【ライスボウル】 日本選手権・日本一決定戦の頂上決戦をプレビュー!<前篇> | アメフト交差点

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‐イントロダクション‐
さて、いよいよ決戦の日が刻一刻と迫ってまいりました。
2014年シーズンの日本一のアメフトチームが決まる、「ライスボウル」。


【社会人王者 富士通フロンティアーズ 9戦全勝】
…今季、パナソニックインパルス、ノジマ相模原ライズ、オービックシーガルズ、IBMビッグブルーなど近年の強豪チーム相手に着実なゲームメイクで勝利している。
長年積み重ねられた選手層の厚さ、1プレーへの集中力の向上が今季の優勝要因となっている。
HP ⇒ http://sports.jp.fujitsu.com/frontiers/

今季は社会人準決勝で富士通フロンティアーズがオービックシーガルズを破り、シーガルズのライスボウル制覇は4連覇でストップするという大きな出来事がありました。
そして、富士通は初のJAPAN X BOWL(社会人決勝)優勝を果たし、初めてライスボウルの舞台へやってきます。
真の日本一まであと1勝。
果たして関学相手に圧倒的な破壊力を見せられるのでしょうか。


【学生王者 関西学院大学ファイターズ 9戦全勝】
…関西学生リーグでは関西大、立命館相手に点差こそ迫られているものの、例年以上の多様な戦術と、昨季ライスで敗退した反省から個人能力の向上をテーマにかかげられた強化で危なげを感じない強さを見せ勝利。
甲子園ボウルでは日本大学を相手に地上戦と堅守で圧勝。
社会人を意識して早いパスを投げたり、ギリギリの勝負をしたりという取り組みも今季の強さの要因になっている。
HP ⇒ http://www.kgfighters.com/

学生のほうでは、今季も豊富な戦術と層の厚いタレント陣を要する関西学院大学ファイターズが、危なげなく甲子園ボウル(学生決勝)優勝。
これで4年連続、学生相手には負けなしでライスボウルの舞台へコマを進めることになります。
昨シーズンまで3年連続でオービックシーガルズに肉薄しながらも、苦杯をなめ続けている関学。
今季は個々の能力だけで言えばもう一つ高いレベルにある富士通を相手に、勝利することができるのでしょうか。


1/3(土)@東京ドーム14:00~ 第68回『ライスボウル』-日本選手権・日本一決定戦- 富士通フロンティアーズ(社会人優勝) vs 関西学院大学ファイターズ(学生優勝) ~今季最終決戦・真の日本一へ、『戦術vsマンパワー』ココでしか見れない構図の戦い~ →14時~【NHK-BS1】にて生中継アリ!!
解説:主音声‐高野元秀(大阪学院大総監督)&ゲスト解説古庄直樹(オービックシーガルズ主将・2011年日本代表主将)
副音声‐有馬隼人(アサヒビールシルバースターOC/QB)



≪公式サイト≫
http://ricebowl.americanfootball.jp/


≪チケット情報≫
ライスボウル公式サイト
大会概要ページ

http://ricebowl.americanfootball.jp/about-ricebowl.html


≪試合前関連・参考記事≫
関学大が「最強」富士通に勝つためには-週刊TURNOVER-
http://www.47news.jp/sports/turnover/feature/plan_feature/163062.html

来年1月3日にライスボウル 関学大・鳥内監督、富士通・藤田HCに聞く-週刊TURNOVER-
http://www.47news.jp/sports/turnover/column/kozano/163001.html

【Xリーグ2014】RICE BOWL vs 関西学院大学ファイターズ戦 - 見どころ(富士通フロンティアーズ公式HP)
http://sports.jp.fujitsu.com/cs/news/detail/141226007792/1.html



さて、ライスボウルに関してはいろいろと試合前や試合後は議論をしたい部分もあるのですが…
(詳しくは
○当ブログの記事‐今年のライスボウルから見えたこと
http://ameblo.jp/roronohidekazu/entry-11772062317.html
○スケーヨさん のブログ『好き放題・書き放題!』の記事‐ライスボウルの未来
http://sukiho-dai.jugem.jp/?eid=30
をご参照ください)
ある程度上記の記事やTwitterのほうでも意見を出しているので、とりあえずそれはそれとして!

