渋川版『御伽草子』十九「一寸法師」後編 | うぃんどふぇざぁ

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歴史とゲーム好きの小人族の一人がなにやらもそもそするブログ

まことハいツハりならず。かるものをミやこにをきて何(なに)かせん。いかにもうしなふべしとて。一寸ぼうしに仰(おほせ)つけらるヽ。一寸ぼうし申けるハ。わらハか物をとらせ給ひて候程(ほど)に。とにかくにもはからひ候へとありけるとて。心乃うちにうれしくおもふ事かぎりなし。ひめぎミハタヾゆめ乃心ちして。らあきれハてヽぞおハしける。一寸ぼうしとくゝとすヽめ申せば。やミへとほくゆくふぜいに
て。ミやこを出て。あしにまかせてアゆミ給ふ。御心のうちをしはからひてこそ候へ。あヽいタはしや一寸ぼうしハ。ひめぎミをさきにタてヽぞ出(いで)にケり。さいしやう殿(どの)ハあはれ此ことを。とヽめ給ひかしとおぼしけれども。まヽはヽ乃ことなれバ。さしてとヽめ給はずりにうバうタちもつきそひ給ハず。ひめぎミあさましき事に思(おぼ)しめして。かくていヅかタへもゆくべきならねど。なにはのうらへ
ゆかばやとて。おば乃津よりふねに乃り給ふ。折ふしかぜあらくして。きやうがるしまへぞつけにける。ふねよりあがりミれバ。人すむともみえざりけり。かやうにかせわろくふきて。か乃しまへぞふきあげケる。とやせんかくやせんとおもひわづらひケれどもかひもなくふねよりアがり。一寸ぼうしハ
こヽかしこと  みめぐれば

いツくともなくおに二人来(きタ)りて。一人はうちでのこヅちをもち。いま一人が申やうハ。のミてあ乃女(ねう)ばうとり候ハんと申。くちよりのミ候ヘバ。めのうちより出にけり。おに申やうハ。是(これ)ハくせものかな。くちをふさげばめより出る。一寸ぼうしハおにヽのまれてハ。めよりいてヽとびありきケれバ。おにもおぢをのヽきて。是ハタヾも乃ならず。タヾちごくにらんこそいできタれ。タヾに
けよといふまヽに。うちでのこヅちつえしもつ。なににいタるまでうち捨(すて)て。ごくらくじやうどのいぬゐの。いかにもくらきところへ。ゆうやうにげにケり。。さて一寸(すん)ぼうしハ是(これ)をミて。まヅうちで乃こヅちをらんばうしわれゝがせいをおほきになれとぞ。どうと
うち  候ヘハ

程(ほど)なくせいおほきになり。さて此ほどつかれにのぞミタることなれば。まヅゝめしをうちいダし。いかにもうまさうなるめし。いヅくともなくいでにケり。ふしぎなるしあハせとなりにケり。そ乃ヽち金(こがね)しろかねうちいダし。ひめぎミともにミやこへのぼり。五でうアタりにやどをとり。
十日バかり  あり  けるか

此事(このこと)かくれなけれバ。タいりにきこしめされて。いそぎ一寸ぼうしをぞめされケり。。すなハちさんダいつかまつり。たいわう御らんじて。まことにいつくしきわらハにてはんべる。いかさまこれハいやしからず。せんぞをタづね給ふ。おうぢハほりかハのちうなごんと申人乃子(こ)なり。人乃ざんゲんにより。ながされ人と成(なり)タまふ。ゐなかにてまうけし子(こ)なり。うばは。ふしミ乃せうしやうと
申人乃こなり。おさなきときよりちヽにをくれ給ひ。かやうに心もいやしからざれバ。てんじやうへめされ。ほりかはのせうしやうになし給ふこそめでタケれ。ちヽはヽをも呼(よび)まいらせ。もてなしかしづけ給ふ事
よ乃つね  にては  なかり  ケり
さる程(ほど)にせうしやうどの。ちうなごんになり給ふ。こヽろかタちはじめより。よろヅ人にすぐれ給へば。御一もんのおぼえいミしくおぼしける。さいしやうどのきこしめし。よろこび給ひける
そ乃ヽち  わかぎミ  三人いできケり
めでタく  さかへ  給ひけり

すミよし乃御ちかひにすゑはんじやうにさかへたまふ。よ乃めでタき
タめし  これに  すぎ  ざることは  よも  あらじ  とそ  申はんべり  ける