しおさい恋唄の話 | ムッシュ速報(Theムッシュビ♂ト公式ブログ)

先日4月28日のキンプリオンリーで頒布されたCD付き同人誌「ふれたらはじけてしまうから」に収録された「しおさい恋唄」の制作秘話を語ります。

↓試聴はこちらのツイートの動画で













始まりは昨年11月下旬だったんですけど、いつもジャケットを描いていただいている御田出汁春さんから連絡が来ました。要約すると

・海女カヅアレの本を出す
・主題歌CDを付けるので曲を作ってほしい
・主題歌は両片想いで昭和歌謡
・ボーカルを浅田大根氏にオファーした

というもので、即座にオッケーしました。
なお、浅田大根さんは本来は漫画家さんで、以前御田出汁春さんや小説家のきびさんと3人で「宇宙きらり合同」というweb合同誌(期間限定公開作品のため現在は非公開)を作られていたんですが、以前ネタでアップされてた歌声が非常に魅力的だったので歌に関しては大丈夫だなと初めから安心していました。

その後、お話のプロットと参考音源が送られて来たのですが、その参考音源がサロメの唇「熱海秘宝館のテーマ」でした。これを聴いて、メロはともかく、サウンド的には生演奏主体になるだろうなと思い、数日後にはパノピカ・エイジさんにそれとなくギター弾いてほしいという話をしたのを記憶しています。



とりあえず、作業を少しでも前倒しにしたくて、2018年内にデモを提出して、御田出汁春さんと浅田大根さんに送るというスケジュールにしました。シンステの「はぴはぴ☆わんだーらんど」の作業と同時進行なので、人が関わるものを先に進めようという作戦です。

昭和歌謡テイストの楽曲自体は、元々椎名林檎さんのファンでしたし、由紀さおりさんとかも好きでしたので、割と苦労なく書けた気がします。歌詞も、海女感を出すために海辺に咲く花の名前を調べたりとかしました。なお、歌詞に「なぶれども」という言葉が出てくるのですがBLなので「嬲」という漢字を使いたくなくて「男男男(なぶ)れども」と書いたんですが、実際の収録時には御田さんが男3つの漢字を作って表記しています。こだわりポイントですね。

デモはドラム・ベース・ピアノ・オルガン (全てQY-700での打ち込み)・歌だけのシンプルなものでしたが、一応どんな曲かわかるようにはしました。結局ピアノと歌以外全て本テイクに流用しています。なお、ドラムセットのみQY700の音にMT Power drum kitの音源を混ぜています。「めろめろサマー」でも使っているのですが、海の曲にはカーンと鳴るドラムが似合う?のかな?

↓コード進行のメモ。字が汚い。サビのBなんちゃらってぐちゃぐちゃに書いてあるとこは普通にBです。イントロはもろに椎名林檎さんの「真夜中は純潔」のイントロと同じですが「ハマったなら全然いいよ!オマージュや!」の気持ちです。

さて、ひとまずデモの時点で御田さんが気に入ってくださったのですが、そこから3月末まではあまり動きがなく、締切の4月上旬に畳み込むように浅田さんからボーカル素材の提出があり、エイジさんのギターデモが届き、一気に進みました。

今回すごかったのは、浅田さんにもエイジさんにも細かな注文はしてなく、それぞれ「デモ提出の次の連絡が完成音源用の素材」という状態で、浅田さんにも一切歌唱指導はしてないです。「キーいけますか?」「がんばります」くらいで。

で、浅田さんのボーカル素材が届いて、実はそれまで僕と浅田さんのデュエットにしようと思って僕の録音も編集も終わっていたのですが、浅田さんの歌があまりに素晴らしいので、自分が出しゃばる必要はないなと思ってサビとセリフ以外全てカットしました。

エイジさんのギターは、ベンチャーズやグループサウンズという曲のイメージを見事に捉えていて、「弾きすぎず弾かなすぎず」という正に「粋」なギターに仕上がっており、最初に聞いたときかっこよすぎて一人で爆笑しました。

特に「最後のとこでいい感じのギターソロが始まるにそのままフェイドアウトしてしまう」という演出はフェティッシュでいいなと。昔の歌謡曲によくあったやつの再現です。「なんでそこでフェイドアウトやねん?いい感じのフレーズちゃんと聞かせろや」みたいな。

エイジさんはこの手の「音楽のフェチズム」みたいなのをよく理解されてる方なので一緒に作業してても話してても楽しいですね。

さて、そうこうして半日ミックスルームにエイジさんと篭って完成したのですが、とりわけこだわったのがセリフパートで、浅田さんの素材が「本当にロマンポルノから切り出したんじゃないか」と思うほど雰囲気出てたので、僕の方の音を浅田さんパート基準で作り込んで違和感をなくしてます。浅田さんはiPhoneで録音されてたのですが、多分マイクから離れたところから録ったんじゃないかなと。それに合わせて僕の声にもマイク位置のシミュレータを掛けたりしました。

カップリングのモノラルミックスは、昭和歌謡なので試しにやってみようと思ったのですが予想以上に雰囲気が出ていて気に入っています。「シン・ゴジラ」で引用されてる伊福部サウンドはモノラルのままなのが迫力の元だと思うのですが、モノラルって音の塊なんですよね。塊のパワーというか。

さて、そんなあれこれを経て完成した「しおさい恋唄」ですが、「漫画とセットで聞いて欲しい」という御田出汁春さんの意向により、配信や単曲での公開は致しません。ここまで読んでくださってももしかしたらフルを聴くのは困難な作品になるかもしれないのが心苦しいのですが、通信販売など今後の展開がありましたら追記しようと思います。


企画/御田出汁春

1.しおさい恋唄

作詞作曲/Theムッシュビ♂ト

編曲/Theムッシュビ♂ト&パノピカ・エイジ


唄/浅田大根とザ・カヅアレーズ

Vox.浅田大根

Chorus&Programming.Theムッシュビ♂ト

E.Guitar.パノピカ・エイジ(ミンカ・パノピカ)

Dance&応援.御田出汁春・もろみ


Mix/Theムッシュビ♂ト&パノピカ・エイジ

Mastering/パノピカ・エイジ(D-studio)


2.しおさい恋唄(DJ生牡蠣のベストヒットラジオMIX)

Remixed by DJ焼き牡蠣


3.しおさい恋唄(オリジナル・カラオケ)