双界儀ともののけ姫が好き | うぃんどふぇざぁ

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歴史とゲーム好きの小人族の一人がなにやらもそもそするブログ

双界儀とは1998年にSQUAREから発売されたアクションアドベンチャーゲームです。

現代日本を舞台に記紀神話、古神道、道教、陰陽道、密教なんかをミックスして作られた独特の設定を持った世界観で、何も知らない子供ながら雰囲気や音楽と合わせて大好きでした(*´▽`*)


私は戦国時代が好きなので戦国期の人たちの思想や考え方の土台となる民俗も調べているんですけど、本当に真実を捉えたいならば遡って古代から見ないと分からないという結論に至ったので最近になってから古代史も少しずつ勉強し始めました。

そして少しばかり古代の民俗を知るとこの双界儀というゲームが更に魅力的なものと感じるようになったのです!


明治になって神道をシステマティックに制度化したせいで古神道、土着信仰の9割が失われたとも言われています…(´;ω;`)
でも双界儀はシステマティックにされる以前の雑然とした、あるいは混沌とした古いヤマトを思い起こさせてくれます。

もちろんフィクションなのでアニミズムに近い古神道と中世に伝わった密教などを合わせた独自の世界なわけですが、近代以前の日本は昔から習合してきたのでそこまで違和感がなく、却ってその神さびた雰囲気を醸し出しているような気がするのです…



そして言わずと知れたジブリの名作「もののけ姫」もまた古のヤマトを彷彿とさせてくれます。
時代は室町。東国に僅かに残る蝦夷(えみし)の末裔・アシタカヒコが主人公。

当時の一般的日本人とは明らかに異なる習俗風俗アシタカ。彼の携える刀は日本刀ではなく蕨手刀に似ています。
蕨手刀は蝦夷(えみし)が用いた直刀で、柄頭がリング状になっているのが特徴です。アシタカの刀もそうですよね。
大和朝廷に従い俘囚となった蝦夷(えみし)たちはこれに手を加えて毛抜形蕨手刀、毛抜形刀と改良していき、平安中期に至って日本刀の起源と言われる毛抜形太刀が生まれ、やがて太刀、打刀という今日でいう日本刀へと進化していくのです。

そしてアシタカヒコという名前…
ヤマト王権より以前のヤマトの酋長・長臑彦(ナガスネヒコ)のようにヤマト王権外のまつろわぬ民は名前に身体的特徴を指したようなものも多いです。
怪物に仮託された先住民とも言われる土蜘蛛(手足を強調したものか)や、ヤマトとは元来別勢力である出雲の足名稚(あしなづち)、手名稚(てなづち)あるいはヤマト王権に加わった出雲神の一柱・建御名方に侵れた諏訪の土着神は洩矢神やミシャクジと言われ、その眷属に手長足長が居たり…

ちなみに現在でも名前に使われる「彦」は日+子(ひこ)、もっと古くは霊力を意味する霊(ヒ)+コで、姫(日女)と対になっています。


アシタカの刀と名前だけでこんなに語ってますが私の本分は戦国時代≒室町時代なので、たたら場やアサノ公方を始めとした武士たちの方を語るべきなのかも知れないですねw
まぁそれはまた長くなるから別けましょう…