一旦みなさんに、ライスボウルを楽しんで見て頂けるよう、アメフトブログらしくプレビューを行きたいと思います(*´▽`*)
国内今季の最終決戦、気合いれ
ていきます!
あ、記事見る暇とかが無い方はとにかく当日現地で生観戦して頂くか、NHK-BS1の生中継、スカイAの後日放送を見て頂ければこんなに嬉しいことは無いので記事より観戦を優先して下さい(笑)
もちろんお忙しい方は録画で見て頂ければ!(アメフトは視点を変えればプレーの見え方などでも全然違う楽しみ方ができるので、生で見れる方もそうでない方も録画はオススメです☆)

初観戦の方やアメフトに関しておさらいしたい方は以下の動画や、当ブログの過去記事・アイシールド21から学ぶアメフトのポジション紹介なども参照して頂ければと思います!


‐ Xリーグ公式 観戦ガイドムービー ‐




≪試合プレビュー‼≫

【社会人が勝つに決まってるじゃん!という認識は通用しないアメフトの世界】

まず、最前提としておさえておかなければならないのは、単純に力と力(マンパワー)の勝負では社会人の富士通が圧倒的に有利です。
ただの社会人チームではなく、学生時代Topクラスの活躍を見せていたエリート軍団でありかつ日本代表チームでも活躍する選手がいたり、アメフトの本国アメリカのカレッジで活躍していた外国人選手がいたり、単純にタレント力では富士通が上です。
普通に考えれば、社会人チームは圧勝して当たり前なくらいです。

しかし!
アメフトの面白いところは、いかにマンパワーで差があっても、戦術や戦い方・準備する時間や準備の仕方・気持ち、思い切りの良さ、プレーへの集中力
などが相まって、時に強者を打ち負かすこともあるというところ。

社会人と差が大きく開いた状況である現時点であっても、学生チームのやり方次第では十分勝つ可能性はあるということです。
現に関西学院はオービック相手に3年前は前半をリードで折り返したり、2年前は残り数秒までリードしていたりと、様々な要素を駆使して間違いなく引けを取らない戦いができているのです。
学生vs社会人の構図の決定戦が良いか、悪いかは別として、勝利への執念がめちゃくちゃ面白いゲームを作り出しています。
こういう状況なので、決して富士通も油断はできません。

むしろ、ライスボウル制覇に飢えている関学が気持ちでは上回っているでしょう。
もちろん計算できる部分を全て考慮しても、社会人のほうが強い、という事実はあると思います。
しかしながら富士通は、ひとたびゲームが始まったら「社会人だから」とか、「自分たちの方が力があるから」とは思わないようにしないといけない。
関学は準備と気持ちと完成度で、互角に戦えるようにもってくるはずです。

3年連続で関学と戦ったオービックは、関学鳥内監督曰く「オービックは関学のフットボールに慣れてしまった」ということで関学の強さや狙いをだんだんと見きれるようになっていたように思いますが、ライスに初進出で関学との交流戦なども行っていない富士通としては未知の相手と未知の舞台で戦うということになるので、ちょっとした隙があればすかさず突かれて、しんどい試合になるかもしれません。
特に序盤の試合への入り方などがポイントになりそうです。
ハーフタイムのアジャスト(相手の動きを分析して調整しなおすこと)も試合の行方を左右するポイントになるかも。

こういう理由から、相当熱いゲームになると思います…!


【富士通のハイパーオフェンス】

富士通はもともとタレント揃いのオフェンスの中に、今季からQB(クォーターバック:パスの投げ手で攻撃の司令塔)に#3コービー・キャメロン選手が加わりました。
おさらいしておくと、キャメロンはアメリカのカレッジの1部に属するルイジアナ工科大で先発として大活躍した選手です。
兄はNFL(米国プロアメフトリーグ)クリーブランド・ブラウンズに属するジョーダン・キャメロン。
※コービーがジョーダンを呼び、ライスボウルに観戦に来てくれるかもしれないそうです。
NFL選手を見れるまたとないチャンスになるかも!?

そんなコービー・キャメロンですゆえ、素質も実績も間違いない、Xリーグでは随一のパサーです(≧◇≦)
彼が加わったことでただでさえ強力なバックス陣がより活かされるようになりました。
ロングパスを早いリリースで投げることができるので、常にビッグプレーの脅威がありながらキャメロンオフェンスの主体は短いパスを繋いでゲインを重ねる事。
もちろん裏のロングパスの脅威があるからこそ、短めのパスにはどうしても守備側が反応しにくいということもありますし、球速が早くて守備側が追い付かない部分もあります。
そんな驚異的なパス攻撃の司令塔・キャメロンですが、JXB(社会人決勝)で腕を怪我しており、ライスボウルに出場できるのか、出場しても100%のパフォーマンスが出来るのかは心配されているところです。
(シーズン最終戦ということもあり、おそらく出場は間違いない気がしていますが)

