキスをかましたり、終始薄暗い隠微な雰囲気をまとったままストーリーは進行していって、そわそわしっぱなしでした。

それでもいやらしいだけではなく、人も自分も信用できず、人との関わり方を拒絶したと言いながらも手探りで模索していく様子が糸を束ねるように、ときにその糸がちぎられながらも紡がれる緊張した舞台でした。

水仙も、平田 裕香さん演じる「薔薇」も自暴自棄な雰囲気がありながらも、二人でふざけあってみせたり、ときどき見せるこどもっぽさ(ふざけてる内容はアイスで擬似フェラのしあいっていうアダルトなんですが)が余計に二人をいわゆる「普通」の世界から遠ざけて見せたように感じました。

途中でトラブルに巻き込まれるんですが、絶対これ薔薇死んじゃう!!と思ったけど無事でした。

薔薇、すごく可愛かったです。諦めもあるけど最後にはちょっと希望があったり(でも多分本人たちはそう思ってない)

 

水仙を理解しようと、自分も売春する夜来香が「汚されるようだった」と言ったり「普通の仕事」の話をするたびに開いていく水仙との距離は最後まで解消されることはなかったのですが、それでもラストシーン、眠る夜来香に寄り添って音楽を聴く水仙の姿がとても愛おしくて、余韻のあるすばらしいラストシーンでした。

 

他のキャストもセリフが少なかったりでしたが、裏路地の雰囲気を濃くする絶妙な存在感でした。

唯一ちょっと残念だったなーと思ったのは、「刺」を演じる谷口 賢志さん。

先日見た「龍よ、狼と踊れ」と似たような演技に見えてしまいました。

やべえ人だというのは伝わったので、「龍よ~」を見てなかったら気にならなかったのかもしれません。

「ジョーカーゲーム」の結城中佐もやられるんですね。そっちはどんな風になるのか、気になります。

笛ステの松下もやってらしたんですね。

 

エロスももちろんふんだんだったんですが、それ以上に役者さんの秘めた熱が伝わるヒリヒリした舞台でした。

 

ほさかようさんの演出・脚本は好きかもしれない。

空想組曲はタイミングが合わず行った事がないんだけど、次は見に行こうと思います。