ダイヤのAで成宮をやった小西成弥さん出演とのことで、見てきました。
演出家4人による4本立てのオムニバス的な舞台。一本は30分程度なのに、それぞれ詰まりに詰まっていて面白かったです。
朗読劇って椅子に座ったまんまでただ台本を読むだけだと思ってたんですけどそうじゃないんですね。本は持ったままだったりしましたが、いろんな演出があって普通の舞台と変わらなかったです。無知ってやだわ。
①Fancy you
「Fancy you」とは子供が使う「好き」ってことらしく。確かに、子供の好きが高じちゃった感じでした。でもそれがかわいい。
ラインの文章を演技でっていうのが面白かったし、スポットライトで参加者を示してるのもなるほどなー。
それぞれのキャラクターが立っていて、ああ~~いそういそう~~って思っていたし、カオリが誤爆しちゃったときはこっちまでアーッ!!!ってどきどきしました。
リョウスケの恋の落ち方とか落ちた後とか、カオリのカズキへの恋の仕方とか手のひら返しっぷりとか、まさのFancy youだなあと。見てる分にはかわいいけど身近にいたらイライラしそうだ…笑
でも結婚は金は同感。程度はあれど。
最後にああいうネタばらしがあるとは…携帯なくしたって伏線だったんですね…面白かった。
②深海のカンパネルラ
すっごい良かった!「先生」が客席から出てくるとき、舞台に上がったときのたたずまいだけでかっこいい。
「ジョバンニ」と「カンパネルラ」は普通に銀河鉄道の夜をなぞっているだけかと思ったら、そこは狂気の世界で、その理由が悲しくなりました。
終盤のりくとけんじが仲良くなる過程では結末がなんとなく分かっているだけにつらくて…
姉とのやりとりが切実で、りくのけんじへの気持ちとか、現実の辛さとかが一番刺さるシーンでした。おねえちゃんもつらい。
「先生」の「思い出すってことは忘れるってことさ」みたいなセリフにバーン!と背中を叩かれた気持ちでした。
ラストシーンの、二人で天体や魚の名前を言いあうのにけんじがフェードアウトしていくところでもう涙が。
「りく」って名前は空と海の間=生きている なのかなと思いました。
③未完成最高曲
田舎の停滞感、みたいなのがしんどかったです。
夢を追いかけている…はずなのにドロップアウトしそうなヨウスケと、DVを受けているサユリと実家の喫茶店を継いだコウタ。
それぞれ何を考えてるのか分からなくてイライラしました。特にサユリ。
でもそういうヒリヒリした行き止まり感が、田舎ってこうなんだろうなあ…と思わされました。
④雪とむぎわら帽子
もうボロ泣き。感動ものなのは最初から分かってたから、フーンまあそれが分かるくらいだったら泣かないし、とか思ってたけど全然だめだった。ハンカチバッグの中だったので袖で涙拭ってた。会場中からすすり泣きの声。すごかった。
マイコとお父さんの幸せそうな日々が仮初であることももう辛かったし、初恋の相手がすごく素敵に成長しているのに失われそうになって、それを助けるためにお父さんとの暮らしを捨てようとするマイコと、もう生きてたら20歳になるから、大人だから判断を信じるお父さん。
打ってるだけで泣きそう。お母さん幼少までだけどいい娘に育てたしいい人見つけたのね……
コウスケくんも20歳までマイコのことずっと覚えてたしそれが理由で水泳に打ち込んだって言うのが眩しい。幸せになって欲しい。
そんでお父さん(綱島郷太郎さん)いい男だった、ほんとに。
なんか、すべての話のすべての登場人物に幸せになって欲しいって思う舞台でした。
音楽もよかった。照明もきれいだった。
舞台上の椅子の山も、これだけの数世の中には物語があって人物がいるんだよ、と言われているように思いました。
あーまた泣きそう。幸あれ。