もしキャメロンがそこまで出場できなさそうなら、QB#12平本選手の出番(´ω`*)
元々昨年まで富士通のエースQBで、JXBではキャメロンに代わって出場してから重要な場面で難しいパスを決めて、チームを勝利に導いたということで十分強力なパサーです。
どちらが出てきても、関学の脅威となるハイパーオフェンスが展開されることは予想され、もしピンポイントのパスをミスなくやり続けれるとすれば、関学の策を無にする勢いで点を稼ぐことも可能かもしれません…(;゚Д゚)

そんな富士通のパス攻撃ですが、投げ手だけでなく受け手のほうもそれぞれ特徴が違う個性豊かな布陣で、近年のパスオフェンスの主流ともいえる様々なレシーバーにうまく散らして的を絞らせない、ということができています。
まずエースWR(ワイドレシーバー:主にパスの受け手)の#81中村輝晃クラーク選手。
持ち味である縦に抜けるスピードで相手を振り切りパスを受ける、というのが例年以上にみられます。
これは強肩かつクイックリリース(早いモーションでスッとパスを投げちゃうこと)ができるキャメロンがいることでクラークが抜けたところにうまくボールを投げ込むことができているから、ということも要因にはあると思います。
最高のパートナーから放たれるパスをジャンプ一発でしっかり捕球してしまうクラークのキャッチ力とスピードは関学の脅威になりえます。
さらに、#22宜本潤平選手は小柄ながら小刻みなステップでスッと相手をかわしてフリーになりキャッチすることができ、キャッチ後も走力と俊敏さを活かしてヤードを稼ぐことが出来る、いわゆる「スロットレシーバー」(外側ではなく、内側にセットするレシーバー。中央でのパスキャッチが期待されることが多い)。
短いパスでも脅威を与えるのは、パスを取った後にしっかりゲインしてくれる選手がいてこそですから、そういう意味でも潤平選手はキーマンです。
他にもWRには#1強選手、#17秋山選手、#25成田選手、#4宜本慎平選手(潤平選手の兄)など豊富なターゲットが揃っているので、関学のDB(ディフェンスバック)陣とのマッチアップの中でどれだけキャッチを重ねていけるのかは見ものです。

そして、パスだけではなくラン攻撃もキョーレツなのが富士通の攻撃をハイパーにしているゆえんです。
RB(ランニングバック:主にボールを持って走る役割)には、まずなめらかなボディバランスを活かした走りで上手く走れるスペースを見つけてゲインしてくれる#29ジーノ・ゴードン
それから切れ味鋭いカットバックが持ち味、思い切ってタテに切れ込んでロングゲインを奪うこともできる#20高野橋選手
さらにパワーがあり中央のランが得意な#32後藤選手など、ほんとにここ数年層が厚いRB陣が今年はパスとのバランスがさらによくなったことで躍動しています。
関学はある程度パス守備に重きを置いてくるでしょうから(パス守備に重きを置かないと、優秀なパサー&レシーバー陣がまず止められないという要因アリ)、富士通としてはその分このラン攻撃もうまく構築したいところです。
1発のタックルでは仕留められない体幹の強さやタックルをはずすボディバランスをRB陣が見せられるのか、そこもポイントでしょう。

そしてそして、富士通のオフェンスをもっとも支えているユニットがあります。
それは、OL(オフェンスライン)です!
OLの仕事は、パス攻撃の際パスプロテクションを持たせる(QBがパスを投げるまでの間、QBを潰そうと迫ってくる相手守備のパスラッシュを止めて、時間を稼ぐこと)ことと、ラン攻撃の際相手守備をブロックしてRBが走れる走路を確保すること。
これらの仕事をかなり高いレベルでこなしているのが今季の富士通OL陣です。
特にパスプロに関してはかなり向上していて、キャメロンが序盤そこまで調子が上がらない時でも彼をしっかり守ってパスを投げてもらうことでだんだんリズムをつかませることが出来ていたり、勝負時に相手がパスラッシュの人数を増やしてきたとき(ブリッツを入れてきたとき)にもしっかり5人で連携して止めていたり、オフェンスを支えています。
彼らの働きは目立ちませんが、間違いなく今季の勝利に一番貢献しているユニットだと思います。
関学側もあの手この手で富士通の攻撃を崩しに来るでしょうが、もしOLが関学守備の仕掛けに動じずしっかり連携して仕事をこなせれば、試合が楽になることは間違いないです。
このライン戦の攻防というのが一つビッグゲームでは大きなポイントになるので、なかなか目立ちませんが勝負を分ける点でもありますので注目して頂きたいです。

このように挙げればキリがないくらい強力な布陣が揃っていて、個人技を活かすオフェンスのプレーも沢山あるので、関学がいかに対応していくのか、時に1対1の場面でどちらが勝っていけるのか、これが楽しみな所です!


