インフルエンザ狂想曲 | 自然派医師のブログ

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健康・医療・食事・農業や環境に至るまで、幅広い視野で、様々な思いを投稿していこうと思っています。
日々の診療や講演会活動での補足や復習にもなるような内容になるといいですね。


インフルエンザの予防接種および流行の時期がやってきました。
私はインフルエンザの予防接種には反対の立場です。また、タミフルや熱さましも必要なく、むしろ使わないほうが良いと考えています。
インフルエンザについてどのように考えれば良いでしょうか?

まず、インフルエンザという病気について簡単に説明します。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染により起こる「かぜ」の一種で、かつては、流行性感冒と言われていました。つまり「はやるかぜ」という意味で、毎年冬に流行します。

かぜとは、様々な感染(90%以上がウイルス)によりのどや鼻に起こる炎症で、一般に軽症で最も多く、ありふれた、自然に治る病気の代表です。
インフルエンザは、かぜの中では、熱が高く、ふしぶしの痛みやだるさなどの全身症状が出やすいのですが、自然に治りますので、かぜに対する対処をしていれば良い事になります。

では、なぜインフルエンザはかぜと区別され、毎年騒がれるのでしょうか。
症状が強くうつりやすいという特徴があること以上に、インフルエンザを特別扱いすることにより、医師、病院、薬局、製薬メーカーのいずれにも利益になるからです。それにより、園や学校、会社、家庭が振り回されているというのが現状です。

シーズン前にはインフルエンザワクチンが大量に売れます。
流行が始まってからは、病院では受診料、診察料、検査料、検査の説明料、処方箋料、証明書料などが取れます。学校や職場では治癒証明が必要ですので、原則として2回以上病院を受診する必要があります。薬局では、薬が売れ、調剤料が取れます。そして、実際に大量の薬が処方されています。

以下に、私の考えるインフルエンザについての問題をまとめます。

①ワクチン
結論を先に書きますが、インフルエンザワクチンには感染予防効果(コクランレビュー2006の報告より)も重症化(小児の脳炎脳症や高齢者の肺炎)の予防効果(厚生労働省インフルエンザ脳炎・脳症に関する研究1999,2000の報告より)もありません。

インフルエンザワクチンの効果を報告している論文は、何百もあり、その効果も論文によってまちまちです。ワクチンを推奨する人は、効果の高い論文を、反対する人は低い論文を引用する傾向があったり、それぞれの論文の重箱の隅を突っつきあうような解説をしているのをよく見かけますが、水掛け論であり、あまり意味はないと思います。

医学論文が改ざんされるのが当たり前の時代になっていますが、コクランレビューは最も改ざんされにくいタイプの世界中の数十年間(数十万例)の論文をまとめたものです。インフルエンザワクチンは解析数が多ければ多いほど、解析年数が長ければ長いほど、効果は限りなく0(ゼロ)に近づきます(WHOも同様の見解です)。

インフルエンザウイルスはとても変異の激しいウイルスで、流行の型を予測してワクチンを作るという考え方自体が理論的に破たんしています。たとえ型が一致していても、日単位で次々に変異してすぐに違う型になるからです。つまり、理論的に考えてもインフルエンザワクチンに効果はないのが当たり前なのです。

また、ワクチンには水銀などの添加物が入っているため、副作用ははっきりと目に見えない形で長期的に発生する可能性があります。
他のワクチンと違い、インフルエンザワクチンは毎年接種を勧められるワクチンです。13歳未満の子どもは1年に2回接種です。

水銀の脳内半減期は7~20年で、1回でも接種を受けると一生抜けない蓄積性の毒物ということです。効果のないワクチンを、1歳から接種をはじめ、小学生までは1年に2回、その後も生涯ワクチンを打ちつづけるということはどのようなことなのかを、多くの人に考えていただきたいと思います。

②薬
インフルエンザの治療薬の代表であるタミフルは、日本1か国で全世界の約75%を使用しています。欧米ではインフルエンザは、何もしなくても治る病気の代表と考えられており、薬は不要で、特にタミフルは効果が低く、副作用が強いため基本的に使わないのが常識です。

