フレディ・マーキュリーが亡くなって30年。
長いようで短いようで・・・。
正直、もうそんなに経つのか・・・という思いのほうが強く感じます。
何故ならフレディ・マーキュリーの影響力というのは未だに社会に残り、老いるものがないからです。
日本でも映画はおろかドラマ挿入歌やCMソングとして、いつの時代にあっても使われ続け、聴く度にそれらの映像と共に新鮮な気持ちになるからです。
フレディ・マーキュリーの魂はいつまでも私たちの中に生きている。
そう感じざるを得ない訳です。
さて、さまざま私なりの解釈で綴って来ましたが、今回はQueenのステージ衣装に多大な影響を与えたファッション・デザイナー Zandra Rhodes (ザンドラ・ローズ)のインタビューなどを交え、フレディ・マーキュリーを中心にQueenの最初期衣装について少し触れてみたいと思います。
映画「Bohemian Rhapsody」でいえば、Queen結成後、初めてのテレビ撮影でのライブ映像を収録するシーンでの事。
口パクでの撮影にひと悶着あったシーンですが、その直後のライブシーンでフレディとブライアンが着ていた衣装です。
これらは実際にイギリス・アールズ・コートやレインボー・シアターなどのライブで着用され、最初期のQueenをイメージ付ける衣装となりました。
ちなみに映画でラミ・マレックとグウィリム・リーが着ていた衣装はザンドラの手による完璧なレプリカであるとの話です。
「ブライアンかフレディのどちらかから電話をもらいました。どっちだったかは思い出せないのですが」と、ザンドラ・ローズが語るuDiscoverの独占インタビューは始まります。
「それからある日の夕方6時頃に、彼らがロンドンのスタジオまで私を訪ねてきたんです。フレディは自由な精神の持ち主ですから、私が普段女性服のデザインをしているとかは、特に関係なかったんでしょうね。彼は両性的にみせたいと考えていたわけでもなく、ただ純粋に素敵な衣装で着飾りたかったのだと思います」
Queenとザンドラ・ローズは意気投合し、彼女がデザインした煌びやかな衣装は、バンドを象徴するイメージとなりました。
「私はフレディにこう言ったんです。“ここに並んでいる衣装を見て、気に入ったものを選んで”って」
ザンドラは回想します。
「そして“そこに鏡があるから、どれがあなたのステージでの姿にぴったりなのか見てみて”って言ったら、彼はもとはウェディングドレスの上着だったものを選んできました。付いていたレースははずしましたが、全面にプリーツ加工が施してあるものです。彼がステージでその衣装を着るようになってから、今では有名な、私たちを虜にしているあの魅力的な動きをし始めたんです」
ザンドラはフレディの妖艶とも思えるステージでの動きは、ザンドラの奇抜とも思える衣装を身に着けた事から生まれたと解釈しています。
メジャーデビュー2年目。
フレディのパフォーマーとしての自覚のようなものはこの頃に目覚めたのかもしれません。
「彼らがアールズ・コートでライヴをやるからってチケットをくれたんです。フレディがステージ上であの衣装を着ているのを見るのはとても感動的でした。超満員で、最高のショーでした」
映画「Bohemian Rhapsody」では(Killer Queen)がメジャーデビュー曲のように描かれていますが、これはQueenの3枚目のアルバム「Sheer Heart Attack」の収録曲で、フレディのライブパフォーマンスによってQueenを象徴付ける事になったのは言うまでもありません。
映画では自費で行った初めてのレコーディングの際にバックで流れていた「輝ける7つの海」(Seven Seas of Rhye)
これはファースト・アルバム「戦慄の王女」では歌詞のないインストゥルメンタルで、セカンド・アルバム「Queen Ⅱ」で歌詞がつけられました。
(Seven Seas of Rhye )の "Rhye"とは、フレディが子供の頃に想像したファンタジー世界の名前で、フレディ自身の造語です。
Queen⑤でも触れていますが、フレディはイギリス・イーリング・アート・カレッジを卒業後、すぐにはグラフィック・デザイナーのキャリアには進まないと決めていました。
「アートスクールでは、よりファッションを意識して常に一歩先を行くことを学んだよ」とミュージシャンになった時にとても役に立ったとフレディは語っています。
カレッジ卒業後に衣類や雑貨店を渡り歩き、経営にも携わった事はQueen⑤でも触れましたが、フレディにとって初めて訪れたザンドラのスタジオは正に"Rhye"だったのではないでしょうか。
「私とブライアン、そしてファンの皆さんとの関係性が深まったのは、フレディが亡くなった後からでした。ファンの皆さんに、いつもあの有名なプリーツの衣装を着たフレディの写真にサインを頼まれるんです。私がいつもサインするのが、クイーンの作品の、あの衣装の写真だというのは、私にとって何よりの褒め言葉なんです。クイーンには一切偽りがありません。彼らは自分たちイメージを作り上げるのと全く同じ様に、彼らのサウンドを作り上げていました。彼らのイメージづくりに関わることができて、またそれを私の作品として残せたことはとても幸運だったと思います」
ザンドラはインタビューの最後をこう締めくくりました。
ザンドラ・ローズは現在も北欧スウェーデン発 IKEA (イケア)とコラボしたりと精力的に活動されています。
彼女もまた、Queenと関わる事で活力を得た一人なのかもしれませんね。