【関学のスカウティング・ディフェンス】

関学は上記のような富士通の強力オフェンスに対して、相当研究を重ねてきていると思います。
関学は選手・コーチはもとより優秀なアナライジング・スタッフ(研究専門の学生部員)がチームの頭脳を担っています。
おそらく富士通のオフェンスのパターン、シチュエーション別に用意されているフォーメーション、パスのタイミングからプレーコールの傾向までばっちり研究済みだと思います。

この研究とそれに対抗する策を考えることなどの準備を含めて、アメフトでは「スカウティング」と呼ばれます。
どこよりもスカウティングのレベルが高いのが関西学院です。
この辺、僕自身が書いてて関学がめっちゃおそろしいなと思いました(笑)

自分たちの思惑が相手に読まれている恐怖…。
対戦相手はおそらく、その恐怖を感じれば感じるだけ、「なんとかしないと!」と思ってしまいそれゆえ焦りやミスを引き起こしてしまうのでしょう。
少し読まれただけでも、関学にはその読みのコワさがあるためによりドツボにはまっていってしまう。
まさに心理戦の達人が関西学院。

問題はキャメロンのオフェンスを相手に研究からの準備通りの動きができるか、ということです。
まず、キャメロンのパスの球速についていけるのか?ということ。
関学の研究力をもってすれば、どこかのタイミングでキャメロンが投げようとするレシーバーを先読みしてパスコースに侵入してボールを奪い取ることも可能なはず。
しかし少しでもタイミングが合わなければ、ボールを奪えずに相手レシーバーに捕球され、スレ違いでロングゲインを許してしまう可能性もあります。
キャメロンの速いパスに対して頭で分かっていても身体が追い付かないということが起きてしまうかもしれません。
どれくらい早くキャメロンのパスの速さに慣れることができるのか、いつも以上に早いタイミングで動いていけるのか、このあたりけっこう大きなポイントですね。

もしQBにキャメロンではなく平本選手が出てきた場合は、今季ほとんど公式戦に出場していないため、平本選手のデータが手元に無いので得意の研究力が活かせないということになり、これはこれで厄介でしょうね。
ただ、関学のディフェンスは試合中の研究とアジャストも早いため、一概に平本選手の起用が切り札になるとも言えない気がします。
むしろ後半からは平本選手を起用するとか、第○クォーターだけは平本選手を起用するとか、そういうやり方のほうがアメフトらしいいやらしさがあって関学はやり辛くなるかもしれません。

もう一つは、昨年オービックに散々やられたラン攻撃への対処が問題です。
いかに相手の攻め方が分かっていても、ラン攻撃のブロッキングによる力負けを喫していてはもはや戦術なんか関係ない状況が生まれます。
アイシールド21を読んだことがある方は白秋ダイナソーズのオフェンスを思い出して頂きたいです(笑)
ガオウという強烈なラインマンが相手守備をなぎ倒して、圧倒的な力で走路を切り開き、ランナーはそれについていって真っ直ぐ走るだけ。
圧倒的なパワーの前には、どんな作戦も通じない。というそういうことが起きかねません。

昨年それを経験した関学は、DL(ディフェンスライン)とLB(ラインバッカ―)が個人能力をより強化し、身体を大きくするための合宿をやったり、タックルの精度と力強さを上げたりして1年かけて準備してきています。

特に 副将・LB#57小野選手、LB#43作道選手、LB#47山岸選手、LB#31吉原選手
そしてその前に位置する DL#93岡部選手、DL52松本選手、DL#92安田選手
この『フロント7』と呼ばれる中央の押し合い圧し合いの鍵を握る7人がいかに相手OLに負けないでやれるのか、1発のタックルで仕留めれるか、が大きな見どころ。
LB陣はかなり動けるメンバーでかつプレー中の読みも鋭いので、思い切った動きで相手攻撃を崩していきたいところでしょう。
もし#57がタックル数を稼ぐような、活躍する展開になれば関学ディフェンスのペースと考えて良いと思います。

簡潔にまとめると、
ハイパーオフェンス相手にある程度の失点は覚悟の上で、どれだけ思い切った動きをやれるのか。
かつ、ラン攻撃をいかに最小限にとどめられるのか。
LB陣の奮起に期待。
というところでしょうか。
最後はもはや期待ってなっちゃってますがww
なかなか苦しい戦いにはなるでしょうが、相当必死になって止めない事には勝利は無いと思います。


<後編>

http://ameblo.jp/roronohidekazu/entry-11970665884.html

に続きます(*´▽`*)!