インフルエンザが怖いのは、小児の脳炎脳症や高齢者の肺炎ですが、これらは他のあらゆるウイルスでも起こる病気で、インフルエンザウイルスだけを特別視する理由はありません。

タミフルにインフルエンザの感染や脳炎脳症の予防効果はありません。逆に、脳炎脳症はウイルス自体ではなく、熱さましやタミフルなどの治療薬が自然な経過に影響を与える為に発生する可能性が強く指摘されています。
つまり、これらの治療薬が逆に病態を悪くしていると考えられるのです。

③保育園、幼稚園、学校、家での対応
学校や園での対応は、インフルエンザの流行期は少しでも熱があれば、病院の受診とウイルスの検査を勧めます。

しかし、検査はまったく確実なものではないのです。
まず、検査ができるのは発熱から12〜24時間経過している必要があります(これ以前の検査は全く信頼できません)。インフルエンザであっても、ウイルス量が少なかったり、検査方法が適切でないとインフルエンザではないという結果がでます。

このように、ウイルス検査をたよりに感染の管理をしても、間違いが多いために効果は低く、実際に学校や園での流行を防げた事など全くないといっても良いのです。

つまり、マニュアルに従って管理していても、ほとんど効果がない(自分たちの責任は追及されないかもしれませんが、子ども達たちにとって良いことはない)ということです。

本当の対策はとてもシンプルで、熱があればすぐに病院の受診を勧めるのではなく、かぜであろうとインフルエンザであろうと、帰宅させ、熱が下がり状態が落ち着くまで、まずは自宅での待機を指導すれば良いだけです。

家庭での対応にも問題があります。
病院で検査を受け、インフルエンザでなければ、安心して幼稚園や学校に行かせるというのは間違った考え方です。感染力の強いウイルスですので、完全に流行を防ぐことは難しいですが、「極力人に移さない」という観点からみても、検査自体が全く確実ではありませんし、インフルエンザは人に移してはいけなくて他のかぜは良いということはないのです。

繰り返しますが、かぜとインフルエンザを区別する必要はなく、どちらも症状が落ち着くまで自宅で待機し、しっかりとケアをしてあげることです。これが両親や保護者の本来の役割だと思います。もちろん、症状が強い場合は、医療機関を受診しましょう。

現代社会は、とりあえず見た目だけ良ければいいという風潮があります。
医師も、学校も、会社も、両親も「自分たちはちゃんと対応している」というパフォーマンスのために、身体的にも、経済的にも、社会的にも多くの負担をかけて大騒ぎしていますが、対策が的外れで全く効果が上がっていないというのが、インフルエンザに対する日本の現状です。

今回の記事をまとめると、インフルエンザのワクチンは効果がなく、極力タミフルや熱さましも使わない方が良いということです。ですから、これらを受けたり、受けさせたりすることは、対策をしているというパフォーマンスにすぎません。ましてや有害な可能性があるものを強制することは、あってはならないことでしょう。

もちろん、予防や治療の対策を全くしないということではなく、普段から食事や生活を調え、免疫力や抵抗力を高めておくことや、発症した場合も、安静にして水分をとることを基本にし、食事や自然のものを使ったお手当、漢方薬などを用いるのが良いでしょう。

特に子どもに関しては、食欲がなく、高熱で苦しんでいる姿はいたたまれなく感じる方もいるでしょう。しかし、いかなる場合でも、かぜをひくのには身体にとって大切な意味があります。無理をする必要は全くありませんが、かぜの経過を極力妨げないようにする根本的な理解が必要です。

場合により、通常のかぜ薬(熱さましの入っていない西洋薬)を使用することや、水分が摂れなかったり、症状が強い場合は病院の受診も必要になります。

多くの人がインフルエンザについての正しい知識をもち、とくに子ども達にとって本当に必要なことを基準に判断し、行動していただきたいと思います。